映画のつくり方を、僕がこれからも伝えていく理由。

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あれからもう、ずいぶんと、年月が経ちました。



* * * * *



「私、どうしても作りたい映画があるんです!」


その女性のあまりにまっすぐな視線に、僕は思わずたじろぎました。


「どうしても、どうしても、作らないといけないんです!」




赤坂のTV局そばの喫茶店に、僕はいました。


道路に面した窓は開放的で大きいけれど、

外はすっかり薄暗くなっていて、

なんだか喫茶店の中に閉じ込められているような感覚でした。



これから寒くなっていく、という季節。

しとしとと雨が降り続いています。



ちょっと断れない相手に、僕は突然呼び出されたのです。


「久しぶりにね、少しだけ会いたいなあと思ってね」



それなりに忙しく生活していた僕は、

しぶしぶ赤坂の指定の喫茶店に顔を出しました。


そこには、呼び出した張本人と、その隣に

真っ赤な服を着た女性が座っていました。



30代中盤くらいの、地味で小柄な人でした。



僕がカルフの名刺を差し出すと同時に、彼女は言ったのです。


「どうしても、作りたい映画がある」と。

みんなの読んで良かった!