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15/5/22

何の取り柄もない自分が、グラフィックデザインで独立するまでのお話し。「第六話 〜会社時代・後編〜」

Image by Olia Gozha

圧で強化。想いも重なる。


いや〜落ちるね。落ちる。決まらないのだよ。転職先が。前会社内ではおじさま方から将来有望しされた若手ホープという評価だったのに。世間からはまったく評価につながらない。なんてことだ。組織内でバリバリやっているそこのあなた様。組織内ではなく、世の中全体からの個人として見られた時、評価はどんなもんでしょうか? 私は鼻クソみたいだったんでしょう。くぅ〜!


転職が決まらないのに、会社を辞めた。展示会までもうすぐ。ここで、あるデザイン会社にサブのサブアシスタント(ボランティア)として在籍する。そこのディレクターさんに、ポートフォリオを見ていただいた。可も不可もないね。という一番おいしくない評価をいただき、図星であった。オシャレカッコイイ路線を狙った作品は、その筋のプロからすれば、バレバレだったんだ。


それでも、その辛口ディレクターさんが企画展に来てくれた。会場には友人や知人が中心となるが、それなりの人が入り、賑わっていた。作品でなく、その光景をみて一言。「クオリティはともかく、永井くんは人とのつながりをデザインしているね。」この言葉をいただいた。


瞬間、開けた。自分の入りたい会社とは、「クライアント規模が大きかったり、業界で名のある有名な会社でなく、人とのつながりがデザインできる場所」なんだ。悟った。転職先候補を、人と一緒に築きあげていくデザイン、を行っているとこに絞る。さらに調べると、ロゴマークや名刺、ショップカードといった、人の生活に近いデザイン制作をメインに行っている会社、つまり、ブランディング会社が自分的にビンビンだった。




面接時は「オレ、雇ってくださいよ!」と、鼻息荒くするのではなく。そこも人との接点。できるだけ楽しませよう、という意識になった。面接時間を設けていただいた上、一方的に受からせてもらおうとするのは自分本位。人と人がふれあう時間は、お互い有意義なものにしたい。


意識を変えた途端、想いが伝わったのか、インテリア・グラフィックの両方を同時に進めるブランディング会社に入ることができました。前職で経験をつんでいたので、思う存分、力を発揮しよう! してやろう! 意気揚々と挑んだ。しかーし、まったく歯が経たない……。自分が人一倍積んだ! と思っていたことは、デザインスキルではなく、アプリケーションスキルだったのだ。


前会社での若手ホープ、バリッバリの肩書きデザイナーは、一気につかえないデザイナーもどき、というポジションになり、ボコボコにやられる。デザイン構築において、“Aをして” という要望に、素早く “Aをしました!” とだけ自信満々に答え、ボコボコ。言われたことだけやってデザイン? 笑わせんな!


常に、相手の期待値を越える提案姿勢という “デザイン"。円滑なコミュニケーションの下地となる、事前連絡という “デザイン"。そんなんが、まったくできとらんかったんです。ボコボコといっても、本当にボコボコにされるわけではない。胸ぐらをつかまれ、耳もとで●すぞと言われ、私は涙を浮かべながらMacと向き合うだけだ。女性スタッフの横で。


とまあ、ちょいとブラックにきこえますが、自分としては本当に良い経験をさせていただいたと存じております。“知識” だけのインプットはダメ。新たな出来事に通用する、“知恵” にどのように変化させるか、自ら考える。具体的に行動する。また、同時に複数のプロジェクトを進めながら、より良いデザインをするには。自分だけで戦おうとしない、人に協力をあおる。お願いする時は早め早めに、丁寧に、真摯に声かけをする。ラブレターのように。




ポッコポコな日々を経て、少しずつレベルを上げ、社内でも、おっ、と思われる人物までにはなんとか昇格したのですが。ふとした瞬間。会社で仕事をする自分、を真上から見下ろす、もう一人の自分。また社内や上司の満足度を上げるために “デザイン” してんの? 徹夜続きで? 君はピエロか? 何気ない気づき。あんだけ熱をおびていた女性に対し、何気ない一言(転職時、あんたバカだから受かんないでしょ?w と言ってくれたユー、わすれないよ!)から、ふとした瞬間から冷めてしまうように。


様々なオーナーさんとつくるデザインは気持ちいいです。私はオーナーさんを強い信念もった、一人の “個" として見ています。逆はどうでしょう? 永井弘人を “個" としてみているか? いんや、オーナーさんが依頼したのは会社であり、“会社” が提供するデザインを求めているのです。世の人と互いに、むきだしの “個” として直接やり取りし、もっと貢献したい! 朝はもっと寝ていたい!

…というやわらかな独立心が徐々に芽生えていくのでした。でもまだ早いよな〜。コネもまったくないしな〜。そんなある時、先に独立していた同期の友人デザイナーに会ったのです。


… 「第七話 〜独立の時〜」 へ続く …

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Image by Jukka Aalho

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