『ペ●スノート』:Page 1「憂鬱」

前編: 『ペ⚫︎スノート』:設定集
後編: 『ペ●スノート』:Page 2「絶望」

多田 剣(たた ないと)は憂鬱になっていた。教師を揶揄い、授業を妨害することを楽しんでいる猿以下の男子。気にしなければよいのに、それにいちいち反応して怒鳴り散らす教師。それを他所に、そもそも授業に関心を示さずに漫画やゲームに夢中になっているヤツや、内輪で授業そっちのけで会話を楽しんでいる女子・・・・・。剣は、この酷い有り様を見下し、憂いていた。



「つまんないなぁ......」



心の中で呟いた。剣は、クラスでは全く目立たない15歳の少年である。しかし、学年トップとまではいかないが、中学3年間は常に学年上位に入る成績をおさめている。そのため、勉強のできない輩からよく問題の解き方や意味を教えていた。剣は、自分よりも頭の良い者や人間的に尊敬している者を除き、すべての人間を出来損ないのクズだと思っている。また、この世の中はひどくつまらないものだと考えている。








授業も終わり、剣は玄関の靴箱へ向かった。何だか奥の方から会話が聞こえてくる。剣は耳を澄ましてみた。どうやら、自分と同学年のヤンキーたちがひ弱な中1の男子にイビっているようだ。先輩が後輩にイビってて、情けなく思わないのか、コイツらは。



「ほ~れほれほれ、はよズボンおろしなはれや~。」


「え・・・・で、でも・・ここ公共の場だし、さすがにちょっと・・・・・・」


「あ~るぇるぇ~?ちみ、僕チンたちに向かって口応えしちゃっていいのかぬぁ~???あれバラしちゃうョ?T●itterやFaceb●ok等のSNSサイト及び教室出て側にある掲示板とかであれバラしちゃうョ???」



・・・・・・後輩を恐喝しているということは間違いではないのだが、いかんせん要求とその目的が全くもって理解できない。
しかし、ヤンキー側の言っている「あれ」について、後輩はよほどバレたくなかったのだろうか。しばらくの沈黙の後に、微かに何かが聞こえてきた。ベルトを外す音と、チャックを開く音だ。ああ、言う通りに下ろしちゃうんだ。ズボンを。


「・・・・・うーひょーひょーひょーひょ~~~~~!?!?!?やっぱこいつノーパンで学校来てるってウワサ本当だったやんけ!!!!!!」


「ぎゃははははは!!!!こいつキメぇ!!!!!しかもあれたってるしwwwwwwwwwwどうした?wwwww興奮しちまったか?wwwwwwwwwww」



ヤンキーたちがせせら笑っている中、泣きじゃくっている声が聞こえた。声の主は、下半身ノーパンであることを晒された後輩である。



「おっ、そうだ!僕チンずっとこいつにやりたかったことやるけんね!てな訳でコイツを羽交い絞めオナシャス。」



何をする気なのか・・・・・・後輩が「やめてよ!」と抵抗するなか、もう一人のヤンキーが体を押さえつけているのが音を聞いててわかった。そしてしばらくの静止のあと、突然ヤンキーが声を上げた。



「・・・・・・ほぅ~れ見ぃや!コイツのおチ●ポにてんとう虫が止まったYO!」


ヤンキー達は再び、大声を出してゲラゲラと笑った。途中でスマートフォン独特のシャッター音も聞こえたあたり、きっとその光景を写真にでも撮ったんだろう。後輩は、またしても泣きじゃくっていた。

理解の範疇を超えた彼らのやり取りに耐えられなくなった剣は、すぐさま靴を取り出してその場を去った。・・・・・・それにしても何だったのだろうか。あの一連の流れは。あのヤンキー達の行動はとても理解できるものではないし、もはや犯罪と同等の変態じみた行為である。それに下半身を露出させて笑うだなんて、とても中学三年生とは思えない、実に下らないことだ。センスのかけらもないクズ野郎だ。そして後輩も後輩だ。なぜノーパンで学校に来たのだ。そしてノーパンで学校に来ているという噂を誰が垂れ流したのか・・・・・・。でも、意地悪な先輩が後輩に恐喝していることには違いはなかった。あの時、やっぱり止めに入るべきだったのだろうか。だけど、それであのヤンキー共の矛先がこっちに向かうのも・・・・・・嗚呼、やっぱり自分もあいつらと同じクズ野郎なんだ。剣は、帰路の途中で、ヤンキーたちへの憤りと共に、激しい自己嫌悪の感情に呑まれていた。





自宅へ通る途中にいつものホットドッグ屋へ寄ろうとした。このホットドッグ屋はそこそこ歴史が長く、剣は、この店で売られているホットドッグに心を奪われ、早5年経つ。ここでホットドッグを食してから家に帰るのが、この中学三年間の決まった日課なのである。(ホットドッグだけでなく、フランクフルトやアメリカンドッグも売っているため、それを食する日も稀にある。)


しかし、ホットドッグ屋へ足を運ぼうとした矢先である。目の前に何かが落ちてきたのだ。無論、剣はびっくりド●キーないし、インド人もびっくり状態に陥った。地面との衝突時に鈍く大きな音を立てたことから、恐らく金属物か何かに違いない。
剣はパニック状態が落ち着いた後、恐る恐る謎の物体に近づき、それを手にした。・・・・・・どうやら、何かの機械みたいだ。強いて例えるなら、ボイスレコーダーみたいなものだ。使い古されたものなのかはわからないが、とても新品とは思えない外貌だった。そして、機械の裏側にはご丁寧に小さな冊子らしきモノがセロハンテープに接着されていた。剣は、その冊子を外し、表紙に書かれていた文字を声高らかに読み上げた。


「ぺ・・・ペ、スノート???」


冊子の表紙には、「ペ●スノート」と書かれていた。●には、何かの文字が入るのだろうか。もしかして・・・・・・いや、ここで考えることはやめておこう。しかし、表紙にこんな文字をつけるだなんて、書いた主はよっほどセンスがないのだろう。
剣はこのおかしな機械と冊子を丸ごと投げ捨ててしまおうかと考えた。


だが、好奇心というものは実に恐ろしいものである。もっと詳しく調べてみたいと思った剣は奇妙な機械と冊子を鞄に入れ、ホットドッグ屋には寄らずに真っ直ぐ帰宅することにした。


剣の姿が見えなくなった後、ホットドッグ屋のレジの背後からヌッと人が現れた。この人物は、この店で働いている者である。いかにもファーストフード店らしい制服を着ているが、老けた顔とどことなく放たれている負のオーラから、何とも言い難い哀愁が漂っていた。そして、ポツリと呟いた。


「ふぅ・・・・・・バレなくてよかった・・・・・・。」





自宅に着き、勉強部屋の机の前に座った剣は、さっそく例の機械と冊子を机に出した。まずは、この冊子から調べることにしよう。冊子を開くと、見開き1ページごと英語がビッシリと書かれていた。次のページ、更に次のページへと進めていったが、どうやらこの冊子は表紙を除いてすべて英語で書かれているようだ。


「全部英語かよ・・・・・・うわぁ、面倒くせぇ・・・・・・。」


怠さが倍増した剣であったが、彼はそこそこ英語が得意である。なので、これも受験勉強の一環だという心持で、和訳を行った。

調べていく毎に、表紙の「ペ●スノート」というタイトルの「●」の部分は何も文字が入らないことが判明した。よって、このタイトルは「ペスノート」と読むのが正しい・・・・・・のだそうだ。紛らわしい。

こうして地道に和訳作業は続き、開始から1時間後、ようやく全ての英文を和訳し終えた。


「・・・・・・この冊子は、この変な古い機械の説明書なんだな。じゃあ、軽くまとめてみるか・・・・・・。」


そして、改めて機械の説明書をざっくりと書きまとめた。他にも数多くのルールがあるようだったが、まとめると以下のようなルールである。



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・このボイスレコーダーを録音状態に切り替えた後に名前を言うと、その名前を言われた者は35秒後に恐ろしい呪いにかかってしまう。

・名前を言われた者が男性であった場合、ペ●スが元より5倍から10倍までの大きさになる。(それ以上になる可能性も充分考えられる。)また、女性であった場合はペ●スが生えてくる。(1個だけとは限らない。)

・この呪いにかかった者は、自力で呪いを解くことはできない。

・名前を言った後に1分35秒だけ、呪いにかかる日にち又は呪いにかかるまでの詳細を決定する時間が与えられ、具体的な月日とどのように行動をとるかを述べるとと、その通りとなる。しかし、場合によっては指定した行動をとらぬまま、呪いにかかることもある。また、呪いをかける日を指定する場合は20日以内でなければならない。

・このボイスレコーダーは、いかなる道具や手段を用いても破壊することができない。

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「・・・・・・結局ペ●ス絡んでんじゃねえかよ!!!!ほんとセンスねーなぁ!!!!!」

剣は思わず口にしてしまった。そして、席を立った勢いで、傍の布団へとダイブした。



 「本当にくだらねぇな・・・・・・。余計に頭使っちゃったし・・・・・・寝よ・・・・・・。」

少し睡眠をとってから、勉強をしよう。模試や期末試験がそろそろ近いし、それの対策をやろう。そう思いつつ、剣はゆっくりと目を閉じた。

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『ペ●スノート』:Page 2「絶望」

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