【えりも方式の衝撃】第1話

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第1話〔何もないとはなにごとだ!〕

 1974年第25回紅白歌合戦,森進一が歌う『襟裳岬』が紅白の舞台で初めて披露された。当時私は小学生,この歌の持つ雰囲気が好きだった。

 しかしこの歌は,北海道えりも町では歓迎されかった。当時の昆布漁師たちはテレビでNHK紅白歌合戦を見ていて,森進一が出るや罵声を飛ばし,曲のクライマックスでは大声で毒づいたという。

「人の住んでるところを“何もない”とは,どんな了見だ」

漁師たちは憤慨していた。それはまさに,“何もない”襟裳の現状を示唆していたのだ。

 当時の襟裳岬は,“襟裳砂漠”と呼ばれる,荒廃した土地が広がる場所だった。日本にも砂漠と呼ばれる場所があったことを知っている人は少ないのではないだろうか。

 緑豊かなイメージが有る北海道に,なぜ砂漠があったのだろうか。そこには人間の業の深さと北海道の厳しさがあったのだ。

(つづく)

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