【ファイナル】マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話

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前話: ④マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話

いくらガマ社長でもセブまでは州が違うので手出しは出来ないでしょう。でも十分用心しましょう。空港からは分れて行動しましょう。飛行機の席も別、セブ空港まで一切菊池さんとは話を交わしませんでした。



無事にセブに着き、セブ発成田行きの最終にはしばらく時間がありました。


とにかく出国だけは済ませておきたい。


フィリピンの出国ゲートは長蛇の列が出来ており、皆がのんびり出国手続きをしています。

まずは菊池さんが出国を済ませ両手を上げてこちらに合図をしました。



ここで私が逮捕されたら菊池さんは助けてくれるだろうか?など考えながら出国の列に並んでいると空港警察とは違う色の制服を着た数人組がうろうろとし始めました。明らかに誰かを探しています。




一人の男が私を見て指を刺しました。

嫌な予感がしました。ターゲットは私かもしれません。



身を低くし人込みを隠れるように出口まで向かうと空港警察官に止められました。


「この先はVIP専用レーンです。一般の方はこちらにお並び下さい」

先ほど私を指さした連中との距離はどんどん縮まり「ミスター!」と声をかけられました。




彼らの様子からするとアップグレードでビジネスクラスに乗せてもらえるような雰囲気ではありません。



とっさにポケットにあったフィリピンペソを手の平に乗せ空港警察官に「私はVIPでしょ?」と札束を握った手で握手をしました。

私の手の平からお札が無くなったとき、空港警察官が「どうぞこちらへ」とレッドカーペットに案内してくれました。


転がるようにゲートをくぐりました。ぎりぎりでも出国ゲートを抜ければもう治外法権です。誰が何と言おうが逮捕は出来ません。もしかしたらマニラを出国していない私達を不審に思いセブに連絡を取ったのかもしれません。


日本に向かう機内でやっと菊池さんと話すことが出来ました。




「久々の日本ですね」




「はい・・・」




「後は日本でゆっくりやりましょう」




「はい・・・」




エリート銀行マンのプライドをフィリピンでことごとく潰された菊池さん。挙句にすべてガマ社長にしてやられた感が漂い終始言葉すくなでした。



対照的に私は無事に菊池さんを奪還出来た満足感と機内サービスで飲んだワインのおかげで饒舌でした。



「くやしいな・・・」




「何がです?」




「船を獲られた事です・・・」




「別にあんなおんぼろ船なんてどうでもいいじゃないですか」




「おんぼろ船?あれにはわが社の7000万円がつぎ込まれています!」




「7000万円?船はそんなにしませんよ?ハハハ・・」




「何を笑ってるんです?」




「船は二束三文、売り物になりません。奴らにくれてやりましょう」




「一千万円もした幹縄を含め新品の漁具も入ったままです。」




「いえ、漁具までは放棄したとはいっていません。

「はっ?」






「放棄したのは船だけです。」







「えっ?」


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