泣きっ面に警察。

次話: 泣きっ面に警察 その2

えーと、幾つのときだったかな。

車を持って、独り暮らしの時期だから24歳の冬ですかね。


勤めていた警備会社を辞めて、デザインの世界へ、ということで就職活動をしてたものの、経験がない、ということで断られまくって、なんとか友人の紹介でアパレル会社のMACオペレーターとして働いていた頃です。


警備会社で結構荒稼ぎしてたのに、そのアパレル会社では給料半分くらいに減っちゃって。でもなかなか生活レベル下げられないもんであっという間に金なくなってったんですよね。そんな頃にフリーで仕事を一緒にやっていた友人から「バイト」のお誘いが。


学生時代の友人でして、一緒にVJとかやってたし、彼の仕事の手伝いとかもしてたんですよ。その代わり、きっちりギャラ払わないと動かないぞって。


そんな間柄の彼から「自分の事務所で雇う若いコの引越しを手伝ってほしい。ギャラは払うから」と言われ、二つ返事でOK出しました。ギャラは1万円。それじゃ安いだろ、と交渉したんですけどね(友人は結構おぼっちゃん育ちでガリガリ。こういった作業では役に立たないのわかってたんで・・・)。


曜日を細かく覚えてないけど、土曜日の深夜に出発だったかな。

週末と引越し翌日が仕事だったから。


詳しく聞くと浅草の辺りから名古屋までの引越し。

独り暮らしだし、家に荷物何もないからラクだよ、と言われ「それなら楽勝じゃん」と。


集合は友人の事務所前。

車で事務所まで行って、事務所の前に路上駐車。当時は今ほど路上駐車取締り厳しくなくて、よくタクシーとかバスとか停まってる場所だったし、過去何回もここに停めて友人の事務所で作業の手伝いとかもしてたんすよ。


それでもね、今から東京行って帰ってくるのは日曜の深夜。さすがに丸一日路上駐車は不安だったんですよ。そしたらツレは「ここなら絶対大丈夫だって」と断言。その言葉を信じて、車を停めました。


引越しに使うために借りてきた車は軽トラ1台。

いくら、独り暮らしで荷物少ないとはいえ、家財道具やPCとかもあるんだろ?と不安に思ったので、確認しましたが、これに対しても大丈夫、と。


多少の不安を抱えながら、運転席に座ります。

一応3人がけなんですが、男3人はきつい!!僕も友人もその後輩も細身(後輩に到ってはもやし君)なんですけど、狭いし、寝れないし、タバコ吸えないし・・・。


運転は友人。後輩は真ん中。僕は助手席。

僕はその日は仕事だったんでね、友人は気を利かせて寝てればいいからなんて。こんな身動き取れない状況で眠れるか!!

そのまま浅草の後輩の家まで到着。下町だからか道が細い。


後輩の住んでる部屋はアパートの2階。

元々、僕が呼ばれたのはパワーを買われてのことなので、こっからが僕の出番(結局寝てないので徹夜なんですが)。


まず、部屋の中を見て運び出す順番を決めます。

ん~最初に大きなものから運ぼうかな・・・と後輩と相談してたら、友人の様子がおかしい。

「んーどうしたぁ?お前も上がってこいよ」

「わりぃ、熱あるわ、俺。」

はぁ?ですよ。見ると顔が赤い。確かに熱あるっぽい。体質弱いくせに無理するもんだから・・・ったく。しょうがないので、ツレを運転席に放置して引越し開始。


で、この後輩がまた使えない。


自分の引越しなのに、何をしていいのかわからないみたいで、僕が荷物運んでるのをただ見てるだけ。こっちもいちいち指示出せる状況じゃないし、早いとこ引越し終えて名古屋戻らないと友人がやばい。


とにかく必死にハイスピードで荷物を降ろして、車の荷台に積む。

後輩は小物を運んでるだけ。おまえなぁ・・・。


軽トラに積んでくのはいいが、やっぱり足らない。

面積たりないっすよー。でももう一往復とかなんて絶対やれないし、アパートの退出期限もあるから、上乗せしまくってなんとか全部積み終わる。


もう汗だくだし、メシも食わずに作業してるから全身ダルイ。

荷物を積み終え、ヒモ(実際にはロープですけどね)で固定しようと思い、友人にひもを持ってきてるか確認する。


「おい、ヒモは持ってきてるだろうな?」

「あぁ、これ」


と聞いて、出されたのは

荷造り用のビニールヒモ・・・。


えーとさ、お前、いくら苦労知らずとはいえさ、バカジャナイノ???

こんなんで、トラックに固定できるかーい!!切れるに決まってるだろが!!と先ず僕がキレた。なんで? 大丈夫だよ、とほざく友人。ダメだコイツ。話にならん。


仕方ないので近所を走り回って、もう少し丈夫そうなものを探すが、ビニールヒモしかない。何件か回って見つけたのが麻ヒモ。

まぁ、ビニールヒモよりはマシか・・・ということで自腹で購入。


ぐったりしているツレとボケーっとみているだけの後輩の待つアパートへ戻り、荷物にブルーシートかぶせ、それを麻ヒモで固定していく。警備会社時代に派遣されていた先で、消防のロープ結索方法を習っていたので、それがこんなとこで役立った。何でも経験してみるもんである。

著者の平田 睦さんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

泣きっ面に警察 その2

著者の平田 睦さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。