【第10話】『ゴールは決めない』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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諦めるという選択…


正直言うと、旅を始める前は、

2日くらい歩いて辛かったら、電車に乗って帰ろうと思っていた。


体調や、精神状態、天候、怪我など適当な理由をつけて

辞めてしまえばいいと思っていた。



とりあえずやってみたかった。


やり切るではなく、やってみたかった。



でも、辛いという理由で諦めてしまったら、

今までの僕と何も変わらない。



僕はFacebookに旅の経過をUPしていた。


あえて公にすることで、

簡単に諦めてしまわないように。

後戻り出来ないように。

自分自身から逃げないように。



3日目。



前日、約30km歩いたのと、長時間雨に打たれ続けたせいで、

疲労は抜けきれずにいた。


そして、荷物の重さで、足の痛みより肩の痛みが半端じゃなかった。




本当なら帰ろうと思っていた日…。




僕は、出発の準備をしていた。


僕の中で、

この旅を諦めるという選択肢は消えていた。





まだまだ先は長い。



歩くことに専念しよう。



いらない荷物を捨てよう。




テント、マット、三脚。



テント…一度も使っていない。


マット…当然一度も使っていない。


三脚…一日目にたった一枚だけ写真を撮っただけ。



三脚はともかく、テントとマットはこの先も使うかもしれない。


でも、寝袋さえあれば何とかなると思った。


「テント使うとか甘ったれたこと言ってんじゃねー!!」


と心の中で言った。



というのは嘘…。


本当は、疲れを取るためにお風呂に浸かりたかった。


だから、この先も宿に泊まればいいと思っていた。笑






さよなら。


役立たず三点セット。


彼らは宅急便で一足早く家に帰った。



恐らくこの三点セットで2kgくらい軽くなったと思う。



軽いぜ!!


荷物が大きいと重いだけでなく、風の抵抗も大きく、より多くのエネルギーを消費する。


たった2kgくらいでこんなにも楽になるのかと思った。


ホテルをチェックアウトする。



フロントのお姉さんと少し会話した。


「日本海まで行くんです!」


と言うと、


「この先もルートインがいくつかあるので、良かったら使ってください。」


と、地図付きのパンフレットをもらった。


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