【ファイナル】マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話
「わかった、その土地なら空港にも近いし備品も新品に近いと弁護士から聞いている。早速、弟に検討させよう]
「それと弁護士が言ってたよ」
「えっ?なんて?」
「日本の商社もえげつない」って・・・
あっという間に雲間に隠れた事でまるでニンジャのようだとNBIの署長からいわれました。
弟さん経営の冷凍食品はすべてそんな私にちなんでいたかは不明ですが、ニンジャのロゴマークが入っていました。
ヨーロッパ方面で大変人気になった「ニンジャ」シリーズの帳合いはすべて弊社が窓口となり、フィリピンの出張費用を大きくカバーする利益を上げる事が出来ました。
フィリピンではプライドをずたずたにされた菊池さんではありました。日本に帰ってきた途端、見事なまでに復活を果たしました。
「菊池さん、どうしたんです?こんな朝早くに」
「今、東京に着きました。これから女形社長を相手に告発するつもりです。」
「告発って刑事事件でですか?」
「はい、罪名は詐欺罪です。勿論民事でも損賠賠償を請求します。あれから日本に帰ってガマ社長と女形社長に騙された人たちを探しました。彼らも協力してくれます。二人でつるんで今までに被害金額は3億円近いそうです」」
「それは凄い、マニラでは債権を主張した署長の弟がガマ社長を追い出して工場を占拠したといっていました。占拠に署長まで乗り出したらしいですよ。ガマ社長がローンでお金を返すって言っても金利だけで年利30%かけられたんだそうです。支払いが遅れたら逮捕だって脅されているそうですよ」
「年利30%?そりゃガマ社長もお手上げだ、NBIの所長もえげつないですね。こちらも負けてはられません。私もとことん女形社長を追い詰めますよ。」
「金融マンも意外とえげつないんですよ」
ひと通り話を済ませ電話を切ろうとしたとき、菊池さんが思い出したようにガマ社長と女形社長の秘密を話してくれました。
「あ~っ!そうそう!ナベさんマニラでガマ社長に泊まっていけっていわれたでしょ」
「はい、ホテルがもったいないから泊まっていけっていわれました」
「危なかったですね~、ナベさん狙われてたんですよ、ガマ社長と女形社長に」
「狙われてたって、命をですか?」
「ハハハ・・いえ、ガマ社長と女形社長は長い間ビジネスパートナーである前に特別な関係だったそうです」
「特別な?」
「はい、おホモ達って事です」
「え~!!ガマ社長の自宅には女の影が無く男ばかりだったのでもしかしたら真面目な人なのかなと思っていました」
「いや、まったくその逆でガマ社長からしてみれば毎日若い男に囲まれてハーレム状態だったそうですよ」
「だって奥さんがいるっていってましたが」
「だからそれはカムフラージュで毎晩あのらせん階段を上がりピンクのネオンが付いたキングサイズのベットで女形社長とガマ社長とは愛を確かめあっていたんだそうです」
「ガマ社長はナベさんの事が相当お気に入りだったそうですよ、そっちの意味で・・」
「ある意味お互いいろんなところが無事でマニラから生還したんですね」
その後、菊池さんとは5年前に亡くなった会長のお通夜で会いましたが元気な様子でした。結局女形社長への詐欺罪は立証できず刑事告訴は断念を致しましたが、民事裁判では和解にこぎつたと聞きました。また、ガマ社長に騙され刑務所に入れられた方たちはすべて無事に釈放されたそうです。
事件の後、しばらくマニラに出張の機会はありませんでしたが、数年後久々にマニラに行く機会がありました。
懐かしさも手伝い暇を見つけてあの港に立ち寄りました。漁具の入っていた倉庫はすべて中国資本の商社が好条件で魚具を買ってくれたおかげでがらんとしていました。
結局オーナーのいなくなった船はあれから一度も港から出る事を許されず、メンテナンスも施されていないため浸水の痕があるのでしょう。バランスを崩し斜めに傾いたまま息苦しそうにマニラの波間に漂っていました。
終わり・・
このお話はフィクションです。登場する団体や人名など実在は致しませんのであしからず(笑)
著者の渡辺 忍さんに人生相談を申込む
著者の渡辺 忍さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます