日本一厳しい所に四日間行ったら、悩みがなくなって最高に幸せになれた話
坐蒲を投げないでください。
即座に雲水さんが注意をします。
それを聞いていた他の参加者の何人かが小声で笑いました。
すると、
人間は誰しも失敗するものです。
その他人の失敗をいちいち笑ってはいけません!
雲水さんの厳しい言葉が飛びます。
こんなセリフを本当に言う人がいるのか…!
しかも、二十歳過ぎで同世代に向かって言ってるじゃないか(笑)
僕は違う意味で笑いが込み上げ、吹き出しそうになりました。
食事は布に包まれた応量器(食器)の広げ方からはじまり、
応量器の置く場所、置く順番、指の使い方、
箸の置く角度、肘の張り具合など、
あらゆること全てが決まっていて非常に複雑です。
さらに食事も足は坐禅を組みながらでした。
一時間も坐っていれば足がとても痺れます。
背筋も伸ばさなければいけません。
ずっと同じ姿勢でいる苦痛の上の、あまりの作法の複雑さ。
この作法、明日も覚えている自信ないかも…
一日目が終わると疲れきっていました。
☆人生を変えることになったポイント
・「直感」に素直に従ってみる
・人生は一度きり。思い切って「行動」に移してみる
二日目
午前三時半、
振鈴(しんれい:起床)。
とても大きい、鈴の音が永平寺内に響き渡ります。
頭の芯まで強く響いてくるその音には、
嫌でも目を覚まさざるを得えません。
しかし男性陣皆、疲れきっていて、
すぐには布団から出ませんでした。
朝の三時半なんて、いつもは寝ている時間帯です。
すると、雲水さんが
男性部屋の扉を開けるなり大声で、
いつまで寝ているのですか!
ここは永平寺!
あなたたちは一体ここへ何をしに来たのですか!!
寝に来たようならば、
さっさと下山してください!!!
すごい剣幕で怒られました…。
とてつもない迫力です。
もはや「叱る」というよりも「怒る」です。
皆、慌てて飛び起きました。
そして雲水さんは、音を立てずにそっと扉を閉めました。
雲水さんの怒りは一瞬で、見事なまでに消えていました・・・。
怒りを全く引きずっていません。
あの人は只者ではない…!
扉の閉め方だけで、もはや普通の人ではないのが伝わってきました。
午前三時五十分、
坐禅は基本、一籌(いっちゅう:一回)四十分です。
修行不足の僕は坐り始めると、
やがて足が痺れて、
足に激痛が走り始めました。
・・・・・・・
背中も痛いかも…
背筋を伸ばし続けることにも辛くなってきます。
しかし、少しでも体を動かすと見張っている雲水さんに叱られます。
しかし、また、
なんて汚い坐相(ざそう)なのですか!
もっと背筋を伸ばしてください!
雲水さんの大声が禅堂に響きます。
坐禅は壁の方を見て行うので、
その声が一体誰に向けられたかはわかりませんが、
皆が姿勢を正したのがわかりました。
四十分の坐禅が終わると、
僕はフラフラになり、
部屋に戻るなり床に倒れこみました。
しばらくして
時計を見ると、午前五時。
ええ、まだ朝の五時なのか…!!
まるでお昼の十二時の感覚です。
そして、すぐに朝課(朝のお勤め)に行かなければなりません。
フラフラの中、朝課に行きますが
これまた一時間正座のようです。
足が痛みます…。
さらに、お経をあげる際に
経本を手に持たなければいけないのですが、
腕をまっすぐ前に出して、持たなければいけません。
やがて腕が疲れてきます。
腕が下がってくると、
後ろから「腕をあげてください」の声…
静かですが厳しい声です。
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