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15/3/31

【涙の最終話】 職人パパが、娘と難関私立小受験に挑戦した話

Image by Olia Gozha

一次試験の発表があり、


3日後に親子面接本番。


泣いても、笑っても、これが最後。




前日の、幼児教室の面接模擬特訓では、


パパは、「まだまだのデキ」だけど、良いところもあると、


自信をもたせていただき、


娘は、「ほぼ完璧な仕上がり」と太鼓判をいただき、


わたしは、「早口すぎる、しゃべり過ぎるのは、よくない」と注意を受けて帰宅。




親たちが足をひっぱらないように、


まさに、そんな状況。




面接で大事なのは、


学校の考え、校長の方針を理解できているか?ということだろう。


たとえば、学校の準備、復習などを親が、どう考えているか?


自主性を重んじる学校だからといって、


「子ども自主性に任せて見守ります」だけで、オッケーなのか?


それとも、


「低学年のうちは、学校にご迷惑をおかけしないよう、


自主的にできるように指導はするが、親が管理する」と答えるのがよいのか?


ニュアンスや、その子どもの持ち味にもよるが、


親の姿勢、子どもの資質、ともに、評価の材料となっていることは確かだ。






学校に早めに到着。待つこと30分。


幼児教室でごいっしょだったファミリーが、


何組が同じ部屋で待っている。


お互いに、会釈をするものの、静かな時間が流れる。


いざ、先生に、うながされて、面接室へ。




緊張は、ピーク。


3回ノックの後、


父親を先頭に、子ども、母親と続いて中へ。


戸を閉めたところで、


三人が並んで、お辞儀(練習通り、息もぴったり)。




着席。


面接をしてくださる先生は、4人。




子どもの席は両親の真ん中にあるが、1メートルほど、前にある。


両親の顔が見えない状態だ。




子どもは、どんな質問にも、前を見て、


後ろを振り返らずに、自分の力で答えることが大事だそうた。




まずは、娘が名前を聞かれる。


大きな声で、はっきりと答えた。




次は、すぐに、一家の長へ、質問が移る。


「お父様にうかがいます。」


その内容は、


志望理由、学校までの通学経路、


在校生の印象など。




昨日までの模擬練習同様、


訥々と、考えながら、マイペースで、パパは、話した。


むずかしい言葉を使う余裕もなく、


思っていることを、丁寧に話した。


それは、営業トークも、プレゼンもしたことがない、


そういう訓練もしてこなかった話し方。


職人らしい、自分の手を使って仕事をしてきた人の言葉。




校長先生は、にこやかに、


「大変よくわかりました。


それでは、今度は、君にお話をきかせてもらうからね。


元気に答えるんだよ。」と子どもの方を向いた。



「好き嫌いはありますか?」(第3話参照)と、

直球で、弱みを質問された。


続いて「好きな食べものは、何ですか?」


「お母さんの切り昆布の煮ものと、ぶりの照り焼きです。


お父さんの作ってくれる、カリカリの餃子も大好きです。」


(4人の先生、それは、おいしいそうだねと笑顔)


「幼稚園では、どんな遊びは好きですか?」


「忍者ごっこと、ドッヂボールです。」

「忍者ごっこって、面白そうだなぁ」。


「どんなことをするのかな?」

「みんなで、忍者になって修行をします。」


「得意な忍術は、何ですか?」

「グルグルの術です。速くまわって、相手をびっくりさせます。(先生たち、大笑い。)」


と、和やかに進んだ。




母親のわたしには、


万が一の場合の、家族での約束、ふだんの生活のなかで感じる成長について。




最後は、また、父親への質問だった。


「娘さんの、長所、ここは、えらいなぁと思うところは、どんなところですか?」




パパは、また、訥々と、話した。

努力をして、がんばれば、達成できるとわかっているところ。

鉄棒にしろ、自転車にしろ、ヴァイオリンにしろ、

自分自身で、努力する喜びをすでに知っているのが、いいと思っているということを話した。




逆上がりの練習で、手にマメを作って、つぶれて血が出ても、


できるまで、鉄棒にしがみついていたこと、


補助輪をはずした自転車で、何度も転んで、あちこち擦りむいたのに、


泣かずに、乗れるようになるまで諦めなかったこと。


思い出したパパは、涙声になった。




「えっ?」泣いてる??


面接の場で、自分の娘の話に、自分で感動して泣くって、あり??


と、冷や汗をかきつつ、でも、もう、誰にも止められない。


幼児教室で、「面接会場では、とにかく前を向いて、家族で顔を見合わせるのは、ダメです」と


言われていたので、顔を見ることもできない。


校長先生を見ると、うっすら涙を浮かべているではないか!?


「ありなの?!」




校長先生は、


「ご両親様のお考え、お子様への教育方針など、大変よく、わかりました。


本日はありがとうございました」と締めくくった。




3人で、立ち上がってお辞儀をし、


戸のところで、再度お辞儀をして、廊下へ。




「パパ、泣いてた~?!」と娘。


「やるだけのことは、やった!」とパパ。


泣き笑いで、くしゃくしゃの顔になっていた。






合格発表、運命の10:00。


20分も早く、到着。


門は、閉められたまま。


すでに5,6人が、待っている。




幼児教室で、いっしょだったママがやってきて、合流。


この頃になるとすでに発表後の、


ほかの学校の合格、不合格を


お互いになんとなく知っていたりする。


ライバルっていうより、


戦友のような感覚。




いよいよ、開門。


張り出された番号の前に、人が群がる。




「あった!」


「あった!」


お互い、思わずハグ。


涙と笑いと、いろんな感情がわきあがってきて、


頭が真っ白になった。




パパに電話。


「よぉ~~~~し!」と叫んだ。


最後のほうは、涙声になっていた。




15歳で中学を卒業。


自分で見つけた、その道の師匠のもとに住み込みで弟子入り。


自分の腕一本で生きてきた職人が、初めて経験した受験での合格発表。





コネがないと、合格はない、とか、


親が出身でないと、きびしい、とか、


いろんな噂を聞いたけれど、


結果は、


何ひとつ持ってない、我が家に、合格をいただいた、ということだ。




お受験は、大博打。


お金も時間もかかるけれど、


勝てるかどうか、試験問題の傾向や、その時のいっしょに受験するチームのメンバーなど、


運も左右する。




できるだけの準備をしたら、あとは、天に任せようと思っていた。


たかが、6歳の子どもの結果、


人生は、始まったばかりだ。




ただ、この受験の準備のなかで、


我が家の場合は、夫婦で悩んだり、時間のやりくりすることで、


たぶん、受験をしないで過ごすよりも、ずっと濃い時間を過ごせたと思う。




一見、無謀、無理に思えるようなことも、


やりようによっては、結果を出せるのかも、と思えた。


それは、きっと、これからの家族にとって、喜ばしいことに違いない。




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以前に比べれば、ずいぶんと、ポピュラーになった、


小学校受験。


それでも、経験をした方を探すのは、むずかしく、


どんな風なの? どんな準備をすればいいの?を


娘の入学後に聞かれる機会が多かったので、書いてみました。




それぞれのご家庭と、志望校によって、


正解は、無数にあると思います。


お役に立つか?!では、ありますが、


お読みいただき、ありがとうございました。



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