【第10話】変身願望とTRPG
TRPGと自己改革
泊まり込みのセッション会場は公共の泊まりこみが出来る場所だった。
どうして、そういうことになったかというと、もともとTRPGに誘ってくれた人を中心にウェブゲーム仲間でTRPGサークルのようなものがこのときできてきていたのである。
そのサークルのメンバーだけという内輪セッションを行うに辺り、メンバーを集めて宿をとった。
ゲームマスター候補は複数人いて、持ち回りで遊ぶ流れを組んだ後に僕はシナリオの準備にとりかかる。
オフラインでのTRPGははじめてで、そしてシステムも希望者が多いということでアリアンロッドで遊ぶことになった。
トーキョーN◎VAばかりやっていた僕にとって、アリアンロッドは初の試みとなるシステムである。
アリアンロッドは中世ヨーロッパ風ファンタジー世界で遊べるTRPGなものの、魔導銃やサムライなど、MMOによった雰囲気が特徴的なシステムである。
ちなみにここでシステムといっているのはルールブックのことをさす。
デジタルゲームでいうところのソフトにあたるものだ。
話を戻そう、アリアンロッドという初めてのシステムを持ち、更にオフラインでのセッションということで知らずに緊張をしていた。
オンラインではわからなかった相手の顔を見ながら、ほうぼうから質問に答えてゲームマスターをするのは思った以上に疲れることだった。
また、ダイスの目が妙なところで走ったり、想定外の道を進んでくるPC達に対応していくためにアドリブを入れながら頭をフル回転してことにあたりもした。
その甲斐もあってか、参加者からは「また遊びたい」との一言を貰えることができた。
このときほど、『誰かに求められている』ことを強く感じたことはそれまでにはなかった。
笑顔でもってそう言われ、続編に向けてキャラクターをその場で成長させているプレイヤー達をみたことで、僕はゲームマスターとしての自信と、人間としての自信を得ることができた。
人と触れ合うことが苦手だった僕は、もっと社交的になりたいと思い続けていた……。
それがTRPGを経験したことで達成できたのである。
キャラクターになりきることも、また自分らしさを作ることにもなったTRPGを僕はこれからも続けていきたいと思う。
・・・・…終わり
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