ウィーンの子育て話 2

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日本を離れるまで

それはそれは、バタバタの引っ越しだった。

出発まで最後のまとめに忙しい主人、あてにはできず。荷造りを進めるが引っ越しはできるだけ安く・コンパクトにを目標にしていた。到着後に必要な品物は航空便の段ボール数箱、そして持参するスーツケース2つ、残りも数箱の段ボールを一番安い送料でウィーンへ送り出す。

だが、息子は9ヶ月、両親や親戚も近くにおらず、家財道具のほとんどを片付けないといけない・・・そんな状況で日本を離れる1週間前には息子が39℃の発熱!さらに身体中に発疹が出る。診断名は「突発性発疹」海外に引っ越すことがなければ、な〜んだで終わるのだが。なんと、この時期にSARSが流行し空港で怪しまれること間違いなしの状況になる。小児科の先生には、英語でも診断書を作成してもらい、原因がわかったということで解熱剤を使用しながら保育園へ通園。保育園の先生が、荷物が行き来するなかでは療養もできないだろうと気遣ってくれたのだ。この時ばかりは、心の底から先生に感謝をし、遠くの親類よりも・・を痛感した。

一旦両親の家に移動し、2日後には成田空港へ移動。もちろん、息子は熱はさがって元気だがにっこり笑うそのほっぺには赤い水玉が。「どうか怪しまれませんように」とお祈りはしていたけれど、9ヶ月はいはいらしき動きを見せる息子連れの状況にはいつまでも悩む時間はなく、気が付いたら飛行機に向かうバスを待つロビーにいた。

両親に電話で出発するよと告げ、バスに乗り込み一路機内に向かう。抱っこ紐の中できょろきょろする息子には、これからどこに行くのかわかるのだろうか?パスポートの写真は3ヶ月の首も座らない時のもの。でも、オーストリアのビザも貼ってありいっちょまえだ。

さあ、いよいよ日本を離れるぞ。そう思いながら空港内を移動するバスにゆられ、飛行機に向かう。感傷的になって泣いちゃうかな?いや、これから何年滞在するかわからない海外生活にドキドキするかな?昨日まではそんなことも考えていたが、飛行機が近づくにつれ、あることを思い出す。

「あっ!この子は瓶詰めのベビーフード食べられないんだった!」

離乳食は食べていて、少しづつ食べ物も増やしてはいたが、なにせ12時間の空の旅。まだまだおっぱいも大好きで飲んではいるが、それだけでは十分ではない。だから瓶詰めのベビーフードを食べる練習もしてみた。はじめの一口は不思議な顔をしたが、そのあとはパクパク。これはいけるぞ!と思ったのもつかの間、マーライオンのように全て吐き出してしまった。ここで気持ちがくじけてしまい、以降挑戦するのはやめていた。

一応、年齢相応の機内食はお願いしておいたし、食べるのがない時のためにバナナも持ったし。でも大丈夫かな?と思っているうちに、機内に乗り込み、気が付いたら息子は気圧対策のためおっぱいを飲み、そして私たちを乗せた飛行機は気持ちの良い青空の中をすーっと上昇していた。


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