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80代の著者さんもおられます。

ホテルと清掃の現場から生まれた、チャットツールを越えた施設管理アプリ「HoteKan」の開発ストーリー

著者: 株式会社リウシス

株式会社リウシスは、「場を通じて、そこに関わる全ての人がお互いに豊かにしあえる世界を構築する」を理念に2015年に設立したベンチャー清掃会社です。代表の苅谷は、システム開発の会社「FRINGE」とビジネスホテル「エクセルイン」の代表でもあります。


実際のホテル運営を行いながら、自社以外のホテル清掃業務を請け負う中で、ホテルと清掃の一方通行なコミュニケーションの在り方やアナログな施設管理について何とか解決できないかと悩んでいました。



宿泊施設の為のメンテナンス管理アプリ「HoteKan」は、そうした悩みから生まれたサービスです。初め、SlackやLINE、AsanaなどチャットツールやKintoneを活用したデータベース作成など、既存サービスを重複利用していましたが、「帯に短し襷に長し」で上手く現場に浸透しませんでした。であれば、「FRINGE」で作ってしまおうと自らのチームで開発が始まりました。代表の苅谷からリウシスの設立、HoteKanの誕生ストーリーを聞きました。

改善要求が現場に伝わらないという歯がゆい想いをきっかけに、清掃会社「リシウス」の立ち上げを決意

私は、2014年に事業の立て直しの為、名古屋にある実家のビジネスホテルを継ぎました。当時、Web制作やシステム開発を行っていた「FRINGE」での新規の仕事を全てお断りして、東京から名古屋に拠点を移しました。


初めてのホテル現場業務にて、コンサルで培った机上の空論は空回りし、新しい施策を打つたびに現場に負担がかかり、ホテルスタッフはどんどん辞めていきました。


また、委託していた客室清掃の会社も元請・下請の二重構造のため、改善要求が殆ど元請から現場には伝わらず、お客様からの清掃に関するクレームは頻発し、歯がゆい想いが続きました。とうとう、滞在中のお客様のパソコンを清掃中に壊して、「そんな場所に置いておく方が悪い」と清掃責任者が言い放った時に自分達で清掃会社を作ろうと決めました。


脳梗塞で現場を離れたことで気づいた、運営上の問題点を解決するために「HoteKan」の開発を決意

清掃会社「リウシス」を立ち上げ、少しずつ客室清掃の品質も向上し、フロントスタッフと清掃スタッフの連携が取れてきた事で、お客様からのクチコミも少しずつ改善していきました。


ただ、そのような激動の業務変革の中でストレスが過剰にかかっていた為か、突如、脳梗塞で倒れてしまいました。右半身が麻痺となり、暫くホテルには出れない状態での管理が続きました。


その間、マネージャーからは(心配させない為か)特に問題はないという報告が上がっていましたが、実際は設備修繕が必要な個所が多く発生して、売れない客室やクレームが発生している事に現場復帰してから気が付きました。



そこで思ったのが、客室や共用施設の設備異常や問題点に初めに気が付く清掃スタッフに「報告・共有・データベース化」までしてもらえれば良いのではないかという事です。現状は、電話や直接口頭で清掃スタッフがフロントスタッフに報告し、それを支配人にまた口頭で連絡して、業者に現調と見積依頼をまたメールや電話でするといったアナログの伝言ゲーム状態です。


既存のアプリやチャットツールも使ってみましたが、複数併用する必要があり、更にUI的にもスタッフが取っつきにくく、浸透しませんでした。そこで「FRINGE」のエンジニアと一緒に「HoteKan」を作ることにしました。

自身で、清掃スタッフや支配人などの現場ニーズを吸い上げ、開発に活かす


客室の清掃スタッフは高齢の方も多く、とにかく簡単に入力できる事を心掛けました。修繕が必要な事象(インシデント)を発見したら、清掃責任者がHoteKanに入力します。初めは現象のタイトルと該当部屋の選択のみでOKとして、まずは簡単に報告できるようにしています。入力の必須項目は極力なくしました。実際にホテルの現場で清掃スタッフにボタンのサイズや表示の仕方など分かりやすいUIを確認しながら開発に反映していきました。


入力する清掃スタッフ側だけでなく、施設を管理するホテルの支配人としてのニーズも組み込んでいきました。例えば、過去のインシデントが設備・客室番号別・指定期間などで直ぐに検索できることや水漏れやエアコンの異音など設備異常の状況を動画で確認できること、更に修繕業者との見積や修繕日程のやり取り、最終的な報告書の共有などもインシデント毎にできたら良いと考えました。このように、自身で現場のニーズを直接吸い上げ、仕様を考え、ワイヤーフレームを作り、モックを作り、開発していきました。



外部の設備管理業者とのやりとりを含めた、全ての報告書をHoteKanに収めることで、業務負荷を軽減

インシデント毎にチャットでやり取りをする中で、清掃スタッフとホテルスタッフだけでは勿体ないと考えました。工務店や給湯機メーカー、空調メーカー、EVメンテナンス会社、消防機器点検業者など、ホテルや旅館では設備管理に関する様々な会社とやり取りをしています。


こうした会社ともHoteKanでやり取りが出来れば、電話ではなかなか伝わらない問題の事象も動画で確認することができ、修繕の段取りが楽になるだけでなく、定期メンテナンスの報告書も全てHoteKanに収める事ができ、紙だらけの書類をお互いに削減することが可能です。HoteKanで権限を限定したゲストユーザとして業者を登録をすれば、許可されていないインシデントやチャットは見る事が出来ない為、ホテル側も安心です。


定期的に訪問調査のある保健所や行政の方への定期メンテナンス書類の閲覧も、HoteKanをタブレット端末で見せれば一覧で時系列に確認できることから、担当者から喜ばれます。支配人も、いちいち書類の山をロビーに持っていく必要もなく、非常に楽になりました。

アナログな現場にDXを導入する上で重要なのは、最初の一歩のハードルを下げること

一度使い始めたら、清掃・ホテル・外部業者共に楽になり、「HoteKan無しでは考えられない」と言って頂けますが、使い始めるまでが一番大変です。午前10時にお客様がチェックアウトされた後、午後3時にチェックインが始まるまでの5時間で全ての客室を清掃し、お客様の状況などをフロントとも連携し、終わらせなければいけません。非常にバタバタしている時間の中で、これまで口頭で済んできたプロセスをスマートフォンやタブレットを使って入力する形に変更しなければいけません。


「そんなの入力する時間はない」「口で言った方が早い」「何だか難しそうで私には無理」といった反発の声が一斉に出てきます。清掃スタッフだけではなく、ホテルのフロントスタッフも新しいプロセスには抵抗感があり、現場にお任せしても使ってくれるようにはなりません。



リウシスの水野は、普段ホテル清掃の管理者として自身でHoteKanを使いこなしています。現場で実際に使っている水野が、HoteKanをこれから導入するホテルに伺い、下記のポイントを基に導入支援をしています。


①HoteKanを使うスタッフと仲良くなり、質問などHoteKanで直ぐにやり取りできるようにする

②HoteKanのグループチャットにHoteKanのマニュアルを入れておく

③毎日更新できる内容のグループチャットを作成する(稼働率・清掃指示書の共有など)

④スタッフへの説明会の機会を持たせてもらう

⑤初めは間違えてもいいので、簡単なテキスト、画像だけスタッフに入力してもらい、管理者が修正する形を取る

⑥設備の使い方などの動画マニュアルをHoteKanに入れる

⑦外部業者は、定期メンテナンスの報告書を入れてもらう所からスタートする


アナログな現場にDXを持ち込む上で大事なコツは、最初の一歩のハードルを下げる事です。「間違ったことを入れたくない」「変な事を入れて怒られたくない」という思いを軽くしてあげて、簡単なものから入力していくことを支援していきます。更に、初めの内は適宜内容を確認して、必要に応じて追記や修正をかけてあげます。間違っても添削して直してくれるという安心感をまずは持ってもらう事が重要です。


更に、真似ができるような事例を作成してあげる事で、事例と同じように入力してみてくださいとサポートできます。また支配人や責任者の方には、他社での使い方事例を見てもらう事で、運用の仕方を理解してもらいます。


また、スタッフへの全体説明会をする機会が持てた場合は、その日の内に運用を開始してもらう事が大事です。説明会から時間が経てば、熱が冷めて、また運用を始めるための段取りが必要となってしまいます。

ホテル、旅館に関係なく、様々な宿泊施設でHoteKanを活用していただき、宿泊事業の提供価値を高めたい


HoteKanは現在、一棟貸しタイプの旅館、大型旅館、ビジネスホテルを始め、リゾートホテル、カプセルホテル、更にはクルーズ船、日本庭園などホテルを越えた施設での設備管理にご活用頂いております。現場の客室の状況が、本社役員の方まで直ぐに共有され、過去のデータも分析しやすい事から、清掃スタッフだけでなく支配人、本社役員の方にも便利になったと言って頂いております。


今後、様々な施設で蓄積した修繕データを基に、施設の経年数や設備内容を登録すれば、最適な修繕計画や予防施策が提案できるような機能や問題が起きた際に、HoteKanに質問すればどのように対応したらよいかを回答してくれるAIコンシェルジュ機能も付与できればと考えております。


HoteKanを使う事で、様々な宿泊事業者の提供価値を高めることが出来れば嬉しく思います。


<サービス紹介>

HoteKan

URL:https://www.hotekan.com/

動作環境:iOS/Android/Webブラウザ


<会社紹介>

株式会社リウシス

URL:https://rivusis.com/

設立:2015年6月

事業内容:ホテル、工場、オフィスビル、コンビニ、販売店などの清掃・設備管理業務




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