1年間のカナダ留学から帰る途中の話。「マニラエキサイティングすぎるぞおい」②

前話: 1年間のカナダ留学から帰る途中の話。「マニラエキサイティングすぎるぞおい」①

 1年間のカナダ留学から帰る途中のフィリピンの空港での話。


前回のあらすじ:Kはお金のない絶望的な状況の16歳の青年を助けようと青年と一緒にインフォメーションセンターに向かう。するとそこに、お金も持ちそうなフィリピン人のおじさんが日本語で話しかけてくる。

Kが発展途上国の空港での出来事に苦悩しながらも、いろいろなことを学んでいくストーリー。

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カフェのwifiが100ペソかかるということで悩んでいたら、金持ちそうなおじさんから日本語で、「羽田から来たんですか?」と聞かれた。

そして俺は「いいえ、明日成田に帰ります。」と答えた。日本語で。

そのおじさんになぜかはわからないけど興味を惹かれた俺は、「逆になんでそんな質問をしたんですか?」と聞いて見た。

そしたら、「羽田から来る日本人を待っています。」と答えてきた。

さらに、そのおじさんは自分からタレント事務所を経営して、日本にフィリピンからタレントを送っていると言う。

正直字ズラだけ眺めていると、嘘くさいがそのおじさんの身なりや使いパシリを扱うそのそぶりから、そんな疑いを持つことはなかった。

俺自身もこのおじさんすげえってことで結構テンション高めでおだててたら、ここに来た理由を聞かれた。

それで彼の彼女と連絡を取るためにwifiを使うことができるというこのカフェまで来たという経緯を説明した。

でも俺金ないんだよなといってたらそのおじさんがおごってくれるという。

いきなり知らない人におごってもらうなんて、申し訳ないし、気まずいと思っていたんだが、フィリピン人の気質に負け、素直におごってもらうことにした

そこでさらに自分がバンクーバーから来たことや、今夜空港で泊まる予定だということを話していたら、めちゃくちゃ心配されて、

さらに2000ペソ俺にくれた。

「マジかよ」と思いつつ、実際それがどのくらいの価値かもわかってなかった。(※日本円で4400円くらい。フィリピン人の平均月収は約20500ペソなので現地の一般人からしたら1~2万円の価値はすると思われる。)

そこで俺は完全にそのおじさんはいい人だと信じ切っていた。

話しは盛り上がって、とりあえず空港で一夜を過ごすのは危ないと強く指摘された。

フィリピンについて全く基礎知識がない俺はそうなのかなとほぼ信じてそのおじさんの言うホテルに一泊しようか本気で考えるようになった。

その瞬間俺はそのおじさんを怪しいと思うよりただコーヒーをおごってもらい、2000ペソもらい、もうこれ以上おじさんに迷惑かけられないと言う理由から答えを渋っていた。

そんなこんなで迷っていたら、後ろにいた全く関係のない日本人が話しかけてきた。

そのおじさんはすごく優しそうで、ただ今はバンクーバーからマニラに直通便があるんですか?と聞いてきた。

「はいそうです」と答えて

その人とちょっと会話を始めた。

内容は今、フィリピン人のおじさんと話していたホテルのことに写って行く。

確かに空港は危ないと言われた。

職員も荷物盗む人だっているよと聞いて、その瞬間まじでそのフィリピン人のおじさんについて行こうかと思った。

けど、日本人のおじさんはさらに話を続けて、フィリピン人のおじさんが誰かと電話してるうちに、小さくこの人怪しいよ。
ついてかないほうがいいよ。ってのをジェスチャーと小さな声で教えてくれた。

そこでやっと俺はそのフィリピンおじさんを疑い始め、

話がよすぎるぞ、と。

そんで日本人のおじさんはバスを待っていたらしく、俺も街の中心に行くから一緒に来てもいいよ。そして、4,5000円払って安全なホテルに泊まったらいいよとアドバイスをくれた。(※その日本人も皆さんは信じてはいけません。もし彼が本当のことを言っていたとしても、外で話しかけてきた人を信用してはいけません。海外では日本人が日本人観光客を騙すことも日常茶飯事です。)

今度はその人について行くか迷い始め、かなり悩んだ。

もうその時はその彼のことなど忘れていた。

でもやっぱり今の俺に4,5000円は大金だし、彼を彼女に合わせる使命も果たせてないし、悩みに悩んだ挙句残ることに決めた。

その日本人おじさんはそのままバスに乗って消えた。

今度はまたそのフィリピンおじさんと相手しないといけない。

しかし、そのおじさんはもうちょっと待ってたら、タレントたちも飛行機から来るし、ホテルも紹介してあげるよと繰り返し繰り返し行ってくる。

すっかり化けの皮が剥がれたおじさんからいかに早く、ことを大きくせずに逃げられるかだけを考え出していた

俺はその状況から逃れるために彼の彼女が待っているからと行って速やかに且つ穏便に立ち去ろうと

最後のほうはおじさんも信じてないでしょ、と聞いてきた。終始いい人であることは変えなかった

フィリピンおじさんも俺らが怪しんでることに気づいてて少し諦めてるようだったのがチャンスでもあった。

なんとか揉め事も起こさずその場を立ちされた俺らは、もうインフォメーションセンターを探すのを諦めて空港のエントランスの一番目立つところで彼女を待つことにした

その頃また母親と電話して彼女のほうに俺らがいるところを伝えてもらった

しかしそこで30分待っても40分待っても迎えに来ない。

俺はこの子もまた彼女に騙されたかわいそうな子なんじゃないかと思うようになった。

でも90分ぐらい経った頃やっと彼女とそのお兄さんが彼を迎えに来た。

聞けば彼らの関係も昨日で2年と3ヶ月になるそうだ。

無事に彼を送った俺は予定通り、空港で一人夜を明かす予定だ。

「マニラエキサイティングすぎるぞおい。」

~完~

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おまけ(その後のKと僕(中野)の会話。)

ー青年は?

彼は彼女とそのお兄さんと一緒にお兄さんのうちに車で帰った。

もう誰も信じられんな。

ーフィリピン行くと人間不信になるよね。(中野もマニラ渡航歴あり)

うん。なった 。かなしいな。

ータクシー 絶対ぼったくってくるし。

めちゃくちゃ人の良さそうな顔して人を騙してくる

ー優しくしてくるやつは基本あかん。

悲しすぎるぜ

ーカナダどんだけ。笑

まあなんとか騙されず今ここに入れて感謝だぜ

カナダ人がよすぎる。フィリピンの対局の人たち

ーその日本人も多分 やばいよ。

ああ 今考えたらそう思う

ー日本人こそ信じたらあかん てとこある。

嫌やわ

ちなみに2000ペソって5000円くらい価値あんだな

ー遅いわ。笑

その彼に聞いてビビったわ

だってカナダドルからペソに変えたんだもん

俺は今そのおじさんがその金を取り返しにいつか襲って来るんじゃないかという密かな強迫観念に襲われている

ー空港いれば多分大丈夫。取り返しにきたら返せばいいさ

そうだな

ーフィリピン行くと人間不信になるよ。

うん。なった。かなしいな。

今となっちゃトイレ行くのにも一苦労だぜ

うんこなんかとても出来ない

今だいぶしたいんだけども

ーいけばいいじゃん。笑

荷物どうすんだよ

ー世の中腐ってるってことを知れてよかったじゃん。

ーそのままもってけばいいじゃん。

周り全員敵だぞ

わかった。

でも俺の荷物のうち一個は個室に入らないほどでかいスーツーケース扉の真ん前にでも置いとくか

ー多分 みんなそんなんやられてるんじゃない?騙される一歩手前ぐらいは。

ーで、人間不信になる。

かもね。

もうフィリピンはいいやという気持ちにまでなっている。気をつけろよ。

知らない人について行っちゃ行けないんだからな。笑

ーやっぱ日本って素晴らしいよね。

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観覧ありがとうございました。読んでいただいた方々にはぜひとも感想をコメントに残していただけたらと思います。

そうでなくでも彼の体験について何か感じるものがあれば、海外(特に発展途上国)でのそういった被害者を減らすためにも、星だけでも残していただけると幸いです!(もしよければ彼の、青年への優しい行いを広めるためにもご評価いただけたらと思います。笑)





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