若年性乳がんになって片胸なくなったけれど、日々楽しく生きている話~第二章

前話: 若年性乳がんになって片胸なくなったけれど、日々楽しく生きている話~第一章

涙が止まらなかった前夜。


師走の喧噪の中、私は色々なことを決め、悩み…生きていた。

誰に相談をする訳でもなく、ただ静かに決断を一つずつ。

こういう時、自分でも「損な性格だな」と思う。

泣き喚くこともなく、ただ冷静に…

仲間や親友、身内に相談をしても良かったのかもしれない。

でも、あえてしなかった。

だって、決めなくてはいけないのは「私の命」の行く末。

他人の感情は不要だった。

こう書くと、何だか冷たく感じる方もいるだろう。

それでも、この表現が一番自分の感覚に近かった。

結局は自分。

誰も私の命の結末を決めることは出来ないし、そんな必要もない。

だから、全てを自分ひとりで決めた。

正直、この年末のことはあまり良く覚えていない。

気が付いたら年が明けていて、手術前日だった。


侍医者から色々な説明を受け、前日早めに眠ろうと思い、お風呂に入った。

普段は自分の身体なんてまじまじと見ることはないし、

鏡に身体を映して見るなんてことはしたこともない。

でも。

この日だけは違っていた。

上半身だけが見えるバスルームの鏡。

映り込む自分の左胸を愛おしく感じ、明日にはなくなると自覚した途端…

涙が止まらなかった。

号泣ってこういう時に適した単語なんだなぁ…と。

いや、号泣じゃないな。咆哮に近かったかもしれない。

何の言葉も出てこない。

ただただ…泣いた。

時間が止まってくれたらどれだけ嬉しかったか…無理だけど。

そして、どこか自分の中で腹を括ったんだろう。

黙ってバスルームを後にして、深い眠りについた。


入院の日程は3泊4日。

その間の猫達の面倒は父に頼み、私は病院へ向かった。

偶然にもお願いをしたタクシーの運転手さんは女性。

病院までと伝えたら、何だかんだと話が盛り上がり、

運転手さんにまで「検診受けた方が良いですよ~」と勧める私。

…呑気だ。ホント私呑気だ(苦笑)

ま、そこが私の良いところなんだろうなって思うことにする。


最初に行ったのは侍医者の病院。手術は別の病院で受ける予定だった。

まずは侍医者のところで胸にマーキングをする。


要は「どこにメスを入れ、どこまで切って…」みたいな感じ?

次から次へと左胸にマジックで印が付けられていく。

アタシ
「…まだ書くの?」

思わず侍医者に言ってしまうくらい、がっつり左胸はマジックだらけ。

そんな時、補助に付いていた看護師さんが一言。

看護師さん
「こんなに綺麗な胸なのにね…切ってしまうのが勿体ないくらいだわ…」

…言わないで。それだけでまた泣きそうになるから(号泣)

何とか必死に涙を堪え、ひたすらマーキングの終了を待つ私。

しばらくしてマーキングが終わり、手術の最終説明をされる。

あらかた内容は理解しているし、ここまでくると早くやって欲しいくらいになっていた。

だって。

もう逃げられないんだもの、この状況から。

ならば、腹をくくるしかないしね(笑)

ってことで、手術を受ける病院へ移動。

ここには親友が勤務しているので、何から何まで彼女が手配してくれた。

どうも個室が苦手な私のために、彼女は二人部屋を手配してくれた。

それも二人部屋だけど、もう一つのベッドには極力人が入らないようにも。

ホント有り難かった。今でも頭は上がらないけどね。

入院手続きを済ませ、部屋の準備などをしていたら、

あっと言う間に予定時間に。

…ちょっと緊張するなぁと思いつつ、でもここで私の脳内はさらに変化。


私が頑張ることは、何一つない。

手術は先生などが頑張ってくれるのだから、

私はただベッドの上で眠っていれば良いだけの話。

あとは…時の流れが終わらせてくれるんだろう(苦笑)

…そんな雑多な考え方だけで、私は手術に挑んだ。


手術はあっけなく終わり、術後は最悪だった…orz


手術の予定時間は確か3時間弱。

どうせ寝ているだけだろうという私の安易な性格が幸いして?

あまりパニックになることもなく、手術室に向かうこととなる。

手術室のベッドに横たわると、珍しく穏やかな声の侍医者が。

侍医者
「大丈夫だよ。あっと言う間に終わるからな~」

…ま、先生。命は預けたよ(笑)と思いつつも、

実は内心ドキドキ。このまま起きなかったらどうなるんだろう?とか。

起きて痛いのはいやだな~とか、タバコはいつから吸えるの?←あとで問題になるけど。

なんてどうでも良いことをひたすら考え続けていた。

今回は全身麻酔になった。

過去の盲腸やら何やらで下半身麻酔を受けたことがあるけれど、

まぁこれがしんどかった(涙)

動けないのに意識があるのは、もどかしいしメンタル的にも良くはない。

だからこそ、初全身麻酔にトライしたが…これは完璧な敗戦だった(><)


予定時刻になり、手術は始まった。

***すいません、睡魔に負けそうなので今日はここまで***2015/11/12



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