GPA2.3の地方出身大学生を、外資系投資銀行内定まで支えたメール
だから、資格試験は、すべて『一発合格』でお願いします。試験は、7つあります。どれも手を抜くことは出来ません。100%やり切って下さい。
そして、この5つを達成したら、私に連絡して下さい。何か困ったことがあったら、Facebookのメッセージボードにメールを下さい。すべては、アメリカ式に鍛え上げるカリキュラムです。
あなたがやり遂げた時、闘う準備ができたことになります。
そのためには、いまから『予習中心』に意識を変えて下さい。そして、どんなことも『先始末(さきしまつ)』でお願いします。
社会で企業が新人に必要だと思っていることを、先に身につけておくのです。」
それから、U君のきびしい9ヶ月は、始まりました。
「時間管理」しなければ、ぜったいに達成が無理なスケジュールです。どの試験も、一回で合格をしなけれなりません。
常にvery bestを差し出す・・・
ここから、私とU君の2人3脚の就活トレーニングが始まったのです。
私達は、何でも話し合いました。
毎日10通くらい、やり取りしたことがあります。
「おれが、うれしい時、辛い時、すぐそばにいて相談が出来る、一緒に喜んでくれる人がいる、そんな環境って、俺に取っては最高なんです。安心して、進むことが出来ます。」
そう言っていたU君も、夏場からメッセージボードにメールが届く回数が、少なくなったのです。
それは、過労で倒れたからです。
数日は、安静にして休んでいました。
「2、3日、休みます。」
「休んだ方がいいです。先は、長いですから。」
「大丈夫です。必ず、また立ち上がりますから・・・」
それから、またトレーニングが始まりました。
そして、9月の末に、U君から返事が来ました。
「西條さん、最後の試験を合格しました。これで、言われたことはすべて、やり終えました。」
「そうですか、やりましたね。おめでとうございます!」
そして、U君の3年目の前期の成績は、GPA3.8まで上がっていました。
「正直言って、このスケジュールは、おれにはとてつもなく厳しかったです。一浪して受験勉強した時よりずっと、勉強しました。こんなに勉強したことはありませんでした。それに、途中で心がおれそうになりました。本当に辛かったんです。でも、今ここで諦めたら、もう先がない、投資銀行マンの道が閉ざされると思って、踏ん張りました。出来る所から始めて、少しずつ自分の枠を広げて行きました。そして、やり遂げる度に、自分の自信が大きくなって行くのが分かりました。」
素晴らしい気づきだと思います。
「では、これでやっと、ライバルの海派と対等に闘える段階に来ました。一緒に土俵にいると思って下さい。これからは、機関銃で、全員を撃ち落とすことをやり遂げるために、『戦略』を練るのです。それが、とても大切です。
ここからは、本当の闘いです。まずは、6社に絞って、エントリーシートを完成させましょう。」
「ええっ、6社で良いんですか?」
「そうです、6社に絞って、ピンポイントで攻撃します。」
「おれ、30社に応募しようって、考えていました。」
「たった6社でいいんです。」
「6社なら、勉強との両立が出来ます。」
「私が考えている投資銀行に狙いを定めましょう。」
そうして、6社を決めて、U君に企業説明会に参加してもらいました。
「西條さん、すごいですよ!」
「なにがすごいんですか?」
「説明会で出会った社員の方々が、きらきらと輝いていて、自信に満ちあふれていて、おれもこうなりたいって、真剣も思いました。」
「それは、よかったです。入社したら、彼らの側に立てる人になって下さい。」
それから、一社のエントリーシートの内容を見せてもらいました。どんな質問があるのかを、知りたかったのです。
「あれ、これって、私が就活した時と同じだ。」
「ええっ、そうなんですか?」
「これ、楽勝だ・・・!」
60歳の今でも、こうして私の経験が生かされている。企業が求める人財は、昔も今も変わらない。
そのせいで、私がお役に立てると言うものだ。
U君の書いたエントリーシートを見ました。
「U君、これじゃ絶対に落ちるよ。見ただけで分かるよ。」
「どうすれば良いんですか?」
「要するに、企業側がどんな人を求めているかを知れば良い。そのために、企業のホームページをなめるように読むんだ。」
「おれ、そんな英文を読むほどの力がないですよ。」
「慣れるまで、やり続けなさい。」
それから、U君からまたエントリーシートが来ました。
「では、これを直すから、あとは清書しなさい。それと、英文にもまとめなさい。」
「西條さん、時間がありません。今日は、徹夜になります。」
あの5つの項目を守り続けるために、これからバイトに出かけるU君でした。
真夜中に戻って来て、2人3脚でエントリーシートを仕上げました。
「あとは、ウエブテストだけだな・・・」
そのテストは、U君に任せました。
「このテストで、負けてはいけない。絶対に合格して下さい。全てが水の泡になってしまうから。」
そうして、6社にエントリーシートを送りました。
それから、3日後に、最初の面談依頼が来ました。
「西條さん、すごいです!」
「なにがすごいんですか?」
「だって、おれのところに、面談依頼がきたんですよ。おれ、びっくりです。」
「あたりまえじゃない、私はかつて人材採用担当者だったんだから・・・」
「西條さんのエントリーシートの書き方って、すごいですね。」
「いかに、企業側の気持ちを理解しているかを表現すればいいんだよ。」
そして、6社すべてから、面接の依頼が来ました。
そうやって、U君は、面接試験を受けに行きました。
これが、長く続く「関ヶ原の闘い」になるのです。
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