「命の恩人」は横浜ベイスターズ
ベイスターズ、
プロ野球に触れている時間はとにかく楽しかった。
吃音がどうとか。
そういうことを忘れられるほど。
自分ではあまり自覚がなかったけれど、
その時にすでに「ファン」になっていたんだと思う。
それほど、心は充実していた。
・・・そして、ついに2007年シーズンが開幕。
今までは、ただただ退屈なだけの毎日だったが、
そうではなくなっていた。
「ベイスターズの試合を見る」
という「日々の目的」が生まれたから。
18:00になるのが待ち遠しくてたまらなかった。
毎日に「軸」ができたことで、
家事なども率先して手伝うようになったし、
不思議と活力も湧き出るようになっていた。
そんな変わるなんて信じられない!
と感じる人もいるかもしれないけど、
そのぐらい「目的」というのは人にとって大切だということなんだと思う。
何もない荒野の中にただ立たされても呆然としてしまうだけだけど、
そこに何か建物があったりすれば、
歩く気力が湧いてきたりする。
また横浜スタジアムに行くという「外に出る」目的も生まれたことで、
外に出るという機会が徐々に増えていった。
チケットを買う時の恐怖は正直耐え難いものがあったが、
それを乗り越えてでも生で試合が見たかった。
現地での観戦はとにかくすごかった。
ファンの声援が心臓にどんどん鳴り響いたし、
選手が打ったボールが外野に飛んでくるときの
あの感じがたまらなかった。
「非日常」がそこには確実にあって、
「こんな世界がこの世の中にもあるのかあ」
自分の周りだけの世界がすべてではないと、
そう感じさせてくれた空間だった。
ベイスターズが勝った日はテンションが上がったし、
負けた時は食べ物がのどを通らないほど凹んだりした。
でも、そんな風に感情が動くことがすごい楽しかった。
不登校になってからはそんな感情が動くなんてことはなかったから。
ただの屍から、
やっと「人間」に戻れたような、
そんな感じがした。
それからはもう「死にたい」なんて思わなくなったし、
「もっと頑張って生きたい!」と思えるようになった。
「死んじまったら、
ベイスターズの試合が見れなくなっちゃうじゃないか!!」
2014年シーズン。
グリエルが加入したりもしたが、
今年も相変わらずの最下位争いを展開している。
でも、「最下位争い」できるほどにチームは進歩してきている。
少し前までは5位にすら10ゲーム差以上つけられるほどの
ダントツの最下位を連発してきていたんだから、
それは大きな進歩だ。
ベイスターズには本当に大事なことを教わった気がする。
「どんなダメなやつでも、いずれは変わることができるんだよ」
人生に絶望していた俺も、
今は大学を卒業し、
吃音もだいぶ改善して、
自分の目標に向けて日々を突っ走っている。
まあベイスターズ同様まだまだだけど、
それでもいずれ「優勝」できる日を信じて、
頑張っていきたい。
生きる目的を与えてくれた、
ベイスターズに恩返しの意も込めて。
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