海外で保証金詐欺事件にあった話

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頭はバカンスモードから完全に戦闘モードへと切り替わります。




私は「なめんなよ」とつぶやきながらフェリー乗り場に向けて一気にバイクのアクセルを開けました。まるで堤防の突堤から海へダイブするかのように。




あわてたのはレンタルバイクのおやじです。


仲間のバイクと共にあわててフェリー乗り場まで私を追いかけてきました。




真っ赤な顔して怒るレンタルオヤジに向けて、




「保証金は放棄したんだ、だったらこのバイクは俺のだ、街に行ってこのバイクを叩き売る、保証金はバイクが帰ってこなかったときのためだろ?」




今度はこっちがしれっとした顔で、バイクをフェリーに乗せました。レンタルオヤジは益々ヒートアップし、歯をむき出しにしてまくし立てます。




「この保証金は傷ついたバイクの修理費だ、バイクが戻ってこなくても良いとはいっていない」




「傷なんて何処にあるんだ、このカウルのひび割れは借りる前に写真で撮ってあるだろう?」




「傷はここにあるだろう!よく見ろよ!これはお前が付けたものだ」




「何処にそんな傷がある?指で触らなきゃ分からない傷だぞ?だったらお前も一緒に街まで来い、ツーリストポリスの前でこの話の続きをしよう」





すでにこの時点でフェリーの出発時間は5分遅れていました。




乗客には、もはや借りたバイクにまで「俺のバイクだ」と大声で言い張る中国人とそれを阻止するタイ人グループにしか見えなかったと思います。「どっちのバイクでも良いから早く出航してくれ」といわんばかりに状況を見守っています。




「ほら、早く乗れ、一緒に警察に行こう」と、船から手招きをする私に、




「分かった、保証金は返すからバイクを下ろしてくれ」と、ポケットから保証金を差し出しました。




どうせろくな契約も交わしてないので、保証金もふっかけてやろうかと思いましたが、あわてたレンタルオヤジは間違えて少し多く保証金を返してくれたようでしたのでこの事件はここで「チクル」だけにしておきます。




安全な日本にいると日本人はついついトラブルに巻き込まれるケースも増えます。私は海外では乗ったタクシーのナンバープレートは乗り込む前にいつも写真に納めるようにしています。何かあるごとに写真として証拠を残すことは運転手にとっても抑止欲効果にも繋がります。




契約書やちょっとしたレシートなども捨てる前にちょっと写メを撮るだけでもトラブルを回避したり、こちらが有利に交渉を進めたり出来るかも知れません。


旅行専門の保険会社から聞きましたが、日本人の旅行者って意外とトラブルに巻き込まれるケースが多いそうです。ちょっとした事ですが、注意をはらって海外旅行をお楽しみください。


終わり・・・


  



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