医療情報のデザインに携わるデザイナーが手がけるライフスタイルブランド「SIGNS OF LIFE™」生命の尊さと多様性を表現する独自の世界観とは
株式会社ピージーは、医療分野に特化したデザイン・コンサルティングの会社です。幅広い領域で医療情報をわかりやすく設計しています。
当社が手掛けるSIGNS OF LIFE™とは、ブランドのデザインディレクターである私が医療情報のデザインに携わった経験から、生命と記号の関係性に着目し、それを表現することで新たな視点を提案するTシャツを中心としたライフスタイルブランドです。
人生の輝き(Shine of life)を表現するTシャツを中心に、クリエイターとのコラボレーションや、デッドストックを活用したサブブランドSIGNS OF LIFE™ Reviveなど、ユニークな取り組みを行っています。
ブランドの理念は、生命の尊さと多様性を象徴的に表現することです。デザインプロセスでは、記号や図形を用いて、生命の神秘や力強さ、そして繊細さを表現しています。
また、私自身がパーキンソン症候群という病気を抱えていることが、創作やコンセプトに影響を与えています。病気と向き合う中で、生命の尊さや人生の意味について考えています。その経験を通して得た視点を、デザインに反映しています。
生命の輝きや多様性、社会に前向きなメッセージを発信して私の個人的な経験も踏まえ、ユニークな視点でのライフスタイルを提案しています。
このストーリーでは、SIGNS OF LIFE™誕生の経緯やきっかけを振り返りながら、ブランドを通じて発信したいこと、これから目指す新たな展望について代表の川名がお話します。SIGNS OF LIFE™の世界観を覗いていただければ幸いです。
きっかけは社会における表現への疑問。多様性や想いを表現できるブランド立ち上げへ
SIGNS OF LIFE™は、現代社会に生きる全ての人々のために、ライフスタイルを提案します。私がこのブランドを立ち上げたきっかけは、客観的な科学的根拠を持つ「事実」をはじめとするテクノロジーによって、過剰に画一化された価値観が支配的な社会の中で、個人の多様性や自由な表現が抑圧されている現状に疑問を感じたことでした。
Tシャツは、その身近で手軽な特性から、着る人の個性や想いを自由に表現することができる、まさに「着る人の自由な表現の場」となります。一枚のTシャツを通して、人々が自分らしさを発見し、表現する喜びを感じていただけるよう、一枚の布に込める想いを大切にしております。
生命と人生の意味を問いかけるデザインで、自身の生き方を見つめ直すきっかけの提供へ
また、SIGNS OF LIFE™は、「身体と心と記号の関係性」を表現することで、生命とは何か、人生とは何かを問いかけます。生命の多様性と尊厳を象徴的に表現することで、人々が自身の生き方を見つめ直すきっかけを提供します。
例えば、“HEART”は、SIGNS OF LIFE™におけるもっともスタンダードなデザインです。身体の心臓と心の両方を表すheartという英単語の二重性に注目しています。身体と記号、心の関係を象徴し、私たちが自らの存在や感覚をどのように認識しているのか、その曖昧さや不確実性を表現し、ブランドの掲げる「生命のサイン」というコンセプトを表現しています。「生命のサイン」とは、人間と環境、または社会との関係性に新たな視点を提供するものです。
さらに、サブブランドであるSIGNS OF LIFE™ Reviveでは、基本的に一点ものであるデッドストックに新しい意味づけをして生命を吹き込むことで、サステナブルなライフスタイルを提案しております。モノへの新しい価値づけを通して、現代社会における本当の豊かさとは何かを問いかけ、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えております。
SIGNS OF LIFE™ Revive "K"AMOUFLAGEシリーズ
デッドストックの迷彩柄ジャケットに、AIが生成した鴨のイラストをシルクスクリーン印刷しています。 これは、迷彩柄の概念を再解釈し、自然と調和するデザインとして表現しています。
自身の経験から未来の不確実さにこそ希望があると考え、思いを込めたブランドメッセージ
デザインディレクターである私は、20年近く医療情報のデザインに携わってきました。医療情報は人類が集積してきた「生命の情報」です。複雑な情報を一般の方々のみならず医師や専門家、多くの人に伝わる形にするデザインプロセスを通して、私は「実は人間のことはまだまだよくわかっていない、せいぜい『何もわかっていないということがわかった』くらい」だと思いました。
また、私はパーキンソン症候群であることを公表しています。歩くのが不便で杖をついていますが、この症状は年単位でゆっくりと進行するのが一般的なので、考え方は以前とさほど変わっていないとも言えます。
医療情報を扱う仕事をしてきた経験から、病気そのものを特別視することはなく、誰にでも起こりうることだと理解していたつもりでしたが、パーキンソン症候群と診断されたことで、「普通である」ことの定義が実体験を通して変化し、社会的な寛容さについて考える機会が増えました。
