おばあちゃんからお姫さま

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9歳のときに、初めてあった人にからだの奥まで触れられてすごくこわくて痛かった。


ナイフを顔に突きつけられたこと、気づかないうちに相手の人の服とわたしの髪がクリップでとめられていたこと、口に服を入れると痛くなくなるとうそをつかれて助けを呼ぶ声を出せなくなったこと。

女の子なら誰一人としてあってほしくない経験だ。


わたしの夢は、おやつをつくるお母さんとお姫さまだったけど、このときから、女らしくしないで早くおばあちゃんになって死ぬことが加わった。


毎日毎日そのたった一日のことを思い出してこわいし痛かった。

そして相手の人の人生を思った。小さな女の子に手を出すなんて愛されて育たなかったのかも。


あるとき、いつかは相手の人を許してあげたいなぁと思っていることに気づいた。

少しこころが軽くなった。

そして、もういいよ、と許せる日が来た。


それなのに、こわいし痛いのはどうしてだろう?と思いながらすごした。


42歳のときに、キッチンにいると、左となりに子どものころのわたしが立った。

おかしなこと言ってるって思うでしょ?

でもね、このとき本当にいたの。

そして、わたしは子どものころからわたしに「後でね。」って言ってきたことを思い出した。満足したり楽しむのは後でねって。

ずっと待っててくれたんだ。

「まだ?」ってきかれたような気がした。


そして今年44歳になった。

誕生日には、アクセサリーをつけたりスカートはいたり女らしいファッションをしようと小さな決意をしたのに、髪を短く切ったりGパンはいてばかりで女らしさをかくすようなことばかりしてる。

どうしちゃったんだろうと思った。


それは、女らしくしないで早くおばあちゃんになって死ぬ夢を叶えようとしてるんだと思い当たった。

どうして相手の人を許したのにまだこわいし痛いんだろう?

そんな疑問もあった。


女らしさを楽しんでる女性と知り合って会いに行った。

そしたら帰りにこころのふたがぱかっと開いて涙があふれてきた。

電車の中なのに。

もう少し待ってねと願うけど涙は止まらない。

駅を出て車に乗って思いきり泣いた。


そうしたら、こどものころのわたしが出てきた。

キッチンで会った子。

ぎゅーっとだきしめて、どうしてほしいの?ってきいたら

「こわくて痛い思いをした悲しい日の前も後も同じわたしなの。かわらずよりそってほしい。」

「もし また 同じことがあってもずっと一緒にいてほしい。」

そう言ったの。

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