「高木教育センター」の、ありふれた日々

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「高木教育センター」の、ありふれた日々 

第一章  「英語の旅」

第二章  「A子ちゃんのこと」

第三章  「数学のはじまり」

第四章  「ネット社会で右往左往」

第五章  「偏差値追放、バンザイ!」

第六章  「ライフルと機関銃」

第七章  「怒りの根源」

第八章  「敵は家族にあり!」

第九章  「最高の学習環境」

第十章  「中間報告」

 

 

第一章

「英語の旅」

私の亡き父はウザかった。高校入試の合格発表についてきたし、就職したら2時間以上かけて勤務していた塾まで挨拶にきた。

  高校2年生の時までは、理系に進むつもりだった。ロボットを作りたかった。四日市高校は当時男子の割合が高くて男子クラスがあり、私はその男子クラスに放り込まれた。

今もその傾向があるが、当時も男子生徒は理系が多くて私はその中で理系に行くのが当然だと思って勉強していたが、数学の勉強を始めるとめまいがするような感じがし始めた。

 それは、公式の成り立ちを納得していないのに無理やり使わされることに生理的な拒否感が生まれたらしい。模試の結果によると、文系なら難関国立大に合格できるけれど、理系だとそこまではムリという結果。泣く泣く「教育学部」に進むことになった。

生きていくには英語講師になるしか選択の余地はなかった。しかし、その英語でも真摯に向き合うと問題だらけだった。

  最初に

「何かおかしいぞ」

 と気づいたのは、1982年にアメリカのユタ州ローガン中学校で社会の授業をしている時。同席していたネイティブの教師が、しばしば私の授業を中断して生徒に向かって説明し始めた時だ。

「ミスタータカギが今使った単語の意味はね、---」

 と解説を始めた。それで、一番仲のよかった理科教師のアランに

「なんで私の授業を中断するのかな?」

 と相談したら

「お前の英語は綺麗だけど、ビッグワードを使いすぎなんだ」

 とアドバイスをくれた。それで、注意して職員室の会話などを聞いていると、確かに中学レベルの英語を使っている。自分が受験勉強で習った難解な単語など全く出てこない。

 not more than と no more than の違いなど、使わないのだからどうでもよかった。私の塾生たちは、高校で与えられた「システム英単語」を使って単語をいっぱい覚えているが、多分ムダになる。

  アメリカから帰国した私は公的な資格を取ろうと思って、とりあえず英検1級の過去問を書店で入手した。そして、知らない単語や表現を見つけてウンザリした。

  もはや、高校生の時のように

「頑張って勉強しないと」

 と自分を責める気になれなかった。私はネイティブの助けを借りて問題を解き始めたが

「これは何だ?なんで、日本人のお前がこんなものを」

 と言う。それで、

「どういう意味?」

 と尋ねると      

「こりゃ、シェークスピアの時代の英語だよ」

 と笑っていた。

  しかし、アメリカから名古屋にある7つの予備校、塾、専門学校に履歴書を送付しても全て無視されたので、私は日本の英語業界で認知されている資格を取らざるをえなかった。

  事実、英検1級を取ったらどの予備校、塾、専門学校も返事が来るようになった。結局、コンピューター総合学園HAL、名古屋ビジネス専門学校、河合塾学園、名古屋外国語専門学校などで14年間非常勤講師をすることになった。

  その間に出会った英語講師の方たちの中に、英検1級を持っている人はいなかったし、旧帝卒の講師の方もいなかった。資格を持たないと雇ってもらえないという私の見方は誤っていた。

  私はその頃には受験英語を捨てていた。どの資格試験の英作文も面接試験も、すべてアメリカで使っていた英語で通した。つまり、中学生レベルの英語を使って難解な内容を表現する英語だった。

  ところが、今はまた受験英語を指導している。高校の入試問題も、大学の入試問題も30年前から何も変わっていないのだ。受験参考書の構文も、相変わらず take it for granted that や not until の世界なのだ。

  日本にやってくるALTが増えて、

「日本の教科書はクソだ」

 とか

「英語が話せない教師が英語を教えている!」

 と言っても誰も耳を貸さない。そして、偏差値追放、小学校から英語を、と意味不明の政策を打ち出す。私のいる予備校、塾業界も暴走族講師やらマドンナ講師やらパフォーマンスばかり。

 そして、それをマスコミが煽る。賢い生徒はあきれ返って「マスゴミ」と揶揄している。

 しかし、一体いつまでこのようなバカな状況が続くのか。

  でも、本当に英語教育界にまともな人はいないのだろうか?私が四日市高校や名古屋大学の教育学部で出会った学生の中にはまともな人もいた。それで、日本一レベルが高い東大や京大を受けてみることにした。

  京大は英語の試験が和訳と英作文という珍しい大学だ。それで、まず「京大模試」とZ会の「京大即応」を受講してみた。京大模試は河合、駿台、代ゼミなどを10回。Z会は8年間やって、じっくり研究してみた。

  ランキングに載り、Z会からは「六段認定証」というのももらったが、毎回の添削は納得がいかなかった。京大模試の採点も同様だ。それで、

「いったい、だれが採点してんだ?」

 と思い調べてみた。しかし、企業秘密で分からない。ただ、自分が勤務していた予備校の講師レベルだろうとは推測できた。受験参考書どおりの訂正がなされていたからだ。

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