運動会まであと10日②

【今日はつらいので、これで帰ります。】




涙を流しながらようやくその一言を伝え、校門を一歩出たその時


グラウンドが急に騒がしくなりました。




今日は初めてリズム体操と旗の演技を、グラウンドで練習する日だったようです。




「・・・ねえ、ちょっと見ていかない?」




【・・・。】




「運動会、出たくない?」




【・・・。】




「出たい?」




ここでようやくうなづいてくれました。




「じゃあさ、出たいんだったらどんな感じなのか、雰囲気だけでもわかっておいた方がいいんじゃない?校庭の隅の方でいいから、見るだけ見ていこうよ。」




少々強引でしたが、私は振り返ることなく校庭に向かって引き返しました。




後ろから引きずるような小さな足音が聞こえます。




もう一度校門をくぐり、ちょうど木陰になっているグラウンドのはずれのベンチに先に腰掛け、娘を待ちます。




ここは運動会の練習をしている子供たちからは見えにくく、私たちが練習の様子を見学するにはちょうどよい所なのです。




グラウンドに子供たちが整列し終わるタイミングを見計らって、娘がそっとベンチに座ります。




グラウンドを見つめる真っ直ぐな目。




その目を見ていたら、私の中に急に寂しさがこみ上げてきました。




『どうしてあの子たちは普通に練習できているのに、この子は・・・。』




そんなことを思っても仕方がないのに




《不公平》




この時はその言葉が私の心を支配していたのです。


 


しかし、傷ついている娘にそんなことは言えるはずありません。 


 


何とか平静を装い、練習時間の最後まで子供たちの姿を見届けて帰宅しました。


みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。