ワインを作りたくて世界を旅してみる話 第七回

前話: ワインを作りたくて世界を旅してみる話 第六回

ゼロになったつもりが、ゼロじゃなかった。

Napaに行ったことは、結果的によかったんだろう。

NapaのWine trainツアーに参加出来たおかげで、私を導いてくれる方々に出会った。

San FransiscoからNapaへは、フェリーに乗って更にバスに乗り換えて計1時間半程。

フェリー乗り場へ行くと、一人の年配の女性が立っていた。

聞いてみると、同じツアーに参加するべく、友人達を待っているとのこと。


乗り場を確認してからトイレに行くのに、彼女は「荷物見といてあげるから行ってきなさいよ」と。私の大量の荷物を見て言った。

トイレから戻ると、5人の女性が私の荷物の周りにいた。

全員、サンフランシスコ在住の方々。

私は、彼女達に御一緒させてもらうことにした。


本当に、楽しい時間を過ごした。

ワインメーカーとも話すことが出来た。ここでは、全く可能性はなさそうだったけども。


「サンフランシスコ、来ちゃいなさいよ。」
女性グループの中の一人が言った。

「そうですね、本当に来てしまおうかなと思います。」

彼女達は連絡先を教えてくれて、去っていった。


そして、嬉々とした気持ちでLAに戻る。

再度働き始めて3日後、ボスに呼び出される。

「お前はよくやってると思う。だけど、お前はここを去った方がいいと思う。」

開口一番、彼はそう言った。

「これから裁判が始まる。戦う相手はお前の友人のいる会社だ。お前達の友情を傷つけかねない問題になるかもしれない。だから、ここを去ってほしい。」

目の前が真っ暗になった。

Napaに行きたい気持ちはあったけど、いざ、目の前に解雇を突きつけられると正直戸惑った。
理由が理由だけに戸惑った。なんだよそれ。

むちゃくくちゃだぜ。

ただ、これでLAでの仕事は失う。
Napaに行けということだろう。

そう、言い聞かせた。
すぐに、Napaで出会った女性にメールした。

「San Fransiscoへ向かいます。」

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