学歴コンプレックスの男が大手企業で新人賞を受賞した話 ~4~
怒涛の生活のはじまり
部長との同行を終えた翌日から厳しさが一変した。
時間があれば営業のロープレ。やってもやってもダメ出し。
ロープレが終わるたびに罵声。
夕方事務所に帰ると教育担当の先輩と座学。
今まで優しかった教育担当の先輩だが、私のあまりの覚えの悪さに呆れていた。
夜22時を過ぎると、今度はその他の先輩とロープレ試験。頭も体もヘロヘロの状態で、ダメ出しを受け続ける。0時を過ぎ先輩が帰るとそこから座学の復習。帰るのは深夜2時。。朝は7時には起きて事務所へ行き机を拭いて掃除。日中は先輩の同行。。
毎日この繰り返し。これだけやってもまだお客様の前に立たせてすらもらえなかった。
そして新卒社員の本配属後3ヶ月のフィードバック研修。
近況報告では、ほぼ半数以上がお客様を抱え始め商談を経験していた。まったく接客をさせて頂いていないのは私以外に数名。
研修中のロープレでも、日夜励んできた成果をと思い一生懸命説明するが、なぜか同期からもダメ出し。
あ、でもまだ接客していないんだもんね。
あ、でもまだ接客していないんだもんね。
完全に見下される。中には既に契約を獲得した同期もおり、研修ではヒーローだった。
誰が売れる、誰が成績を上げそうなどの大予想大会が始まっていたが、私は完全にランク外。ランクトップの有名大学出身者は丁寧に接客をレクチャーしてくれ、私がわからないと質問すると、
頭わりーなー。
(う、うるせー。。今に見てろ。。)
研修が終了し、また激動の日々が始まったが相変わらずダメ出しばかり。そんな中届く毎月の営業成績ランキング。続々と同期社員が契約を獲得し始めた。
激しく焦り始めた私を見ながら、それでも部長から接客の許可はおりない。
見かねた支店長が部長にそろそろやらせてみたらどうかと話をしてくれた。渋っていた部長だが、教育担当の先輩始め周囲の営業社員が日々の頑張りを認め、後押しをしてくれたおかげで無事接客の許可を頂けた。ただ接客開始は同期の中では一番最後であった。
ほっとしたのもつかの間。
地獄の時間に終わりはなかった。接客が終わり事務所に戻ると部長の前に座らされ、接客したお客様の報告。身なりからしゃべった言葉の一言一句まで報告を求められる。
どっち?
すみません。
毎回接客終了後はこのやりとりの繰り返し。ペンを投げられる、椅子を蹴られるは当たり前。
やっと接客できたのはいいのだが、毎日この繰り返し。怒涛の詰めが終わると教育担当の先輩と一緒にその日の接客の復習ロープレ。
そんな日々の繰り返しの中で完全に疲弊し、自分を信じることが出来なくなっていた。
この時点で営業の締めまで残り3ヶ月。
今思い出しても、ここから新人賞を獲得する事になるなんて、この時点では想像すらできなかった。
ただ、転機は突然やってきた。
あるお客様との出会いだった。
つづく
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