【第九話】『旅の洗礼』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
2日目…
1日目は19時過ぎに大月駅に到着し、
疲労と身体の痛みで全く動きたくなかったため、
大月駅前にあるホテルに泊まった。
かなりのエネルギーを消費した…。
エネルギーを補給するには、炭水化物!
近くのコンビニで、たらこパスタ大盛りと、
おにぎり2つ、フライドチキン、そしてビールを買った。
何ともリッチな一夜だろうか。
一人でホテルに泊まるなんて初めてだ。
この時すでに26歳、とうの昔に成人しているが、
なんだか大人になった気分がした。
小さな湯船に浸かり、入念にストレッチ、
洗濯など、もろもろ明日の準備をして布団に入った。
「本当に旅が始まったんだな。」
そう思った。
一日を振り返り、本当にここまで歩いて来たことに感動した。
明日への期待、そして不安が入り混じり、
嬉しいような、怖いような、不思議な感覚だった。
でも、決して嫌な感じはしなかった。
きっと楽しかったんだと思う。
歩き疲れたのか、睡眠薬がよく効いたのか、
今までの生活では考えられないくらいよく眠れた。
そして朝を迎えた。
旅の洗礼①台風接近…
寝坊した…。
7時朝食のお願いをしていたのに、起きたら8時。
「やべぇ!!」
自分で7時にお願いをしておいて、バックレるとは、何とヒドい話だろう。
僕は人に迷惑をかけることにものすごく罪悪感を感じる。
急いで一階のラウンジに行った。
朝食は、トーストだった。
席に着いてから焼き始めるため、寝坊しようが何しようが関係なかった…。
とりあえず、ホッとした。
朝食を済ませ、一旦部屋に戻り、出発の準備をする。
足にテーピングを巻き、サーキュレーターに水分を補充して、
入念にストレッチをし、チェックアウトの手続きをした。
宿の主人に、朝食ともう一つお願い事をしていた。
「体重計を貸して欲しい!」
と。
どうしても荷物の重さが知りたかった。
この尋常じゃないくらいの重さが一体何kgなのか?
どれくらいの重さを担いで歩いていたのか?
そして、これから歩いて行くのか?
知りたかった。
宿の主人は体重計を用意してくれていた。
荷物を乗せると…。
ピッタリ20kg。
「Wow!」
そりゃ重いわけだ。
完全に詰め過ぎた…。
20kgなんて、ビール樽を背負って歩いているようなもんだ。
でも、こんなに重たい荷物を背負って25㎞以上歩くことが出来た。
「自分、すげぇじゃん!」
と思った。笑
ほんの少しだけ、自分の力に自信がついた。
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