01 まえがき 【息子たちに】
事実をそのままに
この文章は、父さんと母さんと、そして、二人の力になって下さった人達のことを事実にそってそのまま記録にしたものである。
この記録を書き残しておこうと思った動機は、できるだけ事実を詳しく伝えたいと思ったからである。
案外、身近なことで知らないこと、知らされていないことは多い。
父さんも同じだ。
おじいちゃんと、おばあちゃんがどんな縁で結ばれ、どんな会話をし、どんなに苦労をして育ててくれたのか、知らないことばかりだ。
「お母ちゃん、お父ちゃんのことを、詳しくきかせてよ」ときいても、おばあちゃんは、照れ臭いのか、忘れてしまったのか話してくれない。特に二人の愛情とか性に関するような話はタブーになっているかのようである。
そこで父さんは思ったんだ。
祝福されて産まれて来る、我が子喜生君にはできるだけ詳しく母さんと父さんのことを書き記しておこうと……。
事実をできるだけ正直に書こうと努めた。
ある個所によっては、幼い時には理解できず、成人してはじめてその深い意味が解るというところがあるかもしれない。
ともあれ、愛する我が子、喜生・健生に与える、父さんと母さんの記録である。
これは、君達に対して父さんと母さんにしかできない、一つの大きな事業でもある。
明るい家庭をつくりましょうね
父さんは、母ちゃんが妊娠したことがわかるとすぐに、「子どもに二人のことを教える本を出そうな」といい出したの。
「何もかも書くの?」ときくと、
「そうだよ、何もかも書かなければ意味がないじゃないか」というの。
「だって、はずかしいことだってあるじゃない」
「いいじゃないか夫婦のことだもん」
と結局、父さんの思い通りに出版することになったの。
出版するお金は、母ちゃんの保育園の退職金をあてることにしていたの。
だって父さん最初から、それを計算に入れているんだもの。
だけど、多くの人から結婚祝いをいただいたのでそのお返しをこめて出版しようと、ということになって、退職金は無事だったの。
父さんは、常日頃、“親と子・隣り人同志・愛和(相和)した生活します”をモットーにしています。
永い人生です。親と子が何でも気楽に話し合える、にぎやかな楽しい家庭をつくってゆきましょうね。
父 勲
母美津子
目次や他のストーリーはこちら
著者の廣升 健生さんに人生相談を申込む
著者の廣升 健生さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます