氣が付くと、目の前のドアの板が壊れてる。
胸が不安と悲しみで押し潰されそうだ。
やっぱりそうだったか。。。
その言葉と同時に我に返っていく自分がいる。
心の声が言う。
「後悔のない生き方は?」
人なんてのは、本当にいつ死ぬか分からない生き物だ。
自分の心には嘘をつけない。
「大学辞めて東京に行こう」
ものすごい早い決断だった。
正直、
勇気はいった。
本当は、
不安で押し潰されそうだった。
けど、
全く迷いはなかった。
それよりも大事なものが自分の目の前にはあったから。
人は守るべきものがある時、強くなれる。
アメリカに来て3年。
人生の運命というか、流れというか、決断というか、
すべてがそこに集約されていた。
そう、
まるでシンクロのように。
やるべきことは分かっていた。
だから、不思議と違和感はなかった。
状況がそういうふうに作用してたし、
直感で少し前から分かっていたのかもしれない。
しかし、
この決断と同時に、
これは新しい出発と別れを意味していた。
なぜこういうふうになったのかというと、
それは2012年8月まで遡らないといけない。
その頃、俺は初めての起業を詐欺というもので潰され、
日本に1度帰国しようと決めた時だった。
小学校3年生から始めたバスケ。
バスケの本場、アメリカ。
バスケ馬鹿だった俺は夢を追う為にアメリカへ。
そこに行くまでにも色んなストーリーはあったが、今回は長くなるので控えておこう。
19歳の冬、
ついに11年間追い続けたバスケの夢を諦めた。
と同時に、
生きてる意味が分からなくなってしまった。
なぜ、今ここにいるのかも。
目的がないと生きていけない自分にとって、
これは本当に辛かった。
そこに追い打ちをかけるように、
お金が全くない。
ひまわりの種が主食になってた。
極貧時代。
19歳の時はお金もないし、夢もないし、なんで生きてるかも分からないしで、
色んな意味で、1番どん底。
なんでこんな辛い想いをしてまで、こんなところにいないといけないんだろう?
と何度思ったことか。
かなり、キツかった。
そして、俺は日本へ逃げ出してきた。
そう、逃げ出してきたんだ。
休暇をとって、日本に一時帰国。
それが2012年の9月。
日本に帰ってきてからは、
なんとなく生きてた。
けど、
生きてる心地はしなかった。
今まで、あれだけ燃えてきた夢がなくなったのだ。
自分の想いをどこにぶつけて良いのか分からない。
何をやりたいのかも分からない。
自分の人生がわからなくなった時だった。
「何しよっかな」
とりあえず、俳優目指してみよっかな、面白そうだし。
「とりあえず」
それでオーディションで東京行くことになった。
初東京。
オーディションを受け、何人か知り合いがいたから、Facebookで連絡をとって、その人達に久しぶりに会うことになった。
その内の1人に、カズさんがいた。
池袋で待ち合わせ。
池袋、、、よくわかんねえな。
カズさん「おー!りょうま!!」
あ、カズさんだ!
「お久しぶりです!」
カズさん「久しぶり!」
と言っても、まともに話すのは初めて。
ランチに行った。
若鶏のドンブリを食べながら、語り合う。
というか、ずっと質問されてた氣がする。
「アメリカの生活はどんな感じ?」
「バスケは?」
「仕事はしてるの?」
「これからのヴィジョンは?」
何一つとして、自信を持って答えれない。
俺は常に自分を守る為の言い訳を考えては答えていた。
そして、それらの答えをすべて聞き終わった後、
カズさんが言った。
カズさん「良磨は、いまできないことに目が向いている。じゃなくて、できることに目を向けないといけないんだよ!」
まさしくその通りだった。
その当時の自分は氣づいてなかったけど、まったくそんな感じだった。
その後に、カズさんは孫正義さんの話をしてくださった。
孫さんもアメリカに留学してたこと。
孫さんの場合は、俺よりもずっと大変な状態で留学したこと。
父が倒れ、泣いて止める母を後ろにアメリカに向かった。
学費も、生活費も、家賃も、すべて自分で払わなければならない。
バイトじゃムリだ。。。
だから、
発明し始めた。
1日必ず何かと何かを合わせて、新しいものを創るということを必ずやった。
投資家にもガンガン逢いに行き、自分が成功した暁にはこれだけの報酬を与えるから、自分に投資してほしいと情熱を伝えた。
そして、その中の1つが当たった。。。
それが、電子辞書なのだ。
カズさんは続けた。
カズさん「これはね、良磨と年齢が変わらない頃にやったんだよ。」
(俺は当時20歳)
「へえ〜、そうなんだ。。。!」
しかし、カズさんはこの後、
俺の生涯、一生残ってあるであろう、
人生を変える言葉をスラッと、、、
言った。
「孫さんにもできたんだ。。。」
「良磨にもできるよ!!!」
「。。。。。。。!!!!!!!!!」
ドカーンッと、
頭から稲妻が落ちてきたような衝撃。
孫さんにもできたから、俺にもできる?
孫さんだからできたわけじゃなくて?
しかし、
カズさんのその言葉からは嘘を感じなかった。
どうやら本気で言ってくれてるようだ。
まあ、嘘か本当かなんてどちらでもいい。
1番重要なのは
その稲妻と共に、
自分の心に何か、忘れていた何かが灯ったこと。
心臓がバクバク鳴っている。


