時流を読み、先駆的に技術開発を行う業界リーディングカンパニーが今一番必要と感じるプロ人材の活用とは?
日本コンクリート工業は、「NC式」鋼線コンクリートポールを開発して以来、70年以上という長きに渡り、コンクリート製品のリーディングカンパニーとして業界を牽引し続けています。土木・建築分野のさまざまな用途で使用されるコンクリート製品を取り揃え、製造、施工、メンテナンスまで一貫して行っています。
ポール関連事業をはじめ、基礎事業、土木製品事業、環境・エネルギー事業、海外事業と多様な事業形態で国内外に広く展開している同社は、創業当初から、社会のニーズに即した研究開発に力をいれてきました。時流を読み、先駆的に行ってきた研究や技術を用いて、業界全体を盛り立てていく布石として、「規程」の見直しと「調査」の強化を図るべく、パーソルキャリアが運営する、副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォームサービス「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」の導入を検討されました。
これまでの経験とスキルを活かしながら自分の可能性を広げたい個人と、複雑化する課題に対応したい法人に選択肢を増やし、社会を多様にする。そんな思いで提供しているHiPro Directには、「プロジェクト型」と、「スポットコンサル型」の2つのタイプがあります。プロジェクト型は数カ月などの一定期間チームやプロジェクトに関与し伴走する形でサポートを行い、スポットコンサル型は1回単位の限定的な期間や回数でコンサルティングを提供します。今回は両方のタイプを依頼されています。
人手不足、技術者不足の中、環境への取り組みやIT化・DX化を推進するには外部の専門家「プロ人材」の力をスポットで借りるHiPro Directのようなタレントシェアリングサービスが今後より必要になってくる。そう話す日本コンクリート工業の薄葉 信一様に、HiPro Directご活用に至る経緯から、感触、今後期待することなど率直なご意見を伺いました。
コンクリートもどんどん作って売る時代から、循環させる世の中に
――御社はコンクリート二次製品メーカーとして、長年業界を牽引されていらっしゃいますが、昔と今でニーズの違いはありますか?
薄葉氏:建設業界はみんな同じだと思いますが、弊社が「NC式」鋼線コンクリートポールを開発した1950年代から70年代は高度経済成長期にあり、国内でもどんどんモノを作っておさめていくインフラ整備が主流でした。
バブル前くらいまでは、とにかく作って売ることが中心でしたが、近年は国内のインフラ整備はだいぶ終わり、新しく作るというよりは、老朽化したモノを修繕、補強、改修する業務に力点が置かれています。それから、環境問題も重視して開発などを行っています。
――社会テーマでもあるCO2削減や再資源化ですね。御社では、具体的にどのような取り組みをされているのでしょう?
薄葉氏:2つありまして、まず1つは、CO2の排出を極力抑えるようにしています。もう1つは、ゴミの削減です、生産工場で廃棄物を極力出さないようにするために、廃棄物を有効活用できるようにしました。
例えば、コンクリートの製造時に出てくる、水とセメントと若干の砂が混じった液体を「コンクリートスラッジ」といいますが、これに排ガスのCO2合わせて再資源化する取り組みを行なっています。産業廃棄物だったコンクリートスラッジと、排ガスのCO2の両方を捨てずに資源に戻すことで、再利用が可能になりました。
――廃棄物を再資源化する取り組みなど、地球環境を考えた技術開発も推進されていますね。
薄葉氏:はい。産業廃棄物がどうしても出てしまう建設業界でも、地球環境を考えた取り組みが注目されています。弊社では、10年以上前からこうした技術開発にも取り組んでおり、先を見据えたロードマップ通り動いています。
「プロジェクト型」はコストメリット以上の成果で社員の意識も変化
――そうした中で、今回初めてHiPro Directをご利用いただきました。1つは、発明考案規定の見直しプロジェクトに参入する人材を求めて「プロジェクト型」でのご依頼、もう1つは、当社事業に関わる市場調査を「スポットコンサル型」で導入されました。それぞれ、導入を決めた経緯とマッチング後の感触を教えていただけますか?
