「私らしく働くためのユニフォーム」を作りたい。「原価が高すぎる」と社長に叱られても変えなかった品質と価格。ユニフォームメーカーのこだわりを詰め込んだ商品開発の裏側
ユニフォームメーカーの株式会社サーヴォから生まれたブランド「RASHIKI(らしき)」は、個人経営のカフェ、フラワーデザイナー、美容師、ネイリスト、フードコーディネーターなど、⼿に職を持つ人たちのための仕事服として成長してきました。個性を活かして働く人が増える中、いかにもなお仕着せの服ではなく、「私らしく」着られるユニフォームを選べたら。もちろん、毎日着る仕事服として、丈夫さも動きやすさも兼ね備えて――。
そんな思いを込めたRASHIKI はスタートから5年目を迎えています。
このストーリーでは、製品開発に込めたこだわりと新商品の魅力をお伝えします。
RASHIKIは「私らしく働くためのユニフォーム」をコンセプトに少人数チームから立ち上がった、社内ベンチャーのようなプロジェクトです。
働き⽅が多様化する中で、仕事や⽣活の環境を⾃分なりに選択し、その個性を活かして働く人が増えてきています。そんな⼈たちに選ばれる、従来のユニフォームとは異なる「個人向けユニフォーム」に必要なものは何か。はじめは手探りでスタートしました。
着ることでモチベーションが上がるような、「一般衣料に近いユニフォームを作りたい」
仕事で着るユニフォームというと思い浮かぶのは、汚れてもよい作業着や、見た目より機能重視なもの、または一目でスタッフとわかるように色・柄・デザインが特徴的なもの。
しかし、多様化する生活の中で便利に着られる仕事服はきっと、汎用性があって、そのまま外にも出かけられる、そんな服が求められていくはず。
そこで考えたのは、機能性が高いのは大前提としても、一般衣料を着るように「好きな服だから着ていたい」と思えるユニフォームにすることです。着ることで毎日のモチベーションも上がるような、そんなデザインをあきらめたくない。その思いを強くしました。
そこで弊社と以前よりご縁のあった、MARGARET HOWELL , MHL. の企画・デザイン・素材開発などをはじめ数々のブランドを手掛けられた藤内裕司デザイナーに商品開発をお願いすることにしました。
藤内裕司デザイナー
美しいデザインだけではない、機能性との両立
通常、ユニフォームは機能性を高める際、デザインで分かりやすくすることがあります。マチ(厚み)を足したり、ポケットを大きめにしたり。結果、良くも悪くも「ユニフォームらしく」なっていきます。
RASHIKIは機能性をデザインで表現することを避け、必要な機能性は取り入れつつも極力目立たないように作りました。
例えば、左右のポケットのうち片方だけにタブを付けたり、一見ただの切り替え線に見えるところがポケットになっていたり、パッと見はわからないものの、気がついた人には「あっ」と思わせる気の利いたデザインになっています。
また、シャツは袖下にゆとりをもたせて動きやすくし、腕を上げても裾が出にくいなど、働く人の動きを考えた機能を持たせました。
ビブ(胸当て)のサイドのポケット/腕を上げても裾の出ないシャツ
エプロンドレスは特にデザインと機能の両立に力を入れました。
後ろからみると腰にギャザーが寄せてあり、スカート部分がふんわりと広がる可愛らしいデザインに、背中でクロスする肩ひもと相まって、ジャンパースカートのような雰囲気です。けれど、全体はシンプルで甘くなりすぎない絶妙のバランスに。
長めのスカート部分はかがんだときに突っ張るのではないか?との懸念は、裾にしっかりとスリットをいれることで解決しました。
肩ひもは背中でクロスしたあと、腰のボタンで一旦留め、ループを通してから結びます。
こうすることで、ポケットにいっぱい物を入れても首・肩に負担がそのままかからず、長時間着ていても疲れにくい仕様。働く人の立場に立つと、ディテールへのこだわりは尽きません。
また、ボタンホールを3つ付け、肩ひもの長さの調節も可能に。
さらに、どのエプロンも無地または無地に見える細かな柄を使用し、ナチュラルにどんな服とも調和するようにしました。「仕事中だから、自分の好きな服を自由に着られなくて当然」。そんな風に諦めてほしくないとの思いからです。
素材のこだわり。耐久性と着心地の良さ
RASHIKIの商品には、ユニフォームメーカーとしても仕事服の機能に関する知見を十分に反映しました。
全てのアイテムは公的検査機関による色落ち、ピリング(毛玉)のできにくさ、強度等の検査をクリアしており、日光に当たっても変色しづらいことや、1万回以上の摩擦に耐えることを確認しています。
また、一部のアイテムには、撥水加工(通気性防水加工)を施しています。
これにより、汚れがついても繊維の奥まで入り込みにくく、落ちやすくなっています。
さらに、洗濯後にアイロンをかけなくてもシワくちゃにならない仕様にもこだわりました。
