高速の料金所でマイカー出産した話 3

前編: 高速の料金所でマイカー出産した話 2
後編: 高速の料金所でマイカー出産した話 4(完)

ダンナサンは、なかなかトイレから出てきてくれませんでした。

後で聞いたところ、かなりピーピーだったそうです。

なにか食べた物に当たったのか?

それとも出産が迫った緊張のせいだったのか?


だけど間違いなく、そのダンナサンより私の方が何倍も辛い状況でした。

どのくらい待ったのか覚えていません。

ようやくダンナサンから「さあ行こう」の声が聞けたのです。



既に、私の陣痛間隔は、かなり短くなっていました。

もう計る余裕なんてありません。

ただ不思議なもので、痛い時は床で転げまわる程なのに、陣痛の波が引いている間は、平気で動けます。

そのころ住んでいたのは、小さな賃貸マンションの2階で、ウチを出たら階段を下り、駐車場まで行かなければなりません。

その途中で痛みに襲われては大変です。


先ずは玄関で靴を履いた状態で、陣痛をやり過ごしました。

そして痛みの波が引いた時に、それ!と玄関を出発。

慌ててつまづかないように、でも急ぎ足で、まだ来るな、まだ来るな!と念じながら移動。

マイカーのドアを開けると同時に、痛みが襲い、転げる様に乗り込みました。

間一髪セーフ。



ダンナサンの運転でワンボックスカーは走りだします。


私たち一家は宮崎市に住んでいますが、実は助産院は、車で1時間かかる日南市にありました。

一人目の出産の時は日南市に住んでいたから、そこを選んだのですが、宮崎に引っ越し、二人目を妊娠した時も、その助産院の方々が好きだったので、途中高速道路も使って、検診に通っていたのです。


背もたれを倒し、破水で濡らさないようバスタオルを何枚も敷いた後部座席に横になった私は、

まだ1時間も痛みに耐えんといかんちゃ・・・

そう思っていました。

間に合わないかも?という考えは、全くありませんでした。

繰り返しやって来る陣痛は、もう本当に苦しくて、

「ヒッヒッフー」

2年前に教わった呼吸法で、必死に乗り切ろうとしていました。


しかし、しばらく走った頃、事態が急変します。


うううううううんんんんんんん・・・

私の体が勝手に、痛みに合わせて力一杯いきんでいたのです!

頭では、ここでいきんじゃマズイと分かっていても、意思とは関係なく、体はお腹の子を外へ出そうとしていました。

1度いきんだだけで、赤ちゃんが、もうかなり下りてきたのが分かりました。

「もうダメ、産まれる、救急車呼んで」


たまたま少し前に見たテレビの特番は、救急隊員の密着レポートでした。

その中に外出先で産気づいた女性からの119番通報があって、病院へ搬送中に、救急車内で出産するシーンがありました。

『出産でも急を要する場合は救急車を呼んでよい』という番組のナレーションが、ふっと浮かんできたのです。


私の言葉に、ダンナサンは車を停めました。

高速道路に乗るため、入口・料金ゲートに近付いたところだったので、その横にある小さな駐車スペースでした。

「電話してくる!」

慌てた声でそう言うと、何故かダンナサンは車から降り去ったのです、私を残して。

続きのストーリーはこちら!

高速の料金所でマイカー出産した話 4(完)

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