これらの経験は、SIGNS OF LIFE™のメッセージにも反映されています。たとえばTシャツ「Uncertainty is HOPE」には、楽観的なメッセージを込めています。これは、未来は不確かであること、そしてその不確実さの中にこそ希望があるという思いを表しています。
ブランドの立ち上げに立ちはだかった数々の課題、試行錯誤を繰り返す日々
自分の中で表現したいコンセプトは早い段階でまとまったのですが、アパレル業界の経験があるわけではない弊社では、それを市場に流通させる方法を模索しました。また、高品質な製品を小ロットかつ適切なコストと納期で生産するにはどうしたらいいか考えました。
結果として、ブランドや洋服はコンセプトを表現するためのキャンバスであって、アイテムは幅広いバリエーションをつけるよりも、Tシャツに絞った方が自由度が高い上に、在庫管理もしやすく流通や市場にも乗せやすいという結論に至りました。
またデザイナーとして自分の目で仕上がりを確かめるために、ネット上の印刷会社ではなく足を運びやすい大田区の小さなシルクスクリーン工場をいくつかピックアップしました。現場の職人たちの意見を聞いたり、豊富なサンプルを見せてもらい、「どうなるかわからないけどこれもやってみたいですね」という感じで、実験的な要素も取り入れながら印刷方法を決定しています。
最初は「場違いなところにいるデザイナー」という目で見られていましたが、何度も足を運ぶうちに自然とコミュニケーションが取れるようになったと思います。
コンセプチュアルなアプローチをTシャツに持ち込む
そもそもSIGNS OF LIFE™を作るきっかけとなったものは、2021年ルイヴィトンのクリエイティブディレクターだったヴァージル・アブローの死が報じられ、彼の辿った足跡やクリエイティブが様々なメディアでまとめられているのに触れたことです。
アブローはストリートウェアとラグジュアリーの融合を成し遂げた人物として知られています。しかし私が強い関心を抱いたのは、アーティストのマルセル・デュシャン(1887 - 1968)とその作品であるレディメイドに影響を受けたであろう創作に対するコンセプチュアルなアプローチで、デュシャンに影響を受けたことは本人も繰り返し述べています。
そして私自身がその手法に触発され、「こういうやり方だったら、自分でも真似できるんじゃないかな」と感じました。アウトプットは全く違いますが、SIGNS OF LIFE™につけたTM(トレードマーク)は、彼のブランドであるOff-White™へのささやかなオマージュです。
これらの経験を通して、私は従来の医療(Medical)/デザイン(Design)より一歩踏み込んで、生命や身体(Life)/記号と象徴(Sign)、そして個人の「心」のバランスを主題としたSIGNS OF LIFE™を、AIとテクノロジーの時代のライフスタイルとして提案できると思いました。
Tシャツの品質へのこだわり
SIGNS OF LIFE™の大人向けTシャツ(S〜XLサイズ)は、日常生活で気軽に着用できるよう、シンプルさとコストパフォーマンスのバランスを重視しています。
生地には、滑らかで毛羽立ちにくい高級綿糸であるコーマ糸を使用し、6.2オンスの厚みを持たせることで、型崩れしにくく、柔らかい風合いを実現しています。また、首周りにはダブルステッチを施し、形とシルエットが長持ちするよう工夫されています。
ジャンルを超えて活躍するアートディレクターが、テーマを熟知し手がけたデザイン
SIGNS OF LIFE™のシンボルマークは、アートディレクターの井上嗣也氏にデザインしていただきました。井上氏は、コムデギャルソン、パルコ、YMOなどの広告や音楽ジャケットを手がけ、ジャンルを超えた活躍で知られています。
シンボルマークは、木霊のような可愛らしいデザインで、どこか謎めいた生命力を感じさせ、世界や生命そのものに対する愛情と優しさ、自由で鋭い直感、自然の中に感じる精霊や魂のようなイメージが溢れています。また、このシンボルマークには、SUNNYとLOVELYという名前が付けられていて、シンボルマークをプレゼンしていただいたその場で決めました。
シンボルマークは、SIGNS OF LIFE™のテーマである「身体と心と記号の関係性」を表現しています。このテーマを深く理解し、瞬間的にデザインに落とし込んでいただいたと思います。
駆け出しのデザイナー時代に出会った井上氏との縁
井上嗣也氏と私との出会いは、20年ほど前に遡ります。当時、私はまだ駆け出しのデザイナーで自分の作った成果物を見ていただいたのが関係の始まりです。
レベルが高いとは到底言えない私のデザインを丁寧に見ていただき、「いいデザインじゃないか」と言ってくださいました。当時の私は、デザイナーとして生きていけるかどうかも分からないような状況で、伝説とも言えるデザイナーからそのような言葉を頂いたので、勇気づけられたものです。
