【第七話】『そして、旅に出る』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
出発前夜…
準備は整った。
僕は明日、限界を見に行く旅に出る。
「頑張れ!」と背中を押してくれた人たち、
「気を付けて。」と心配をしてくれた人たち、
「やってみなさい」と送り出してくれた家族、
今まで僕を支えてくれたすべての人たちに感謝をした。
「ありがとう!」
「僕はやってみないと、納得しないと前へ進めないから。」
「納得するまで、答えが見つかるまで、旅に出ます。」
もちろん、周りの人にはこの旅が、
死に場所を探しに行くためだとは言っていない。
「死んだらごめんね…。」
僕は心の中でそう呟いた。
ここまで、驚異的な行動力で準備してきたけど、
正直言って、めちゃくちゃ怖い。
道は?
ちゃんと合ってるのか?
一日25㎞を何日も歩けるのか?
夜は?
どこに泊まる?
事故にあったら?
本当にやれるのか?
もう誰にも会えないのか?
僕は本当に死ぬのか?
一日25㎞の道のりを歩くことはもちろん、キャンプだってしたことない。
一人で旅行すら行ったことない。
どこまで行けるか分からないから、宿だって予約してない。
限界に挑戦したことなんて、一度も無い。
一つだけ分かっているのは、道は繋がっているということ。
本当に何も知らなかったから、
「日本海まで歩こう!」
なんてぶっ飛んだ決断をする事が出来たのだが、
ほんの少しでも知識があったら、絶対にやっていないだろう。
無知とは、時に爆発的な原動力になる!
が…
少し現実に近付くと、とても大きな不安要因にもなる…。
急に恐怖心が襲ってきた。
でも、自分で決めたことだ。
「死ぬときは死ぬ。」
それが僕の運命なら、それでいい。
「運命(さだめ)ならねぇ…」
風の谷のナウシカで、大婆様が言ってた。
時に身を任せればいい。
起きてしまったこと、これから起きること、
すべてを受け入れるしか残された道はないんだ。
でも…それでも…
「怖いよ…」
すべてを受け入れろ!
すべてに身を任せろ!
そして、最後に運命を決めるのは、自分だ!
自分の意志だ!
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