貯金残高192円『さぁ、結婚してみよう!』其の三
たーさんは、猛烈な《三社祭》信者です。
知ってますか?三社祭。
浅草で5月に開催される有名なお祭りです。
年が明けた頃に「今年も、あの季節がやってくるな…」と 高倉健さんばりの哀愁漂う発言してしまうくらいの祭バカ。
なので、大多数の女性にとっては 人生で一番の晴れ舞台であろう結婚式の場所は たーさんの鶴の一声で決まりました。
「よし!結婚式は所縁の深い 浅草神社でやろう♩」
えーと。
3番目じゃないですよね。
…所縁 深いかなぁ…?
私は特に何の思い入れも無いんですけど。
浅草…浅草…うーん。(。-_-。)
まぁ、ここでツッコミいれても、面倒なので たーさんが乗り気になっているのであえて触れませんでしたけども。
挙式が神社と言うことは、たーさんの紋付袴の夢も叶えられるし。
それはそれでいいか。
よし!じゃあ披露宴は…
「近けりゃどこでもいいよね♪」
・・・御意。
私達の結婚式は予算だとか、食事の内容だとか、施設の中身だとか、プランだとか、そんなものを一切 調べる事なく たーさんの《三社祭》への愛だけで、ものの数分で決定しました。
結婚式ってゼクシィとか眺めながら、あれやこれやと楽しみながらも悩むものかと思っていましたが、まるで


ぐらいのノリです。
まぁ、結果として、結婚式を挙げた事によって所縁が出来たから 良しとしましょう。
そう、しときましょう。はい。
何も考えていないのか、それとも決断力があると言えば良いのか… この人の底知れないパワーに圧倒されまくりです。
さて、ここからが本番だ!
プランナーについてくれた人は、かなり賢そうな、いわゆるデキる人でした。
(メガネをかけていたので、ここからは『メガネさん』と呼びます。)
私達のような、ノリと勢いだけできている冷やかしのような奴らにもスーパースマイル営業。
そのいろんな修羅場をくぐってきたであろうメガネさんもタジタジになるような発言を今後も私達は繰り返す訳ですが…




ちなみに、ご希望のお日取りは?




ってか、そもそも 私達 貯金無いんですけど?
この頃、全くもって結婚式の予備知識のなかった私達は 本気で何もわかっておりませんでした。
そして、この後 私の記憶では、たーさんは打ち合わせに来なかった。
とは言え、私も仕事もあったし、そうマメなほうじゃないので、毎週は行かなかったけれど。
そもそも私達が結婚式を挙げると決めた理由はただひとつ。
夫婦2人揃って究極の面倒くさがりなので、式をあげずに親戚一同に挨拶回りをするor1度の結婚式で皆にお披露目どちらにするのか?
を天秤にかけた訳です。
そこで じゃあ1回の方が効率良いじゃん!って結論に至ったのです。
バカの短絡的思考ほど怖いものは世の中にはありません。
これを言うと驚かれるが式当日 私は衣装はお色直しを2回したが、衣装合わせで何度も来店するのが面倒過ぎて1日で全て決めた。
正確に言えば、数十分と言ったらいいでしょうか。
白無垢に関しては着るのさえも面倒で、「あのー、白ければ良いです」「あ、これでいいです」と一番近くにあった白無垢を指して美粧の人を驚愕させた。
披露宴に至っては、席次表やらタイムスケジュールやら、選曲、ネームプレートやら、引出物やら、とりあえず決めなきゃならない事が多い。
多すぎる!
席次表ひとつとっても、肩書きやら、席の割り振りにはかなり時間をかけたつもりだ。
企業に属している方の肩書きは楽でいいなと、本気で思った。
正直、なんて書けばいいのかわからない方もたくさんいた。
お互い仕事が忙しかった事もあり、
式場の打ち合わせが進まない事も多かった。
と、いうよりもやはりギリギリのところまでは動きたくなかった。
夏休み終了前日まで空白だらけの宿題と同じだ。
式も迫ったある日、
メガネさんがついにキレた。
普通の流れでは、この日は花やテーブルのコーディネートを。
その次の週は写真を、といったように段取りを踏むのだと思うが、あまりの来店しなさにメガネさんも業を煮やしたのだろう。

その日に全ての打ち合わせを終わらせます!その日だけはどうか‼︎
あまりの勢いに、NOとは言えなかった。
打ち合わせ当日。
ニッコニコの笑顔で待ち構えていたメガネさんの目は笑っていなかった。
「お待ちしておりました♥今日はみっちり5時間のお時間をいただき 今後全ての打ち合わせを本日行います」
人間、追いつめられると 本領発揮するもんですね。
メガネさん、怖いです♥
まず花屋。






あ、オレンジもいいですよ♪

今まで何もやってこなかった奴ほどこだわりポイントが多い。
その他 音楽やら、衣装やら、司会者やら、式のすべての段取り決めて 5時間を超えたところで、最後に写真だ。


ビデオも外注でこちらでいれます。

1分で終了。
あの後、写真室のあの方々はきっと腹わた煮えくり返っていたと思う。
ごめんなさい。
まぁ、ともあれ 式までの段取りは何とか終了。
そして、結婚式前日。
やはり 実感もなく 私は両親への手紙を書いていた。
でも、ここだけは実は唯一やりたかった事でもあった。
心を込めて 一生懸命下手な文章を書いた。
その頃 隣ではゴロゴロとコタツに転がるたーさんがいた。





明日 本番ですけど?
と、言ったところでこの人には通じないのでスルー。
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