今回私がSIGNS OF LIFE™を始めるにあたり、シンボルマークは自分で作るのではなく井上氏に作っていただき、それを背負うことでSIGNS OF LIFE™を自分のライフワークとしたいと考えておりました。
ECサイトから販売を開始 直接お客様のご意見に触れる大切さを実感
まずはアイテムを絞って、ECサイトから始めましたが、友人知人をはじめとして、取引先からも購入していただき大変ありがたく思っています。中にはオンラインで打ち合わせした新規のクライアントにご紹介したところ、その場でご購入いただいたこともありました。
今まではBtoBのビジネスに携わることが多かったのですが、
「父親にプレゼントし、親子で一緒に着ています」
「夫の誕生日に着てもらいました」
「生地が厚くて丈夫な素材なので、安心して繰り返し着れる」
など、直接お客様のご意見に触れるというのは、金額以上に勇気づけられる貴重な体験です。
課題としては、店舗がなく、実物を手にとっていただく機会がなかなか作れないことでしょうか。実際に見ていただいた方はECサイトにて購入されていきますので、どこかセレクトショップにおいていただくことも考えるべきかもしれません。
今後の展望について
文化的な意味を持つ記号を再現し、ブランドの価値観を表現
すでに文化的な意味を持つ記号を再現することで、SIGNS OF LIFE™の価値観を表現していきたいと考えています。例えば、“Owl”は神秘性や様々な伝承を持つフクロウをモチーフにすることで、多様性や記号の多義性を表現しようとしています。
AIやテクノロジーの積極的な活用
SIGNS OF LIFE™は、AIやテクノロジーを否定するのではなく、積極的に活用していく姿勢です。 サブブランドであるSIGNS OF LIFE™ Reviveのデザインプロセスのほか、AIを利用したパターン生成やビジュアル制作などを積極的に取り入れています。
しかし、テクノロジーが席巻する現代社会において、わかりやすい合理主義や新自由主義的な価値観に偏ることなく、曖昧さや多義性をそのまま受け入れることの重要性を主張しています。 AIやテクノロジーを活用しながらも、人間の感情や主観、そして生命の輝きを表現していくことが、SIGNS OF LIFE™の根幹にあると言えます。
子供の健やかな成長や教育、子供に関する社会問題への取り組み
子供むけのラインナップを充実させていきたいと考えています。子供向けは遊び心を発揮しやすいので、グラフィックデザイナーに出自を持つ私が楽しく考えることができます。子どもたちが遊ぶ姿が大好きなので、Tシャツがくたくたになるまで着てほしいです。
具体的な計画はまだありませんが、子供に関する課題をテーマとして考えています。子供たちの健やかな成長や教育、そして彼らを取り巻く社会問題など、自分ができる貢献を模索していきたいと思います。
例えば、昨年は息子の友達たちとスポーツドクター監修のもと卓球バレーを行いました。スポーツを通じて、健康的で活動的なライフスタイルを提案することができたと感じています。
ジャンルを広げていき、現代社会におけるライフスタイルの提案へ
SIGNS OF LIFE™は、Tシャツブランドとしてスタートしましたが、今後はジャンルを問わず様々な活動を展開していく予定です。これは、現代社会におけるライフスタイルを提案するというブランドの目標に基づいています。
今後も、ファッションやスポーツ、アート、教育など、様々な分野で活動を展開し、SIGNS OF LIFE™らしい視点で現代社会に新たな価値を提供していきたいと考えています。そして、それらの活動を通じて、多様性を尊重し、自由な表現を促す社会の実現に貢献できればと願っています。
アイテム一覧
HEART
HEARTは、SIGNS OF LIFE™におけるもっともスタンダードなデザインです。身体と記号、心の関係を象徴し、私たちが自らの存在や感覚をどのように認識しているのか、その曖昧さや不確実性を表現しています。
LOVELY
独特のアニミズムと謎めいた生命力を持つSIGNS OF LIFE™のシンボルマークLOVELYをデザイン。SUNNYよりちょっと可愛らしい印象があるかもしれません。
SUNNY
独特のアニミズムと謎めいた生命力を持つSIGNS OF LIFE™のシンボルマークSUNNYをデザイン。LOVELYよりちょっと逞しい印象があるかもしれません。
PLAIN
PLAINの前面は無地という究極のシンプルさをデザインすることで、「主張しないこと」を特徴としています。この主張しないデザインは、日常の様々なシーンでの着用を可能にし他のアイテムとの組み合わせによって、異なる表情を見せることができます。
SIGNS OF LIFE™について
Instagram:https://www.instagram.com/signsoflife_tokyo/
X:https://twitter.com/signsoflifetyo
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