人を捉えるもの

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でも、何だか話さずにはおれなかったのです。




そこからは、参加者に教師の方が多かったせいか、「教育とは?」みたいな議論が長く続きました。あまり内容は覚えていません。




そうして、シェアリングサークルの時間が終わりました。


私は、特に何か学んだことがあったわけではないけど、ゆったりして気落ち良かったなと思いながら、腰を上げました。




すると、先ほどの悩みを話された女性が、まっすぐに私の方に向かって歩いてくるのです。


私と彼女とは、面識がありませんでした。


私は、ぼんやりと彼女が近づいてくるのを見ていました。




「あの…先ほどはありがとうございました。」


「え…はい?」


「あなたの話が、私の気持ちをそのまま語って頂いたような気がして、とても楽になれました。他の先生方のアドバイスより、嬉しかったです。ありがとうございました。」


「あ…そうですか。それは…ど、どうも」




まるで、狐につままれたかのようでした。


口をぽかーんとして、頭をかいていたような気がします。


私は、彼女のことを話してはおらず、自分の気持ちについて話しただけです。それをその女性は、自分の気持ちをそのまま代弁してもらったように感じたということでした。





その女性とは、私の住んでいるところからは遠くにいらっしゃいますが、毎年年賀状をいただいています。


今でも、あのときはありがとうといわれて、私も何と反応したら良いやら、返しの年賀状を前にして頭をひねっています。




何が起こったのか。


これは、たまたまのことです。


あるいは、私の守護霊が感応したとか、宇宙人の電波だとか、自然の大いなる力が潜在能力を活性化させたとか、何だって別に構いません。




ただ、その時思ったのは、人の言動というのは、案外論理や感情とは違う部分で動いているところが多くあり、そんなものに大きく影響されているのかなといったことです。


そんなちょっとだけ不思議な話でした。



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