【第六話】『旅支度』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
「いつか絶対旅に出る!」
と言っていたが、
結局、いつになっても、その「いつか」は来なかった。
お金、時間、仕事、家族、世間体を理由にして、実行することはなかった。
そして僕は思った。
「旅に出よう!」
時間はある。
お金も少しはある。
迷惑をかける人もいない。
「今しかない!」
と思った。
うつ病になって、会社も休み、彼女も出て行き、引きこもりの状態というのは、
考え方によっては、「最強の自由」だ!
「ずっとやってみたかったことを、やろう!」
死ぬ前に、やり残したことをやろう。
死ぬのはそれからでも遅くない。
どうせ死ぬなら、家なんかじゃなくて、美しい場所で死にたい。
「美しい場所へ行こう。」
「死に場所を探しに旅に出よう。」
そして僕は旅の計画を立てる。
「どこへ行こう?」
「どうやって行こう?」
「限界って何だ?」
「死に直面する時ってどんな時だ?」
僕が導き出した答えは…
「ひたすら歩く!」
だった。
体の限界が来た時が、弱い自分が出る時だ。
まずは、体を限界まで痛めつけなければならない。
そして、「もう無理だ…」という精神状態にもっていかなければならない。
ゴールが想像出来るような旅ではダメだ。
「頑張れば出来そう!」な旅ではダメだ。
今まで経験したことのない、想像を絶する旅にしなければ…。
僕は当時、神奈川県の横浜市に住んでいた。
相模湾まで車で1時間ほど、太平洋は何度も見たことがある。
でも、日本海は見たことがなかった。
「日本海に出よう!」
日本海というと、何だか物悲しいイメージがあった。
「自殺するなら日本海」
みたいなイメージがあった。
※あくまで、僕のイメージです…。
今の僕にピッタリな場所だと思った。
行き先は決まった。
『新潟県糸魚川市、日本海!』
次は、
「どういうルートで行くか?」だ。
手帳に付いていた日本地図を見た。
何のために付いているのかずっと疑問だったが、初めて役に立った。
地図を見ると、
ほとんど真っ直ぐな道があるではないか!
「国道20号線を真っ直ぐ行けば、日本海に着くのか!」
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