日本一厳しい所に四日間行ったら、悩みがなくなって最高に幸せになれた話

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代わりに、目標と欲の違いについて聞きました。



茶話会では、皆がそれぞれの想いを共有し、打ち解け合い、

全員の距離がぐんと縮まりました。



午後五時。

雲水さんとの最後の薬石(夕食)でした。


この時だけ特別に、食事中でも会話が許されました。


それは今までと違い、

雲水さんとも、とても和やかな空気でした。


作法ももう身についていました。

流れるように作法を再現できることには、

深い味わいがありました。


また、雲水さんに、どんな質問をしてもよいとのことです。

「出家する前、彼女はいたんですか?(笑)」

そんな声も聞こえてきました。

(雲水さんは、いたと答えていました)


僕の隣には、散策で案内してくださった雲水さんがいます。

「いつ下山するかは自分で決めるんですか? 」

「どうやって決めるんですか?」

質問をしてみました。


すると、雲水さんは質問を受けるなり、

一秒でも早く僕の質問に答えるために

口の中に入れたばかりの食べ物を噛まずに丸呑みし、


自分で「今だっ!」と思ったときに下山します。


と答えました。

「今だっ!」にこもるあまりもの迫力に、

そうですかとしか返せませんでした…


間近でわかりましたが、

雲水さんは声を喉から発していませんでした。


頭から声を発しているとでも言うのでしょうか…

通常とは明らかに違う所から声を発していました。


非常によく、身体の隅々にまで共鳴している声です。

それはお経のときのそれと同じだと思いました。


そのことからも修行の数が違うのが感じとられました。


そして、就寝前の坐禅です。

皆が茶話会で親しくなり、

悩みの雲が広がり消えてゆき、

修行も苦にならなくなってきたときでした。


坐っていると雲水さんから、


あと一日という修行の終わりが見えてきても、

気を引き締めてください!!

皆さんが廊下を歩くときのスリッパの音、

皆さんの気持ちの高揚ぶりが手にとるように分かります!


正にその通りでした。

言われたとおり気を引き締め、三日目を終えました。



☆人生を変えるポイント

・紙一枚でも「自然の恵み」と「人の労働」を感じること

・日本人は、人間のゴールは過ぎていると認識すること


最終日:四日目


いよいよ下山の日です。

午前三時半、振鈴。


目を覚ますと、

それは今まで経験したこともないような

とても清々しい目覚めでした。


幼い頃の希望に満ちた様な感覚。

これほどまでに気持ちの良い目覚めは、

もうないと思っていました。


そして起床後、

坐禅をしに禅堂に行くと、


すでに、お世話してくださった雲水さん達が皆、禅堂で坐禅をしていました。



雲水さんからのサプライズ。

最終日の今日、自分達の為に先に坐ってくれているのでした。


「口でああせよ、こうせよ、と言うのではなく、こうしてみよと見せてみる。」

正に教えの通りでした。


ここではじめて雲水さんの坐る姿を自分の目で見ました。


どれほど目を凝らそうが、誰も微動だにしていません。

その姿は本当に人間なのか疑いました。

精巧に出来た銅像にも見えました。


その姿は本当に美しいものでした。


僕は、素晴らしいお手本を見ることができました。




いよいよ下山直前、

最後に今までお世話をしてくださった

雲水さんひとりひとりからの挨拶がありました。


思えば四日間、雲水さんの姿勢、仕種、言葉、どれも本当に美しく、

厳しい口調もその根源は優しさで溢れていました。


最後の一人の雲水さんの挨拶で、

「実は、三日前に修行に来たばかりでした。

 だから、他の参禅者の方と同じ状態の自分が

 間違いを犯さないかずっとビクビクしていました(笑)」

と言った雲水さんがいました。


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