ワインを作りたくて世界を旅してみる話 第七回
ゼロになったつもりが、ゼロじゃなかった。
Napaに行ったことは、結果的によかったんだろう。
NapaのWine trainツアーに参加出来たおかげで、私を導いてくれる方々に出会った。
San FransiscoからNapaへは、フェリーに乗って更にバスに乗り換えて計1時間半程。
フェリー乗り場へ行くと、一人の年配の女性が立っていた。
聞いてみると、同じツアーに参加するべく、友人達を待っているとのこと。
乗り場を確認してからトイレに行くのに、彼女は「荷物見といてあげるから行ってきなさいよ」と。私の大量の荷物を見て言った。
トイレから戻ると、5人の女性が私の荷物の周りにいた。
全員、サンフランシスコ在住の方々。
私は、彼女達に御一緒させてもらうことにした。
本当に、楽しい時間を過ごした。
ワインメーカーとも話すことが出来た。ここでは、全く可能性はなさそうだったけども。
「サンフランシスコ、来ちゃいなさいよ。」
女性グループの中の一人が言った。
「そうですね、本当に来てしまおうかなと思います。」
彼女達は連絡先を教えてくれて、去っていった。
そして、嬉々とした気持ちでLAに戻る。
再度働き始めて3日後、ボスに呼び出される。
「お前はよくやってると思う。だけど、お前はここを去った方がいいと思う。」
開口一番、彼はそう言った。
「これから裁判が始まる。戦う相手はお前の友人のいる会社だ。お前達の友情を傷つけかねない問題になるかもしれない。だから、ここを去ってほしい。」
目の前が真っ暗になった。
Napaに行きたい気持ちはあったけど、いざ、目の前に解雇を突きつけられると正直戸惑った。
理由が理由だけに戸惑った。なんだよそれ。
むちゃくくちゃだぜ。
ただ、これでLAでの仕事は失う。
Napaに行けということだろう。
そう、言い聞かせた。
すぐに、Napaで出会った女性にメールした。
「San Fransiscoへ向かいます。」
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