イヤよ、イヤよ、も好きのうち。 〜苦悩編〜

前話: イヤよ、イヤよ、も好きのうち。~きっかけ編~

言うは易し、行うは難し


さて、ひょんなことから参加することになったIT企業のインターンに不安を持ちつつも、出されたお題にワクワクし始めたところでグループワークが開始。


中間発表が翌日の午前中だったので、私たちにはざっと12時間程度の持ち時間がありました。


正直、3人で効率よく考えてアイデアを出せれば、意外と余裕なんじゃないかと思っていました。

なんせ、私のチームメイトは二人とも頭キレキレかつIT知識が私の数十倍持ってる最強メンバー。

この二人と力を合わせれば、絶対どこのチームよりもいいアイデアを出せると確信していましたし、業界をDisruptするために必要な業界構造分析のやり方も、至極丁寧に分かりやすくレクチャーしてもらったので、あの通りにやればここに時間はそこまでかからないだろうと踏んでいました。





しかし、事はそんなに上手くは進みませんでした。





Disruptするための業界構造分析が、全く上手く進まないのです。

一見単純かつ簡単そうに思えたこの業界分析が、恐ろしいほど複雑で私たちの思考体力を奪いました。



最初は大きな流れを捉えるところから始め、原始的に登場するプレイヤーを探し、適切な場所へ配置していきました。これはとてもシンプルで分かりやすい構図だったので、配置作業は順調に進んでいきましたが、時代とともにプレイヤーが少しづつ増えていき、新しいイノベーションやサービスがどんどん追加されていくと、さっきまでシンプルだったあの構図は、とたんに抜け漏れだらけのボロボロ地図になってしまったのです。


新しいプレイヤーを見つけては、それがどこに位置するものなのかデータを集め議論し、とりあえずここじゃん?という感じで埋めていっても、あれ?このプレイヤーこんな役割もしてるという事が新しくわかると、じゃあここじゃないじゃんとなって、またふりだしに戻る。



この作業を私たちは日付が変わるまでやり続けていました。

日付も変わる頃には、私たちの頭はもうクタクタに疲れ切っており、それとちょうど比例するようにチーム内の発言数はどんどん少なくなっていきました。



ー やばい。



おそらくこの時間、みんなが同じ事を思っていました。

アイデアが出るどころか、与えられた業界の構造すら把握できない自分たちに、焦りとイライラが募っていたと思います。あんなに余裕があった数時間前が嘘のよう。目の前にあるホワイトボードは図やらメモやらでびっしりと色々なことが書かれているのに、何時間もかけて作られたその図は、結局何の意味もなしていませんでした。



出されたお題に対し、答えが1つも見つかっていない状態で残り6時間という最悪な状況。一体どうすればいいのか、どうすればこの状況を打破できるのか、全くわかりませんでした。ただ、1つのシンプルな感情が私の心にどっしりと居座っている事だけは分かりました。




ー 諦めたくない。




それは、私の負けず嫌いな性格がもたらしたのかもしれません。

でもそれ以上に、このお題をここで諦めてしまったら、何か大切なものを掴み損ねてしまうような、そんな気持ちの方が強かったように思います。

それは一体なに?と聞かれると困ってしまいますが、でもここで諦めたら間違いなく後悔するということだけは分かっていました。



では、具体的に私は何をすべきか。

色々考えてはみたものの、結局どうすればいいかわからなかったので、私は必死に自分の意見やアイデアをチームに伝え続けることにしました。なぜなら、自分にできることが他に見つからなかったからです。

いまにも投げ出してしまいたくなるような気分に何度も襲われましたが、それでも自分のできることをやり続けるしか道はないと思ったので、ひたすら情報収集とそれを基にしたアイデアを出し続けました。


しかし、皮肉にもそれらはほとんどが仇となって返ってきました。

私に知識がなかったり考え方が甘かったために、矛盾ばかりのアイデアを伝えてしまってチームメイトをイラつかせてしまったり、チームの方向性を惑わしてしまったのです。

良かれと思ってやったことは全くチームに貢献できず、もはや迷惑をかけているレベル。もがけばもがくほど出口が遠のいていく感覚に、私は人生ではじめて自分の無知と不甲斐なさに押しつぶされそうになりました。


一体どうすればいいのか。

答えの出せない自分を置いて、時間は刻一刻と進んでいきました。





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