【第八話】『旅人になった日』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
1日目「旅の始まり」
ついに僕は歩き出した。
初めての旅。
初めての一人旅。
ずっと憧れていた
「旅」
僕は今、念願の「旅人」になったのだ!
ほんの少し住宅街を抜け、国道20号線へ出る。
同じ神奈川県にも関わらず、そこは全く知らない世界。
「この道が日本海まで繋がってるんだ!」
そう思うと、どこにでもある普通の道路が、
一本の光の筋のように輝いて見えた。
1日25㎞以上歩かなければならない。
今日のゴールは山梨県の笹子。
このゴール設定はもちろん、ちゃんとした距離を測った訳ではなく、
地図の縮尺を指で測って、ちょいちょいとやって決めている…。
なぜGooglemapを使わなかったのかと言うと、
この時僕は、Googlemapで距離が表示されるのを知らなかった…(苦笑)
笹子といえば、笹子トンネル。
ちょうどこの旅の少し前に、
笹子トンネルで大事故があったため、
ニュースで幾度となく名前は耳にしたことがある。
そう、名前しか知らない。
どんな町なのか?
宿泊施設はあるのか?
なんてことは全く調べていない。
「テントもあるし、何とかなるべ!」
この気持ちだけで、
「日本海へ行こう!」
と決断し、実行してしまうんだから、
人間なんて、本当にやる気になれば、
出くわす環境なんてほとんど関係ない。
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