泣きっ面に警察 その2
男3人で東京→名古屋の引っ越しを実行するべく、東京へ向かい一人は熱をだし、車で寝てる。
もうひとりは何をしていいかわからず、おろおろと動き回る。
そんな最中、ギャラをもらうというのもあり、必死こいて引っ越し作業で車に荷物を積み込む、僕。
全て荷物を積み込み、自腹で買った麻ヒモとビニールヒモで荷物に被せたブルーシートを固定する。
さぁ、名古屋に戻るぞ。
一通りの作業を終え、いざ名古屋へ向けて出発。
友人はグッタリしてるし、僕は重労働したので後輩に「おめー運転してけよ」と鍵渡したら
「僕、免許ないんですよ」
「な ん だ と ?」
目を見開いた。頭のなかが真っ白になった。免許なしでも運転してけ!!とむちゃくちゃなことも思った。徹夜あけの重労働、メシ抜きである。あとは荷降ろしだけだ、と思ってたので集中力も切れかけている。が、しかし、熱ある友人に運転させることもできないので、仕方なく、僕が運転することに。
もう、疲れたわ、腹が立つわで帰り道はとにかく無言。
都内を走り、たまに停めて、荷物やヒモのたるみをチェック。下道走ってる間は大丈夫だけど高速だとどうかなぁ・・・。不安でいっぱいである。更に、面積足りずにやたら上積みしてるから不安も上積み。
多少迷いながら高速の入り口を見つけて乗ってみる。
大丈夫かなぁとサイドミラーで確認しながらとにかく左斜線をトロトロと走る。途中、PAで晩飯食って少し休憩して、また走り始める。本音はゆっくり休憩したいけど、早くこのグダグダな状況を終わらせたい、今はそれだけ。
どのあたりだったかな、PA出てしばらく走ると恐れていた事態が発生。
ふと運転席からサイドミラーをみると、麻ヒモが切れて、ブルーシートがばさばさ舞ってる!!
「うおおおおおおおおおっ!!!!! やべぇぇぇぇぇっっっっっっっ!! 荷物がぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
である。東名高速で荷物散乱。事故でも起こした日にゃ大惨事である。
次のSAなりPAまではまだまだ距離あるし、このまま走行してたら絶対高速に荷物落とすかブルーシートが飛んでいくのは明白。背に腹は変えられない、高速で左に寄せて、ヒモを結びなおすことに。
もちろんそれをやるのは僕。
怖いすよー高速で停まって作業するのって。
もうね、バンバン横を車が走り抜けていく。
下道でも路上で自分の横をね車が通り抜けるのって怖いと思うんですけど、あんなん比じゃない。マジで怖い。生身のボディの横を車がすり抜けていくわけですよ、結構な速度で。やばいやばいやばい。
ヒモを結びなおしたり、2重にしたり、荷物を整頓したり。途中、ホーン鳴らされながらも、なんとかかんとか修復できたので少し速度を落として名古屋へ向かう。
夜8時くらいだったかな、浜松過ぎて愛知県入ったぐらい。あとちょっと。1時間もすれば名古屋到着ですよ。はぁ~あと少しだ、頑張ろう・・・なんて思っていたところに、僕の携帯が鳴ります(当時はまだ違反ではなかった)。番号見ると「052」から始まってる。名古屋市内の局番である。
出てみると相手は中村警察署の交通課である。
「すいませーん、平田さんでしょうかぁ?」
「・・・はい、そうですけど?」
「えーとねーお宅の車なんですがレッカーされてるのご存知?」
「はぁ?」
「もうね、8時間か9時間ぐらい経過してるんだけど、レッカー先の駐車場料金も結構な金額いってるだろうし気づいてるんかなーって思いまして。」
「え?え?」
「今、どちらにみえるんですかー?」
「いや、東京に行ってていま、名古屋向いて走ってるんですが・・・」
「わかりましたー。では待ってますんで中村警察署までお願いしますね。」
もうね、泣きっつらにハチといいますか踏んだり蹴ったりといいますか。
レッカーされてました、僕の車。
友人の車はしっかり事務所駐車場入れてたんで無事。というか、テメー駐車場持ってたんかい、って話。っつーかそーゆー場合はさ、普通さ、俺の車を駐車場に入れるんじゃない?
名古屋市内ついて、荷物を運び入れる。
今度はマンションの3階。エレベータなし。当然、また僕ですよ、運ぶの。
もう、レイアウトとかそんなん気にしてらんないので玄関先に荷物だーっと並べて引越し終了。
友人がさすがに悪いと思ったのかギャラを2万円(ほとんど僕一人でやったんだしねぇ・・・)くれましたが、絶対に足りない。そのまま軽トラにツレ乗っけて警察署へGO。
手続きしつつ、理由を説明するものの、事情を考慮してくれるわけもなく、「そうですか、そうですか。じゃ、ここにサインを」みたいな感じで淡々と話を進められる。
レッカーと反則金で36,000円だったと思います。金ないのに・・・。
手続き終わって、軽トラ戻って時間は深夜1時。
寝ずに働いて運転して怖い思いして16,000払うって何なの?
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