震災が私にもたらした能力《最終話》

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前編: 震災が私にもたらした能力《第8話》ー自分を苦しめている思いー

心が1つになった時



2014年8月3日。

気仙沼港で開催された「気仙沼みなと祭り」に出掛けた。


港に沿って何百メートルにも渡ってずらりと並ぶ打ち囃子の太鼓。

それを笑顔で見守る大勢の人たち。

1つのメロディに合わせて奏でられる太鼓の音は、そこにいる全ての人の魂を震わせていた。


何百人もの人がたった1つの同じリズムを刻んでいる風景は、その場にとても不思議な一体感を生んでいた。


これが心が1つになるということか


生まれて初めてそんなことを思った。




太鼓や笛の奏者も、見ている人も、そしてこの海で亡くなっていった多くの人の魂も、太鼓のリズムに合わせて1つの魂となって空へとのぼり、宇宙に溶け込んで行くような不思議な感覚を覚えた。


そして、


あぁ。太鼓の音と多くの人の祈りが亡くなった人の魂を浄化してくれたな。

という安らぎに包まれた。


亡くなった人はもう大丈夫。



あとは、残った人の心だ。

震災から3年。ガレキが取り除かれた以外、ほとんど何も変わっていない現状に、

街全体が


この街はもうこれ以上、豊かになることはない


という諦めと


絶対に復興してやる


という、相反する二つの思いに包み込まれていた。

そして、この二つが混じり合うことは決してなく、温度差がはっきりと見て取れた。


みんなの読んで良かった!