毎日使うものなので、汚れ→洗濯→即使用のサイクルが崩れないようにという考えからです。
エプロンドレス、シャツ(白・黒)で使用した「ソロウェザーストレッチ」は、ソロテックス®という機能繊維を配合した生地。繊維がバネのような特異な分子構造になっていて、仕事着に必須なストレッチ性はもちろん、しっかり元に戻る形態回復に優れています。
胸当てエプロンで使用した「スーピマ・ライト・チノストレッチ」は綿98%、ポリウレタン2%の生地。使用している最高級のピマ・コットンは繊維が長いことが特徴で、何度も洗っても毛羽立ちにくい素材。これをストレッチ性のあるポリウレタンとともに隙間なく織り上げた生地は、天然素材の自然な表情を活かしつつ、密度が高いので大きなしわがよりにくくなっています。
また、肩や腰のひもはコットン平織テープで、結び目がほどけにくい素材を使用。
仕事中に結び直す手間やストレスといった、地味に感じる部分も徹底的に排除していきます。
特に、耐久性と着心地の良さの両立は、実は一番苦労したポイントでもあります。従来のユニフォームは着心地にあまり注意を払ってこなかったためです。
肌ざわりの良さを考え、ご家庭で洗濯しても縮んだりごわついたりしないよう、綿混のアイテムは縫い上がったあとに一度専用の洗濯機で洗う「製品洗い」をかけました。製品で洗うことで生地に良い風合いを生み、着るほどに肌になじむよう仕上げました。
生地の風合いの微妙なニュアンスを出すため、同じアイテムでも色ごとに染め方も型紙のサイズも変えて作りこんでいます。ディテールへのこだわりを実現するために、RASHIKIの商品は全て日本製です。
「原価が高すぎる」社長に叱られつつも、品質の高さを貫く
ここまでこだわったRASHIKIのアイテムたちは、当然ながら原価もはね上がります。
当時の社長による企画書の確認段階では、通常のアパレルで20~30%の原価率が、RASHIKIは50%だったことから、「原価率が高すぎて利益が出ない。経営者としてこんな企画にGOサインは出せない」と言われてしまいました。
生地を変更したりすることも考えましたが、どれも「毎日着られる」というコンセプトから外れてしまいます。価格を上げてしまうと、使う人に汚れへの「恐れ」も出てきます。
RASHIKIアイテムは標準的なエプロンドレスでも価格は一万円前後。これより高くては、いくら耐久性があるといっても、簡単には手に取れなくなってしまいます。
どうしてもこの製造方法、仕様、価格でなければいけないことを再度社長にアタックし、当初の予定より半年以上遅れつつ、2019年、RASHIKIの発売は実現しました。
お客様の声にお応えした新商品の開発
発売後も、常にお客様にアンケートを実施したりモニターを募ったりして、寄せられるお声を商品開発に活かしてきました。
肩ひもを後ろでクロスし、スカート部分の後ろが繋がっているエプロンドレスは、「着脱が手間」。
それを解決するVネックのエプロンドレスは、肩ひもを首にひっかけるだけのホルターネックタイプ。腰の部分は腰ひもでしっかり結んで留めることで、エプロン全体の重さが首だけにかかるのも防ぎ、ホルターネックにありがちな首・肩の負担も解決しました。
Vネックは首回りがすっきり見え、全身を縦長に見せる効果があります。またよい意味で「エプロンっぽくなく」洋服感覚で着られるとご好評をいただいています。
デザインはそのままに異なる生地で作ったラインナップなど、何度もアップデートを重ねている一品です。
また、MサイズのみだったアイテムにS・Lサイズを加えたり、「エプロンを入れて持ち歩ける袋がほしい」というお声には、A4サイズが入りつつ巾着にもなるショルダーバッグを発売したりと、お客様のお声に耳を傾けて新商品を生み出してきました。
今年の新商品のエプロンでは、「胸ポケットにペンが差せると便利」というお声から、細長いペン差しポケットを左胸に配置しています。また、今までの商品になかった、細かな千鳥格子柄の生地を使ってクラシカルでエレガントな印象を醸し出しています。
RASHIKIアイテムは主に、大規模なショップよりもフラワーデザイナーや美容師など、個人で活動されている方や個人経営のお店の方に選んでいただいています。これによりユニフォームの可能性が広がったようにも思います。
これからも素材やデザインにこだわりつつ、着る人の立場に立って「こんなものがあるといいな」を追求したモノづくりをしていきます。
RASHIKIアイテムの購入先
ECサイト
https://www.style-ist.jp/ext/rashiki_items/index.html
ブランドサイト
https://www.style-ist.jp/rashiki/
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