「嘘」の範囲
僕はこの4月1日がどうも苦手だ。
新年度が始まるから、ではなくエイプリルフールという意味で。
お盆にはお墓参りを、クリスマスにはツリーの飾りつけを、節分には豆まきを、皆疑いも無く行う以上、エイプリルフールには絶対に何か「嘘」をつかないといけないような気がするのだ。
しかしその「嘘」のさじ加減が実に難しい。
参考までにネットのエイプリルフールネタを拝見するとざっと3パターン有る。
パターン①
一発で嘘とわかるギャグ路線
これは何の罪も無い、だれでも安心な嘘の範囲だ。
例えば「宇部興産が本物のエヴァンゲリオンを極秘裏に建造!パイロットの名前は高松ヒロユキ!」とかである。
これはユーモアや夢がある嘘だ。(この例えが笑えるかどうかは別として)
パターン②
もしかしたら有りかも?でも嘘だよね~とリアルでありつつも、よく考えるとありえないリアル路線。
これはちゃんと最後まで読まないとネタと分からず、そのまま事実として拡散する可能性がある範囲だ。
昔アメリカで放送された「第三の選択」という、火星に生命体がいたというエイプリルフールの偽ドキュメンタリーを放送したところ、事実と勘違いした視聴者が続出し、「宇宙人が存在する証拠だ!」と大騒ぎになった事がある。
この時の「嘘」が恐ろしいのは拡散後にあれはネタでした!とバラしても「いや!それは真実を隠そうとする謎の組織の陰謀だ!」と言い出す人が出てきて収拾がつかなくなり、今でも「本物」と信じている人達が実際にいることである。
ネタばらしに失敗すると非常に痛い目にあう範囲だ。
パターン③
リアル過ぎて全く笑えない、正に真性の「嘘」路線。
これは政府とか組織とかネットとか、或いは個人とかが悪意を持って垂れ流している、エイプリルフールに限らず「毎日の日常で見れる」もっとも罪な嘘の範囲である。
日々溢れているだけに、これに関しては嘘をつかれる自分たちの、それを見抜く力を鍛えていかなければならない。
それが無ければこの嘘のために自分たちが実害を被る可能性があるからだ。
少なくとも自分はこの範囲の「嘘」をつかないように気をつけたい。
などと偉そうな事を言いつつ、せっかくだから嘘をつこうと考えるがいいのが浮かばない。
とりあえずここで「僕、今日クビになりました!(笑)」とか書くと、あまりにリアル過ぎて「ついにかっ!」と一気に関係者に拡散→偉い方に知れる→ちょうどいい人件費削減→本当にクビになる、などと「嘘から出たまこと」になりかねないので止めときます(笑)
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