震災が私にもたらした能力《第8話》ー自分を苦しめている思いー

前編: 震災が私にもたらした能力《第7話》ー手放すという幸福ー
後編: 震災が私にもたらした能力《最終話》

母親の呪縛


カウンセリングでもなんでもないある日。

年上の友人と話していて「母親の呪縛」の話になった。

彼女もセラピストで出会ってまだ数ヶ月だったけれど、なぜか気が合いあっという間にいろいろな話をするようになった。


彼女にはもう結婚している娘さんを筆頭に3人の美しい娘さんがおり、親子関係もとても良好だった。

私にはまだ幼稚園の年子の男の子が2人。


そんなことから、その日はお互いに母親という立場で、


母親は自分の不安を子供に押し付けないほうが物事が上手く行くのではないか


という話をしていた。


というのも、2年ほど前のこと。

当時、年中だったうちの長男の友人の女の子が男の子にからかわれて幼稚園に行けなくなっていた。

最初は「ちょっと行きたくない」という感じだったのが、どんどんエスカレートして、しまいには全く行けなくなってしまったのだ。


女の子の母親と話し合い、女の子の母親抜きで何日か一緒に登園することになった。




1日目。途中まではご機嫌で一緒に登園したのに、門の前に来るととたんに体が硬直してしまい、そのまま女の子は動けなくなってしまった。

教室には行かなくていいから、先生達のお部屋に行こう

と促して、その日は職員室に連れて行った。


2日目。また門の前で少し体にこわばりが観られたけれど、何も知らない長男が


長男君
いっしょにいこう♪

と手を引っ張ると、素直に一緒に教室に入って行った。


3日目。門で体がこわばることもなくなり、私が園庭で先生とお話をしている間に勝手に教室に入って行った。


これでもう大丈夫かもしれないということで、4日目は女の子の母親とうちの次男も交えて5人で幼稚園へと向かった。


すると驚いたことに、昨日はすんなりと教室に入った彼女が、また門の前で硬直して泣き始めたのだ。


ここで、


「お母さんがいるから甘えているんだね」


と普通の人は考える。

そして、


「やっぱり、お母さんがいつもそばにいてあげなきゃだめなのよ」


なんてもっともらしいことを言って母親に責任を押し付けて、どんどん母親を苦しめるのだ。


でも、そんなことを言う前にちょっと待って欲しい。

この状態をよく視てみると、こういう場合は大抵、母親から子供に向けて大量の「不安」の波動が出ているのだ。

母親から出た不安の波動は、そのまま子供に流れ込む。


子供は自分が不安だから、行かないのではない。


子供は母親から放たれた不安感を敏感に感じ取り、怯えて身動きが取れなくなるのだ。

面白いことにこの時、幼稚園に行くことに何の不安もなかったうちの次男が、この母親から発せられた不安の波動を浴びて大声で泣き始めた。


それほどまでに、人の不安の波動というのは強いエネルギーを発して周りに影響を与えるのだ。

それを払拭するほどの強い波動が、感謝とか愛とか呼ばれるエネルギーなのだけれど、不安に思っていることをいきなり、感謝や愛に変えろというのは普通の人には難しい。


たとえばこの母親の場合、子供が幼稚園に行かないことの何が不安だったのかというと、


◎子供が幼稚園に行かないと、自分が駄目な母親だからだと思われてしまうのではないか

◎子供が幼稚園に行かずに、仕事に行けなくなると職場であの人は人に迷惑ばかりかけると思われてしまうのではないか

◎子供が幼稚園に行かないなんて、姑に知られたらなにを言われるか分からない


リーディングをした訳ではないし、彼女の口から聞いた訳ではないけれど、おそらくこんなことを考えていたのではないかと思う。


多くの人は、他人軸で物事を考える。


「こんなことになって、他人からどう思われるか」


それが気になって、不安になってしまうのだ。

同じようなことで不安になった時、こんな風に考えて欲しい。


例えば、


誰か
あなたがそんな風だから駄目なのよ。もっとこうしなさいよ。

とアドバイスをくれた人がいるとする。

そのアドバイスは自分にとって、あまりいいアドバイスだとは思えなかったとしても、その人の言いなりになり、そうした結果、全く上手く行かなかった。


そのとき、そのアドバイスをくれた人は、上手く行かなかった結果に対して何らかの責任を取ってくれるのか、ということ。


子供のために仕事を辞めて、家で一緒に過ごすようにしたけれど、結局、子供が幼稚園に行くようにはならず、家計はひっぱくして夫婦喧嘩が増えるようになって最悪の場合、離婚に至ったとしても、このアドバイスをくれた人は決して自分の家庭のために、お金を出してはくれないし、ましてなんらかの責任を取ってくれることはないということを理解して欲しい。


そうすると、他人軸で生きて行くことなどバカらしくなる。

自分の人生に責任を取れるのは、自分だけなのだ。

他人からどう思われるかという不安などすぐに捨て去ってしまった方が楽になれる。


有名な誰それ先生が言った話も、病院の先生に言われた話も、テレビで言っていた話も、みんな自分や自分の子供に会わないと思ったら、信じなくてもいい。


そんなことをするよりも母親自身が変わった方が、子供の問題は案外すんなり解決する。


子供が生まれている時から見ているのは、昨日や今日、初めてあった病院の先生やカウンセラーではない。母親自身だ。


どうすれば、子供が笑ってくれるのか、

どうすれば、子供が喜んでくれるのか、


本当は他の誰よりも一番知っている。

だから自分以外の誰かの意見ではなく、自分の直感を一番に信じて、決して揺るがないで欲しい。


結局、その日は母親の波動が流れないところまで女の子を連れて行き、少し話をしたら女の子はすぐに教室に入って行った。


母親には


不安がらなくて大丈夫だよ。自分が仕事をするって決めたんだから、自分でこれで良かったんだって思わないと。不安は子供に伝わるから、大丈夫だってちゃんと自分に言い聞かせて

そんな話をしたと思う。

そうしたら、翌日からその女の子は普通に幼稚園に通うようになった。




この話を友人に話していたら、


友人がふと黙り込んでなにかを考え始めた。そして、おもむろに口を開いた。


友人
今、話を聞いていて思ったんだけど、逆のパターンもあるよね
え?どういうこと?
友人
私はね。娘が独立することを全然嫌だとは思ってないの。
でも、娘が“お母さんを一人に出来ないから独立できない”っていうのは、実は、娘の方が一人になるのが怖い言い訳を親の問題にすり替えてるのかな、と思って

なるほど、と思った。

母親の呪縛は、母親がかけているとは限らず、子供の方が自分で自分にかけているという可能性もある。


お母さんのいうことは絶対だ、とか

お母さんに迷惑をかけちゃいけない、とか。


実は、母親の方はちっともそんな風には思っていないのかもしれないのに。


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震災が私にもたらした能力《最終話》

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