薄葉氏:「プロジェクト型」は、社内の発明考案に関する規程の見直しに伴い、専門知識やご経験がある方を募りたく、導入を決めました。特に、公平な対価の設定に関する知識や情報が必要で、知見に長けている方にご協力をいただきたかったのです。
当初は、専門のコンサルタントに業務委託でお願いしようと話を進めていましたが、最終的に予算の折り合いがつかず、社内関係部署からHiPro Directがある、と聞いたことがきっかけで導入しました。
HiPro Directで依頼したプロ人材と共同で作成した資料のクオリティが高いことだけでなく、人柄がとてもよく、当社の担当者も勉強になることが多かったようです。コストメリットだけではなく、社員教育にもつながる結果となり、非常に満足しています。
一方、「スポットコンサル型」は、残念ながら我々が求めていた結果にはなりませんでした。原因は、我々の依頼の仕方にあったと感じています。準備にもう少し時間をかけてからお願いするべきだったと思い、再度マッチングのご依頼を考えています。
――「プロジェクト型」は一定期間継続して伴走する関わり方になるので、そちらのほうが御社の要件に合っていた印象ですか?
薄葉氏:そうですね。「スポットコンサル型」でお願いしたのは、ニッチな分野のためでしたが、スポットで依頼するにはやや難しい内容だったかもしれません。
「プロジェクト型」は、先ほど「人柄が良い」と申しましたが、決定までに面談する機会があり、お顔を見ながら相互確認を取れたので、安心して進めることができたというのもあります。ですから、調査の依頼も「プロジェクト型」など形態を変えて再度マッチングをお願いしようと思っています。
――「プロジェクト型」では、ご満足いただける結果となり、現在少し延長されているとお伺いしました。具体的にHiPro Directをご活用いただいたことで、どのような手応えを感じていらっしゃいますか?
薄葉氏:「プロジェクト型」でお願いした発明考案規定については、充実させていきたいと考えていました。やはり、時代の変化が早いので、そこに応えるためには技術力を高めていかないといけないですし、開発者のモチベーションが上がるような規程としていきたいと思っております。
また、特許を取得することで、会社として技術力の強化が図れます。また、我々の技術を広く使っていただきたいと思っております。そして、発明者へ公平平等な対価を提供したいものですから、専門家に意見を聞きながら、全社員が理解し、受け入れられる発明考案規定にしなくてはいけません。それには、自社だけではなかなかできないと思います。
今回、お引き受けいただいたプロ人材は、知識も経験も豊富で、月2回のミーティングをする中で、当社の担当者にも指南くださりながら規程を一緒に作り上げられたのが非常に良かったです。
共に議論を重ねながら規程を作るプロセスやノウハウが、当社の担当社員にも伝わりましたし、作った規程を運用する中で出てくる課題に対しても、今後の心構えができるようになりそうだと感じます。担当者は、非常に喜んでいますよ。規程策定は、最終段階に来ております。プロ人材にはもう少しお付き合いいただいている状況です。
未来を見据えた事業や社内環境の整備にもプロ人材を活用したい
――ありがとうございます。逆に、HiPro Directの導入にあたり、ハードルを感じたことはありましたか?
薄葉氏:やはり、秘密保持の部分ですね。社外秘の情報を扱うので、フリーランスや副業でも同業者や業界事情に精通している現役の方に開示することに、正直、リスクは感じています。特に技術開発は自社の中で秘密を守りながら進めるので、社外の方と業務を進行するのは会社としても非常に抵抗があります。
一方で、社外の同業者などと一緒に取組みづらいテーマの場合は、今回のように、局所的にプロ人材の助けを借りることは、必要な流れになってくるのではないかと思います。
――HiPro Directは、案件ごとに必要な人材を募り、適材適所で力を発揮して互いに成果を上げていくという新しいかたちですが、御社として今後はどのように活用していきたいですか?
薄葉氏:環境問題と省人化については、業界内でも大きなテーマです。すでに当社でも取り組んでいますが、環境は社会貢献しつつ作業を進めていきたいですし、省人化はいかに効率よくシフトしていくかということに重点を置きながらやらなくてはいけない。難しいですが、やはりこれからは少ない人数で工場を稼働していかないといけなくなるでしょうし、工場自体操業できない状態になると困りますので、DXやIT化は遅れを取らないようにやっていきたいと思っています。
建設業界は人手不足、技術者不足を抱えています。開発の内容も、昔と今では、求められることが変わってきている中で、ITを導入して省人化する流れにも対応していく必要があります。ただ、システムエンジニアを雇用するまではできないという状況で、スポット的に専門家の協力を得られると大変助かります。HiPro Directを導入することで、それができるのはありがたいですね。
(書き手:ごとう あいこ/編集:HiPro Direct編集部)
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