現場と経営をつなぐ新たなソリューション開発への挑戦。保守サービスを起点に業務運営の省力化に挑んだストーリー
近年、スーパーなどのチェーンストアの現場では、増加・多様化する店舗機器の維持管理とそれらを管理する人材の不足による省力化の課題を抱えています。
1970年の創業時より、駅の改札機や券売機、交通管制システム、金融のATMといった、社会インフラを支える機器やシステムの保守サービスを提供してきたオムロンフィールドエンジニアリング株式会社(以下OFE)は、この社会課題に対し、保守のノウハウを活かし、お客様の現場業務最適化を管理層・経営層の課題解決へとつなぐ、「マネジメント・サービス(M&S)」を開始しました。
今回は、保守サービスの強みを活かし、流通小売業の省力化の課題解決に取り組むOFEのM&Sソリューションをご紹介します。
深刻化する労働力不足に伴う経営課題の解決に立ち上がったOFE
近年、日本国内においては、労働者不足を補うため、自動化・効率化を目的としたIT機器・システムの導入が加速しています。その一方で、機器の増加により管理業務は煩雑化し、IT管理者不足、業務運営の効率化・最適化による「省力化」が新たな社会課題となっています。この課題の解決に向け、強みの保守サービスを活かしたM&Sソリューションの開発が始まりました。
現場からはじまり経営まで。業務最適化をワンストップで実現
OFEは、50年以上にわたる保守の実績と経験をもち、メーカーに拘ることなく多種多様な機器・システムの保守に対応してきました。今では、全国約130のサービス拠点で、1200名超のエンジニアが、24時間365日、機器・システムの安定稼働とともに、暮らしの安心・安全を支えています。
そして、強みの保守サービスに加えて、機器故障時などの店舗スタッフサポートを担うヘルプデスク、店舗の出店に必要な機器在庫管理を担うロジスティクスセンタ、あらゆる情報をデータベース化しサービスの迅速・均質化を担うデータセンタなど、トータルにサポートできるプラットフォームを構築し、保守を起点に様々なサービスの開発と運用を行っています。
M&Sソリューションの開発にあたり着目したことは、これまで培ってきた私たちの強みを活かし、お客様の現場・管理・経営層が抱える現在と未来を見据えた課題解決ができないかということでした。
具体的には、IT機器の増加・管理の煩雑化により、各店舗では「コア業務が圧迫されている」、「業務品質にバラツキがある」といった負荷低減や業務標準化に関する課題、本社部門では「現場の実態が把握しにくい」、「店舗運営工数や外注費の妥当性が分からない」、「災害時、現場サポート体制の脆弱性が露呈した」といった業務の可視化や運用コスト削減、災害時のオペレーションに関する課題があることを捉えました。さらには、従業員のエンゲージメント向上、環境に配慮した店舗運営という経営視点での課題も見えてきました。
そして、これらの課題の解決に向け、 OFEの強みである多種多様な機器・システムの導入から運用・保守・改善までをワンストップで提供できる機能と体制、社会・お客様を大切にする"温もりのあるサービス"で、お客様の業務運営をトータルに支えるソリューションを目指しました。(下図)それは、お客様の置かれている環境、目指す姿に共感・共鳴し、社会変化やお客様の潜在課題をいち早く捉え、お客様の現場における業務の効率化から管理・経営層までの業務の最適化をワンストップで実現することこそが、OFEが目指すM&Sソリューションだと考えたからです。
▲現場の業務効率化から経営の業務最適までをつなぐマネジメント・サービス(M&S)
メーカーにとらわれない第三者保守への挑戦
M&Sソリューションを提供する業界として最初に注目したのは、就労人口が多く省力化の課題の影響が大きい、流通小売業界です。全国に店舗を展開する大手のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、そしてレストランなどのチェーンストアでは、各店舗で取り扱う機器の種類も多く、IT機器の増加と管理者不足による省力化が大きな課題となっていました。そして、同じく全国に拠点をもち機械保守を得意とするOFEは、この強みを活かし、チェーンストアが抱える課題解決ができると考えていました。まさに、M&Sソリューションの力を発揮できる場でした。
まず私たちが取り組んだのは、メーカーにとらわれず多種多様な機器の点検や修理を行う「第三者保守」です。従来、機器類の保守管理は製造メーカーや系列のメンテナンスサービス会社が請け負うことがほとんどで、第三者が一手に請け負うにはいくつものハードルがありました。中でも一番のハードルは、自分たちで各メーカーの機種を保守できるようになることです。メーカーからの技術提供や支援が受けられない中、独自に機器の構造を把握し、保守のサービスメニューを構築する必要がありました。実は、OFEは10年以上前から、保守サービス設計を行う機能を社内に構築し、社会システムの保守で培った技術力、機器の知識・知見を活かし、保守対応できる機器を増やしながら、ノウハウを貯めてきたのです。これらの経験・ノウハウを活かすことで、流通業界向けの独自のサービスを構築することができました。
▲ 店舗に導入されている多種多様なIT機器
管理業務支援の幅を拡大、店舗運営の効率化を可能に
OFEがこれまで効率的で高品質なサービスを提供するために培ってきた技術・機能により、店舗のIT機器の保守運用を一括対応する統合保守サービスの仕組みができ、これにより管理業務支援の幅を拡大しています。
例えば、管理部門による現場状況の把握、効率的な店舗運営を支援するため、保守対応状況をリアルタイムで確認できるウェブアプリケーションを開発し、作業員の店舗到着時間、作業中の状況、作業対応結果をリアルタイムで閲覧できるサービスを提供しました。また、保守会社が持っている情報を顧客に開示・共有することで、データ分析による障害出動率の低減、マニュアル改善による現場作業の効率化を図りました。具体的なサービスの導入効果としては、障害発生時の駆け付け件数の30%削減、機器交換数の30%削減などの実績があり、障害対応スピードの向上、保守コストの削減など、店舗運営に関わる工数やコストの削減が実現できています。
▲ 保守対応状況をリアルタイムで確認できるウェブアプリケーション
運用データの活用で、経営課題に応えるサービスヘ
今後は、現場課題を解決する統合保守サービスを基点に、データの利活用を組み合わせたソリューションを目指します。これからのソリューションの進化について、M&Sの開発を担う村田は次のように語ります。
「今後は店舗運営監視により得られる運用データを活用することで、ソリューションの提供価値をさらに高めていきます。例えば、店舗単位での分析だけでなく、複数店舗のデータを比較し店舗運営のベストプラクティスを見つけ、それを横展開することで、チェーン全体における店舗価値の底上げができると考えています。また、現場におけるお客様の運用データを継続的に取得することで、お客様の状況を深く理解し、お客様に寄り添うパートナーとして共に機器やシステムの管理・運用の最適化と業務運営における課題を解決していきます。さらに、従業員のエンゲージメントや店舗価値の向上にも貢献していきたいと考えています。」
▲ マネジメント・サービス推進課 村田 裕也
▲ 店舗運営監視により得られる運用データ(一例)
流通事業者の成長戦略には、店舗数の増加が必要ですが、ムダを排除し、コストを抑えながらの業務運営、サステナブルな店舗運営の実現が求められます。
私たちは、M&Sを現場課題解決から管理者・経営者の課題解決へと繋ぐトータルソリューションとして提供することで、企業の省力化・強靭化に貢献する業務最適化サービスへと提供価値を広げていきます。
関連リンク
ソリューション製品 - マネジメントサービスソリューション|オムロンフィールドエンジニアリング (omron.com)
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