日本一厳しい所に四日間行ったら、悩みがなくなって最高に幸せになれた話

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その重さを考えてみてください。

力強い雲水さんの声が聞こえました。


そう、この参禅研修は人気絶大なのです。

自分が来たことによって、

その他の方がこの研修に参加できなかったのです。

ここにどんなに来たくても来られない人達がいたのです。


気を引き締めて坐りました。


午後になると、散策がありました。

永平寺内を参加者のため特別に、雲水さんが案内してくれるというものです。


案内してくださった雲水さんの知識の深さには、

感心させらるばかりでした。


永平寺の歴史、像、鐘、建物の造り、

それぞれの素材、ただ立っている木までも、

正に全てを知り尽くしていました。


あるとき、

壁に何気なくある絵について誰かが

「なぜ竹、松、梅の絵が描かれているのですか?」

と質問をしました。


すると、

竹の様に節目を持ち、

松の緑の様にどの季節も色あせることなく、

梅の様に辛い冬もじっと耐え忍び、

時が来たならば、鮮やかな花を咲かせる。

その様な私達修行僧の在り方のお手本として、

掛けられている絵なのです!


発せられる力強い言葉に

皆はただ感心するしかありませんでした。


しかし、雲水さんは周りにいる皆がいくら感心をしても

全く気持ち高ぶることなく、本当に平然としていていました。


(後に最年長ベテラン参禅参加者の方から聞いたのですが、

 案内してくれた雲水さんは極めて優秀で偉い雲水さんらしいです)


散策の最後のほうで、別の雲水さんが、

「私達雲水の修行はまだまだ続きますが、

 みなさんが修行を終える四日目には

 少しだけ良いことがありますよ。

 ですので、あと一日がんばってくださいね」

と耳元でこっそりみんなに言ってくれました。


誰かが良いこととはどんなことかを聞くと、

「あまり期待してはいけませんよ。

 本当に小さな良いことですから」

とのことでした。



散策が終わると、夕方に茶話会がありました。

これは長く修行を積んだ老師が来てくださり、

参禅者と自由に談話できるというものです。


茶話会は今までの修行とは違い足をくずしてよく、

和菓子とお茶も用意してあり、和気藹々としていました。


茶話会は互いの自己紹介からはじまり、

老師に何でも質問してもよいというものでした。


老師はどんな質問にも見事なまでに答えてくれるそうです。

僕は最初、「人はなぜ生きているのですか?」と聞こう思っていました。


老師は穏やかな表情で話をはじめました。

白い紙を見て「雲が見える」と言った人がいます。

どういうことかわかりますか?


紙も雲も「白色」だからなぁ~、と思っていると全く違いました。。


紙は木からできています。

その木が育つには、雨の恵みが必要です。

そして、雨を降らしてくれるのは「雲」ですよね。

実は、皆さんの手元にある白いたった紙一枚にも、

それだけの『自然の恵み』が詰まってそこに在るのです。


なるほど~、と思っていると話は続きます。


また、ある人は白い紙を見て、「パンが見える」と言いました。

どういうことかわかりますか?


パンの生地も「白色」だけどなぁ。。

そんなの言ったら笑われるよなぁ…

僕は考えましたがわかりませんでした。


木を切ってくれた人が休憩中に食べた「パン」です。

自然の恵みだけじゃなくて、

『人の労働』があって、今、皆さんの手元にあるということです。


なるほど~、途端に紙が尊いものに見えてきました。

「どっちも白です」なんて言わなくて良かった…。。

さらに話は続きます。


童話に「ウサギとカメ」がありますが、

カメは自分のペースでゴールを目指しますよね。

現代の方を見ていると

ゴールを過ぎても休まずに走っている

ウサギのように感じます。

実はゴールを過ぎているのに、

それに気付かないで、人生のゴールを求めて走り続ける。

これではどんなに探してもゴールに辿り着けるわけがありません。

もう過ぎているんですから、辛いだけです。


少し足を止めて、振り返ってみてはいかがでしょうか。

幸せは身近な日常に溢れているものです。


老師の話を聴くにつれ、見えてくるものがありました。

僕は自分の質問のときに、

なんで生きているんですかとは聞かずに、

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