結婚相談所をスタートさせて、初めて大泣きした夜 第2回
ある日のことだった。
ルンルンで、スーツに着替え、ノートとペンをカバンにつめる。
うちの結婚相談所は全国からお客様を募集しており、特に東京からお客様がたくさんやってきた。新幹線に乗ってわざわざ来てくれるのだ。東京から来られる場合は、大阪よりも京都のほうが近いので、京都駅近くのホテルのラウンジを利用していた。
面談が終わったあとは、おみやげコーナーで美味しいおやつを買うのが日課である。貧しくとも、相変わらず食いしん坊生活だけは充実していた。
京都駅から徒歩1分のホテルのエレベーター15階へ移動する。
京都駅付近は条例で高いビルを作ってはいけないので、15階程度の高さでも、京都の町並みを一望できる。
お客様には、せっかく京都に来たのだから景色も楽しんでほしい。1時間以上早く到着をして景観のいい席を確保するのが日課だった。
髪型はストレートのセミロングで、ブルーの花がらのワンピースを着た細身の女性だった。当時40代前半だった。
色々世間話をした後、まず最初に聞かなければならないことをたずねた。
聞きながら、いつもの調子で、ノートとペンを取り出した。
(ああ、またか。誰でもいいっていう人って、いつも誰にも会ってくれないんだよなぁ。こちらからもう少し突っ込んで聞いてみるか。)
(この人、控えめなんだけれども、『この歳なので』って何度も言いすぎだなぁ。年齢に悲観しているのかな。それとも、若いころわがまま言いすぎたのかな。)
お客様が繰り返した言葉は、頭のなかにインプットをしていた。目の前で太文字で「この歳なので」と書いたり、赤のマジックでそこを囲ったりするわけにはいかないからだ。
当時は、だいたい面談はこの程度だった。そしてこの面談の浅さが、お見合いのマッチングが全くうまく行かなかった原因だったのだ。
と気合だけで何の経験もなくスタートさせてしまった上に、教えてくれる上司もいない。本当に当初のお客様にはご迷惑をおかけしたと今でも反省している。
そしてこの浅い面談のせいで、私は彼女に大泣きさせられることになったのだ。
8月10日に出版が決まりました「となりの婚活女子は、今日も迷走中」(大西明美著、かんき出版)
Amazonでのページも出来まして、いよいよ船出ですm(_ _)mm(_ _)m
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