母に抱く殺意 第9章
前話:
母に抱く殺意 第8章
葬儀のお礼を伝えに、義父母の家を訪ねた
義父母の家は、いつも綺麗に整理されており、きちんとした義父母の性格を表していた
義母はキッチンに立ち、夕食の準備を始めた
「夏子さんから聞いていたけど、ホントにお母さんは救いようがないわね……。夫婦仲が悪かったとしても、離婚もせずに、妻でいたのに。」
「本当に、見苦しい部分を見せてしまって、すみません…」
「いいのよ、夏子さんが謝ることではないでしょう。見ていて夏子さんが可哀想だった。娘2人に葬儀をさせるなんて。お父さんは、褒めていたよ。立派だったって。お姉さんの弔辞の時、お姉さんは泣き崩れたけど、夏子さんは、泣くのをこらえていたでしょう?あれは、きちんと見舞いに行って、出来ることをしていたから、死を受け入れていたんだって。」
普段、言葉数の少ない義父が、何もかも察していたのだと思うと、わかってくれる人がいたことが嬉しかった
義母は、冷蔵庫からタッパーに入れた煮物を出し、近くにあった果物をいくつか入れ、さらにお菓子も入れ、ビニール袋に入れて私に渡した
「良かったら、持っていきなさい」
同じ母でも、なんでこんなにも違うのだろう?パンパンになった袋を持って、義母にお礼を伝え、義実家を後にした。
果物とお菓子を、父の遺骨にお供えして義母が気遣ってくれたことを父に伝えた
義母の煮物は、大きく切られたジャガイモ、ニンジン、鶏肉、インゲン、味が染みていて柔らかく、心が温まる煮物だった
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