ぼくはバイ菌(8~9歳)
前話:
継母(8歳)
この年、栃木県から新潟県へ引っ越しました。
この頃から、夫婦喧嘩が増えてきました。
それは怒鳴り合いだけではなく、父は継母に対して暴力でねじ伏せます。
子どもが見ていようが、関係ありません。
僕の目の前で継母を容赦なく殴っている父。
それに対して暴言を吐きまくる継母。
その暴力の矛先がいつ自分にくるのかと、ビクビクしていました。
こうして弟も殺されたんだよなぁ…って思いながら。
家に帰るのがとにかく嫌だった僕は、
いつも遠回りして学校から家に帰っていました。
遊ぶ友達がいるワケでもないので、
あてもなくフラフラと一人で歩いていました。
新潟に引っ越す少し前に、父と継母の間に子供が生まれました。
僕からすると、弟です。
母親が違うとはいえ、僕は弟ができたことをの密かに喜びました。
亡くなった弟のことがずっと忘れられず寂しかったからです。
『兄ちゃん・・・兄ちゃん。』
ってまた僕に付いてきてくれるのかな…?って。
しかし、弟との接触は継母から一切許されていませんでした。
弟に近づこうとすると、
『他人が人の子に絶対に触らないで!』
とヒステリックに叫ぶ継母。
それでも弟のことが気になる僕はある日、こっそり遊ぼうとしました。
まだ赤ちゃんだった弟がキャッキャと言って一人で遊んでいる姿を見て可愛いと思い
継母がいない隙に思わず近づいてしまったのです。
頭を撫でて、小さい手を握りました。
抱っこしてみようと思っていた時、継母が戻ってきました。
何も言わずに弟を抱き上げて、お風呂場に連れて行きました。
継母は弟に優しくこう言っていました。
『バイキンに触ったから、消毒しようね~!』
その日を境に僕は、弟とは接触することをやめました。
著者の橋本 隆生さんに人生相談を申込む
著者の橋本 隆生さんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます