結婚相談所をスタートさせて、初めて大泣きした夜 第2回

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ある日のことだった。

今日は、東京からお客様が来られるっ♪ありがたやー!!


ルンルンで、スーツに着替え、ノートとペンをカバンにつめる。

うちの結婚相談所は全国からお客様を募集しており、特に東京からお客様がたくさんやってきた。新幹線に乗ってわざわざ来てくれるのだ。東京から来られる場合は、大阪よりも京都のほうが近いので、京都駅近くのホテルのラウンジを利用していた。

京都駅でおたべを買うぞー!赤福もついでに買うぞー!

面談が終わったあとは、おみやげコーナーで美味しいおやつを買うのが日課である。貧しくとも、相変わらず食いしん坊生活だけは充実していた。

京都駅から徒歩1分のホテルのエレベーター15階へ移動する。

京都駅付近は条例で高いビルを作ってはいけないので、15階程度の高さでも、京都の町並みを一望できる。

お客様には、せっかく京都に来たのだから景色も楽しんでほしい。1時間以上早く到着をして景観のいい席を確保するのが日課だった。

お客様
初めまして。どうぞよろしくお願いいたします。

髪型はストレートのセミロングで、ブルーの花がらのワンピースを着た細身の女性だった。当時40代前半だった。

どうもどうも、京都までお越しくださってありがとうございます。

色々世間話をした後、まず最初に聞かなければならないことをたずねた。

どんな人をご希望でしょうか。


聞きながら、いつもの調子で、ノートとペンを取り出した。

私ももう40歳も過ぎましたので、もらってくれる人なら誰でもいいんです。

(ああ、またか。誰でもいいっていう人って、いつも誰にも会ってくれないんだよなぁ。こちらからもう少し突っ込んで聞いてみるか。)


年齢はどれぐらいまでなら大丈夫ですか。
この歳なので、50代までなら大丈夫です。
離別の方もOKでしょうか
もう、この歳なので、離別の人もいいです。


(この人、控えめなんだけれども、『この歳なので』って何度も言いすぎだなぁ。年齢に悲観しているのかな。それとも、若いころわがまま言いすぎたのかな。)


お客様が繰り返した言葉は、頭のなかにインプットをしていた。目の前で太文字で「この歳なので」と書いたり、赤のマジックでそこを囲ったりするわけにはいかないからだ。

こういう人だったらいいなぁということがありましたら、教えてください。
優しい人がいいです。すぐにカッとして起こらない人がいいですね。

当時は、だいたい面談はこの程度だった。そしてこの面談の浅さが、お見合いのマッチングが全くうまく行かなかった原因だったのだ。

よっしゃ、今日から結婚相談所やるぞ!

と気合だけで何の経験もなくスタートさせてしまった上に、教えてくれる上司もいない。本当に当初のお客様にはご迷惑をおかけしたと今でも反省している。

そしてこの浅い面談のせいで、私は彼女に大泣きさせられることになったのだ。


8月10日に出版が決まりました「となりの婚活女子は、今日も迷走中」(大西明美著、かんき出版)

Amazonでのページも出来まして、いよいよ船出ですm(_ _)mm(_ _)m

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