【第14話】『人の望みか、自分の意志か。』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
7日目…
昨日の到着が遅く、今日はゆっくり目のスタート。
昨日買った足のサポーターを装着した。
テーピングの時間の短縮はもちろんのこと、しっかりとホールドしてくれている。
いい感じだ!
フロントへ行き、チェックアウトをする。
おばちゃんともお別れだ。
僕「サンマの炊き込みご飯、めちゃめちゃ美味しかったです!」
おばちゃん「あれでお腹足りた?」
おばちゃんとしばらく話した後、おばちゃんは最後にこう言った。
「あなたなら大丈夫!」
「神様は全てを見てくれているの。」
「困った時はちゃんと助けてくれるのよ。」
そして、一つのビニール袋を僕に手渡した。
そこには、アルミホイルに包まれたおにぎりが2つと、みかんが一つ入っていた。
どちらも特大の。
「いいんですか?」
昨日のサンマの炊き込みご飯も頂いてしまっているのに、朝ご飯まで頂いてしまうとは…。
改めて言うが、僕は素泊まりプランで宿泊をしている。
お金も払っていないのに、
正直、気が引ける…。
しかし、ご飯を頂けるのは物凄くありがたい。
僕は、おばちゃんの素晴らしい好意に甘えることにした。
「ありがとうごさいます!」
「本当に助かります!」
精一杯の感謝を伝えた。
僕の気が引けたのは、借りを作りたくなかったからだ。
自分の価値以上のことをされると、申し訳ない気持ちになる。
僕は、素泊まり以外のお金は払っていない。
なのにも関わらず、昨晩と今朝のご飯を頂いてしまった。
確実に、
あげた価値 < もらった価値
だ。
もらった価値は、返さなければならない。
だから受け取ることに気が引けた。
でも、今の僕には返せるだけの価値を持っていない。
お金も無ければ、働いて返す時間も無い。
そして、思った。
おばちゃんが僕に言ってくれた、
「あなたなら大丈夫!」
これを証明しようと。
僕は、うつ病に打ち勝ち、元気になって、
またここに戻って来ようと決めた。
あの時、おばちゃんが僕に
「あなたなら大丈夫!」
って言ってくれたおかげで、
「僕は元気になりました!」
って伝えに来よう。
そう決めた。
僕があげられる価値は「これだ!」と思った。
時間はかかるかもしれないが、僕に出来る一番の恩返しだと思った。
著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む
著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます