障がいがある私と、仕事の話 3

前話: 障がいがある私と、仕事の話 2

小・中・高・大学と、友達にはとても恵まれていたと思う。

私がからかわれたら、私の代わりに相手をボッコボコにしてくれる友達がいたし

何より、みんな私に気を遣わずに接してくれた。



時代は進んで、障がい者雇用の現場での話を。


私が異動になったのは、2009年1月だった。

会社が特例子会社を創って、そこで雇用した人にプログラムの案件やってもらうから

私はその人たちにレクチャーして、案件のお客様窓口をするという位置づけだった。




特例子会社には、いろんな障がいがある人がいた。

知的障がい、身体障がい、精神障がい、みんな個性豊かで優しくて、

私はすぐに皆のことが大好きになった。



障がい者だから、できない。

障がい者だから、できないのはしょうがない。



仕事で周りの人からうちの社員がそう思われるのが嫌で、私はみんなにめちゃくちゃ厳しかったと思う。

特に挨拶。

挨拶できない大人なんてたくさんいるけど、なぜか障がい者だと、

「障がい者だもんね、挨拶できなくてもしょうがないよね」って言われる。


関係ないでしょ。


でもそれが現実だったし、彼らには絶対そんなこと言わせない!と思ってやってた。

いつもカリカリしてたし、怒ってたし、不機嫌だったし。

そんな自分が嫌いだったからみんなはもっと私のこと嫌いだったんじゃないかな。



なんの話からそうなったのかは忘れたけど、お昼休みに何人かと話をした。

脳性まひで車いすを使っている社員、軽度の知的障がいの社員と私、5人くらいで話してたと思う。

そのときに私は聞いた。

「ねーねー、私ってさ、いっつも怒ってばっかで、ぷりぷりしてて、みんなはむかついたり

会社きたくないって思ったことないのですか?

車いすだと、台風の日とか電車混んでる日とか来るの大変だと思うんですけど。」


そしたら、「え、全然。俺らなんとも思ってないですよ。」と言われた。

手動の車いすを使っている社員が言った。

「俺、秋田のいなかの施設で育って、すごく閉鎖的で、

このままじゃ働くことできない。社会にすらでられない。

って思ったんですよ。だから、自分でお金貯めて一人で上京して、一人暮らしして

やっと会社に入ったんです。お給料もらえたんです。だから、働けることがすごく嬉しい。

会社に来ることが楽しくてたまらない。

だから、高田さんに怒られても仕事のミスだしそれはその通りだと思う。」


軽度の知的障がいがある社員も言った。

「学生時代のいじめとかに比べたら、なんでもないです。

一緒に仕事をする仲間がいて、終わって焼き肉食べに行って、カラオケ行って、

休みの日にメールして。そういう人ができるなんて思ってなかった。障がい者だから働けるって思ってなかった。

だから嬉しい。」




頭の中をがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!って

ハンマーとかなんかそういう鈍器で打たれた気がした。




「へ、へえ、みんな色々経験してきてるんだねえ。」

それを言うのが精いっぱいで、トイレに駆け込んで泣いた。

過去がかわいそうとか、言ってる言葉に感動とかそういうことで泣いたのではないと思う。

自分のちっささとか、見てる世界が違うんだなーとかそれに驚いたっていうほうが近いのかも。

ちょっと雨降ったら会社行くのめんどっちいって思うのに。

なんかやなこと言われたら相手に対して負の感情がすぐでちゃうのに。




自分の当たり前は、相手も同じではない。

自分が今健康で、働けて、お給料がもらえて、毎日ご飯が食べられること。

それが当り前ではないことがその10分くらいでよーく分かった。



彼らと向き合って、闇を知っている人にだけ、光とか、輝きとか、優しさとか、そういうことが分かるんだと思った。



彼らからはたくさんの優しさとか、人として大事なこと教えてもらったので、

そのエピソードはここに書くことで残せたらいいと思う。



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