精神科の隔離病棟に医療保護入院して病院に闘いを挑んだ話1
入院の前日、僕は普通に友達2人と飲みに行き、
「光信、結婚式の2次会の幹事頼むわ!」と言う友人に、
僕は「任せて!盛大にやろう!」
……と、つまり普通の会話をしていました。
それが次の日。。
「ちょっと待って下さいよ!!この状況で冷静でいれるほうがおかしいじゃないですか!!!!!!!!!!!」
そう悲痛に叫ぶ僕の声も虚しく、分厚い扉がガチャンと閉じられ、医師と看護師達が去って行ったのです。
結婚式の2次会の幹事を頼まれた翌日、僕はなんと精神科の隔離病棟にいたのです。
部屋の入口は、こちら側に取っ手のない、厳重な白い扉
。
部屋の広さは8畳ほど。
壁は非常に固く、色は全面茶色。
部屋にはトイレが付いていて。
上を見上げると、監視カメラがトイレまでも撮影している。
そして……窓がない。
何これドラマじゃん。。
部屋に1人取り残された僕は、もう笑うしかなかったのです。
なぜ、こうなったのかを、時系列を追って思い返せば……
職場で警察沙汰のトラブルにあう
↓
実家に帰る
↓
身内の方が亡くなってしまう
↓
トラブルが重なり家族が大パニックに
↓
僕の様子がおかしいと親が勘違いして精神科に連れていかれる
もともと僕には鬱病での通院経験がありました。
その時にお世話になったのは、個人クリニックのようなところだったのですが、入院した日は大きな病院に連れていかれました。
親が病院の正面玄関口で車をつけ、「ここで待っていて」と言ったので、言われたとおり車で待っていました。それから30分も待たされたので、流石に色々なトラブルがあったことも重なり、僕はイライラして怒っていました。
異変が起きたのはここからです。
病院の正面入口で車の中で40分は待ったでしょうか。正面入口からガタイのいい男の看護師がおよそ7人、さらに、確実に重鎮の威厳を感じさせる、白髪の医者が登場したのです。
診察と思い、車から降りようとした次の瞬間でした。
威厳のある雰囲気の医者は「光信君入院だから」と言い放ったのです。
7人ほどの男性看護師が僕の体を掴み、病院の中に連れていきます。
「いやいや、診察せず入院とか違法行為でしょ!」
と言いたかったのですがあまりの恐怖で何も言えませんでした。
僕はそのまま大きなエレベーターに乗って、隔離病棟まで運ばれてしまいました。
部屋に着くと、看護師は4人減り、残った3人の看護師が僕と一緒に部屋に入りました。
そして上述した部屋に放り込まれたのですが、もうここで帰れなかったら大変な事になると思った僕は、必死の形相で
「さっきの医者を呼んでくれ!これは誤入院だ!医療ミス!診察せずに入院を執行するなんてどうかしてる!!!」
などとまくし立てました。
次には、なんとか冷静な言葉を口からだそうと、結婚指輪をしている人に「あなたは結婚しているんですね。お子さんもいるんですか?」などと話しかけてみました。といっても、とても冷静ではなかった。
そうこうするうちに、次第に看護師同士もこれはヤバイやつだ。。みたいな雰囲気になり、顔を見合わせていました。
まだ家に帰れる可能性はあると思っていた僕は、さっきの医者に会わせるように訴えました。
そうすると、看護師たちは自分たちでは判断できないといい、一旦部屋をでていきました。
そこからまた待つことになったのです。
「ギエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!ガンガン!!!!」
隣の部屋から奇声と壁を叩く音が聞こえてきます。
これはガチでヤバイ。本当は、医療ミスだって大騒ぎしたいところだけど、医師会の力が強すぎるってよく聞くから、穏便に事を大きくせず帰ろう……などと考えていました。
部屋を冷静に見回してみると、書類が置かれているのが分かりました。
入院に係る内容の書類です。
医療保護入院執行医師 杉田
主治医 杉田
と紙に書いてありました。
じゃあ、さっきのが杉田か。この杉田って人をなんとか説得しなきゃ……と思っていると、
ガチャンと音を立て、扉が開きました。
3人の看護師と、先ほどの医師とはまた別な、重鎮の雰囲気を漂わせた医師が現れたのです。
彼は「どうも主治医の柳瀬です。」と名乗ったので、僕は目を丸くしました。
「えっ……。もらった書類では杉田さんが主治医となってますが」
「変わったんです。何かありましたか?」
もうおかしいことだらけだと思いましたが、僕は必死に今までの経緯を10分くらいかけて説明しました。
しかし、柳瀬医師は、「冷静じゃないですね。君は入院です。それでは仕事があるので」
そう言い、看護師を連れて去って行ってしまったのです。
この状況下で冷静でいられる人間なんて、いる訳ないだろ。。
入院して1時間で主治医が変わる……。杉田の雲隠れ。
なんでこんな事に。。
様々な感情が渦巻く中、僕は奇声が聞こえてくる部屋で1人たたずんでいました。
しかし、これが、これから始まる暗黒の入院生活の序章にすぎないとは、まだこの時は知るよしもなかったのです。
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