大切な人を失った女の10年+αの話

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今から十数年前。
3年と少し付き合ってる彼が隣にいる。

『彼』がそばにいること。

それはすでに当たり前になっていて、その当たり前がどんなに幸せかまだ若かったわたしにはわからなかった。
失うことなんて考えもしなかったし、この日常がずっと続くものだと思ってた。

お互い久しぶりの休日で、彼が趣味としているサーフィンをするために海へ向かってる途中。
移動が嫌いなわたしは機嫌が悪い。

わたし
『もっと近い海でいいじゃん。○△海岸で良くない?』

23歳のわたしは、ワガママ放題。
この一言が、彼の運命を変えることになるなんて全く思わなかった。

着いた先の千葉県某所。
機嫌が悪いわたしは車で寝たふりを決め込んだ。
彼はエアコンで冷えないようわたしに白いブランケットをかけてくれてから、サーフボードを抱えて海に向かった。

薄めで見た後ろ姿が、彼を見た最後。



彼は、悪天候の高波で亡くなった。



わたしが行き先を変えなければ。
わたしが『もっと近い海でいいじゃん』なんて言わなければ。
わたしがワガママ言わなければ。
わたしが。
わたしが。


彼の運命は確実にわたしの一言で変わった。

自分を死ぬほど責めた。
彼の親もわたしを責めた。
『あなたが一緒じゃなければ息子は』と。

数ヶ月の間、休職した。

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